今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年10月5日(水) 「連銀総裁発言にドル上昇」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は続伸し、103円に迫る水準までドル高が進む。地区連銀総裁が利上げを強く主張したことで、米金利が上昇しドル円を押し上げた。
  • ユーロドルは1.11台前半まで売られたものの、そこから切り替えし、1.12台に乗せる。ユーロ円は約3週間ぶりに115円台まで上昇。
  • ポンドが急落し。対ドルで1.27台まで売られ、31年ぶりの安値を記録。
  • 株式市場は利上げ観測が広がり続落。リッチモンド連銀のラッカー総裁が早めの利上げを主張したことに反応。ダウは85ドル下げ、ナスダックも11ポイント下落。
  • 債券相場は3日続落。ラッカー総裁の発言を受け、金利高に警戒感が広がる。長期金利は1.68%台まで上昇し、ドル高を支える。
  • ドルが買われたことで、金は43ドルの大幅安。原油価格は小幅に反落。
    ドル/円 102.44 〜 102.96
    ユーロ/ドル 1.1138 〜 1.1239
    ユーロ/円 114.38 〜 115.31
    NYダウ −85.40 → 18,168.45ドル
    GOLD −43.00 → 1,269.70ドル
    WTI −0.12 → 48.69ドル
    米10年国債 +0.064 → 1.686 %

    本日の注目イベント

    • 豪 豪8月小売売上高
    • 欧 ユーロ圏11月総合PMI(改定値)
    • 欧 ユーロ圏11月サービス業PMI(改定値)
    • 欧 ユーロ圏8月小売売上高
    • 英 英9月サービス業PMI
    • 米 9月ADP雇用者数
    • 米 8月貿易収支
    • 米 9月ISM非製造業景況指数
    • 米 ラッカー・リッチモンド連銀総裁講演
    • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
    • 加 カナダ8月貿易収支

    ドル円はNY市場で予想以上に値を上げて来ました。米国の利上げ問題が再び蒸し返され、金利上昇期待からドルが主要通貨に対して買われた一方、金利上昇を嫌う株式と債券が売られています。債券が売られたことで、10年債利回りは1.68%台まで上昇し、これがドルを支える格好になっています。

    利上げ観測の高まりは、リッチモンド連銀のラッカー総裁の発言でした。ラッカー総裁は4日、ウエストバージニア州のチャールストンで講演を行い、「インフレ圧力はまだ先のことであり、理論上の懸念に見えるかもしれない。ただ、慎重に先手を取ることで実際に事態が起きた後で大幅な行動が必要となるような、予測困難な状況を回避する一助になり得る」と指摘。「現時点で政策金利を1.5%以上にしておくべきだろう」と述べています。(ブルームバーグ)ラッカー総裁はこのように、具体的なフェデラルファンド(FF)金利の水準にまで言及していました。

    早目に利上げすることが、インフレとインフレ期待値の安定に重要な役割を果たすと述べたことで、前日のメスター・クリ−ブランド連銀総裁に次ぐ、タカ派的な発言に市場が反応した形です。メスター総裁は、9月のFOMCでも利上げを主張した経緯がありますが、ラッカー総裁が利上げに前向きな発言をしたことで、12月の利上げの確率は高まってきたようです。

    それでも11月のFOMCでの利上げの可能性は極めて低いと思います。11月8日に大統領選を控えて、利上げをするには極めてタイミングが悪すぎると思われます。そうだとすると、利上げ観測が高まったとはいえ、年内1回の利上げが順当なところになります。年内1回の利上げだけではドル高への影響は限られると思っていますが、どうでしょう。

    103円台に迫る水準までドルが反発して来ましたが、ここからさらに上昇すれば100−103円のレンジが抜けることになります。103円台に乗せただけでは「上抜け」したかどうかは判断できませんが、7日には雇用統計が控えており、この内容次第では104円台もあるかもしれません。こうなると、テクニカル的にも『上抜け』が完成したと見られ、一段の上昇があるかもしれないため、ドル安を予想している投資家は注意が必要です。もっとも、内容が悪かった場合には、再び101円台から100円台に戻ることも十分考えられます。

    本日は約3周間ぶりに103円が見られるかもしれません。仮にそうなった場合、どの程度ドル売り需要が出てくるのか、興味のあるところです。本日のレンジ゛は102円30銭〜103円30銭程度を予想しますが、103円台に乗せたまま海外市場にバトンタッチできるようだと、もう少し上値があるかもしれません。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    9/5 黒田・日銀総裁 「量、質、金利の部分で拡大は十分可能」講演で。 ドル円103円台後半から103円台半ばへ下落
    9/8 ドラギ・ECB総裁 「行動する決定を正当化できるほど重大な変化はなかったというのが当局の判断だ」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.12台から1.13台へ。ドル円は101円台半ばから102円60銭まで上昇。
    9/9 ローゼングレン・ブストン連銀総裁 「緩やかなペースで緩和解除を続けなければ、この回復局面は長くなるよりむしろ短くなる可能性がある」講演で。 NYダウ394ドル下落し、長期金利は上昇。ドルも売られる。
    9/12 ブレイナード・FRB理事 「先制的に政策を引き締める論拠は弱まっている」講演で。 ドル円下落。NYダウは急反発
    9/23 ローゼングレン・ブストン連銀総裁 「緩やかで段階的な引き締めを今開始すべきだと考えている。今それをしなければ回復の期間の長さや持続性をより大きなリスクにさらすと懸念するからだ」講演で。 --------
    9/28 イエレン・FRB議長 「利上げにはあらかじめ決まったタイムテーブルはない」下院で証言で。 --------
    10/4 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「現時点で政策金利を1.5%以上にしておくべきだろう」講演で。 ドル円102円台後半に。株式と債券が下落し、長期金利は上昇。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和