今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年11月10日(木) 「NY市場想定外のリスクオン」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • アジア時間で101円台前半まで売られたドル円は海外では急速に買い戻され、NYでは106円に迫る。トランプ氏勝利を巡るネガティブな観測が急転回。
  • ユーロドルは1.10台半ばまで買われたが、売りが優勢となり1.0906まで反落。
  • 株式市場は急反発。ダウは一時300ドルを超える上昇を見せ、年初来高値に迫る。結局256ドル高で、1万8500ドル台を回復。
  • 債券市場は急落し、長期金利は約9カ月ぶりに2.0%の大台に乗せる。トランプ氏の勝利演説で、国債の発行が増えるとの見方が広がった。
  • 金はアジア時間では50ドルを超える上昇だったが、ほぼ変わらず。原油も29セント高で取引を終える。
    ドル/円 103.69 〜 105.89
    ユーロ/ドル 1.0906 〜 1.1036
    ユーロ/円 114.13 〜 115.82
    NYダウ +256.95 → 18,589.69ドル
    GOLD −1.00 → 1,273.50ドル
    WTI +0.29 → 45.27ドル
    米10年国債 +0.208 → 2.063%

    本日の注目イベント

    • 米 新規失業保険申請件数
    • 米 10月財政収支
    • 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演

    めったに起こらないが、一度起こると大混乱する現象を「ブラックスワン」と言いますが、今年はその「ブラックスワン」が2匹も現れ、それもこの半年に出現しています。私も含めて多くの専門家、メディア、調査機関などは今回の大統領選を読み違えました。

    昨日の朝方まではクリントン勝利でほぼ間違いないと思われた大統領選でしたが、開票が進むに連れトランプ氏有利に変わり、昼前にはかなりの確率でトランプ勝利が見えてきました。6月24日の英国のEU離脱のときと全く同じ現象です。

    昼からはドル円と日経平均株価が揃って大幅に下がり、ドル円は101円割れ目前の水準まで売られ、この勢いだと100円割れもあり得るという展開でした。その後もドルの上値は重く、引け値でも101円台半ばでしたが、海外市場に入ると、徐々にドルが買い戻される奇妙な動きでした。

    トランプショックを織り込む形で売られたドル円と日本株でしたが、NYでも同様な動きが予想されました。ここで、この日の2つ目の想定外が起きています。勝利宣言を行ったトランプ氏は、これまでと異なり、かなり柔和な物腰で、アメリカをさらにいい国にするため全力を尽くすといった語り口でした。政治的な手腕は未知数ではあるが、それだけに何かをやってくれるといった期待感が急速に広がり、NYダウは一時300ドルを超える上昇。長期金利は約9カ月ぶりとなる2.0%台に乗せ、それに伴ってドル円は105円89銭まで上昇し、全てが想定外でした。リスク回避のポジションを積み上げていたことも、その反動を大きくしたと思われます。

    ここからの相場展開は正直、なかなか見通せません。昨日は105円台半ばから売られ101円台を付け、その後はさらに上昇し「往って来い」どころか、おつりの来る相場展開でした。昨日のアジア時間の動きでは、トランプ氏勝利は想定外だったとしても、勝利が決まればある程度予想できる動きでした。

    それにしてもNY市場の動きはかなり過剰反応だったような気もします。GDPを今の倍にするといっても、具体的にどんな方法があるのか未知数です。やや期待感が先行し、市場は落ち着きを失っており、混乱していると思えます。従って、本日の日本株の急反発を考えれば、ドルがもう少し買われる可能性もありますが、その流れに追従するのは避けたいと思います。問題は元に戻った相場が103円―108円のレンジに入ったのかどうかを確認する必要があるということです。しばらく時間がかかります。慎重に対応することが肝要です。本日の予想レンジも難しいですが、あえて105円〜106円50銭程度にしたいと思います。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    10/4 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「現時点で政策金利を1.5%以上にしておくべきだろう」講演で。 ドル円102円台後半に。株式と債券が下落し、長期金利は上昇。
    10/5 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「金利をもっと急速に引き上げる強い論拠がある」」講演で。 ドル円103円台半ばまで上昇。
    10/5 エバンス・シカゴ連銀総裁 「11月にも利上げはあり得る」講演で。 ドル高に振れる。
    10/14 ダドリー・NY連銀総裁 「われわれはやがてやって来る金融引き締めの時に向って極めてゆっくりと動いている」WSJ紙で。 --------
    10/20 ドラギ・ECB総裁 「債券購入を唐突に終了する可能性は低いと思う」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.1040から1.09台前半まで下落。
    10/21 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「米経済のこれまでの推移と今後の動向を踏まえると、年1回の利上げは理にかなっており、来年に複数回の利上げを実施することも妥当だ」講演で。 --------
    10/24 ブラード・セントルイス連銀総裁 (利下げは)「12月会合が最も可能性の高い時となる」記者団に。 --------
    11/3 オバマ・大統領 「私たちには、結果についてほのめかしたり、不完全な情報に基づいて捜査をしたりしない規範がある」米ニュースサイトのインタビューで。 --------
    11/4 フィッシャー・FRB副議長 「最近のデータを見ると、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジ引き上げの論拠が一段と強まったというのがわれわれの見立てだ」講演で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和