今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年2月9日(木) 「ドル円再び111円台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は東京タイムから欧州にかけては112円台でもみ合ったが、NYでは長期金利の低下を手がかりに111円63銭まで下落。その後112円近辺に戻して引ける。
  • ユーロドルは上値が重い展開が続き1.06台半ばまで下落。
  • 株式市場は反落。金利低下を材料に金融株などが売られ、2万ドルの大台を維持しながらも一進一退の展開。
  • 債券相場は4日続伸。トランプ政権の財政政策に不透明感が高まってきたことが背景。長期金利は2.33%台まで低下し、ドルの上値を抑える。
  • 金は小幅ながら5日続伸。原油価格は在庫が予想外に減少していたことから反発。
ドル/円 111.63 〜 112.22
ユーロ/ドル 1.0654 〜 1.0714
ユーロ/円 119.53 〜 119.88
NYダウ −35.95 → 20,054.34ドル
GOLD +3.40 → 1,239.50ドル
WTI +0.17 → 52.34ドル
米10年国債 −0.057 → 2.336%

本日の注目イベント

  • 独 独12月貿易収支
  • 欧 企業決算 → ソシエテ、ウニクレディト、モンテ・パスキ
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 企業決算 → コカコーラ、ツイッター
  • 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演

明日ワシントンで行われる、日米首脳会談を前に、会談でトランプ政権側からどんな議題が提起されるのか読み切れないことから、ドル円は昨日の東京時間から欧州時間にかけては112円台前半から半ばのせまいレンジで一進一退でした。だだ、NY市場では一時111円台半ばまで下落する場面があり、もみ合いの中でも上値の重さが目立つ展開です。

ドル円の上値を重くしているのは、日米首脳会談の不透明さだけではありません。米長期金利が低下傾向を鮮明にしているからです。昨日のNY債券市場でも、長期債が買われ、金利は2.33%台まで低下しています。金利はこれで4日続落(価格は4日続伸)しましたが、投資家の間で、景気刺激策が近く発表されるとの期待が薄れたことが背景です。また欧州でも、ドイツ国債などに見直し買いが入り、金利が低下していることも材料になっているようです。世界最大の運用会社のブラックロックのCEOは、財政出動の出遅れで10年債利回りが2%を下回る可能性が高まっていると指摘しています。(ブルームバーグ)

明日からの会談で、いわれなき円安誘導を避け、今後の新しい日米関係を構築すべく、政府もその方策に苦心しているようです。今朝の報道によると、安倍首相は会談で日米の「新しい経済協議」の枠組みを提案する模様です。具体的な内容はまだ分かりませんが、貿易や投資に関する内容で、双方が利益を得る経済関係の構築を提起するようです。

すでに、ソフトバンクやトヨタなどが米国への大規模な投資を表明していますが、米企業もトランプ大統領に嫌われまいと、投資を表明しています。世界最大の半導体メーカーであるインテルは8日、アリゾナ州チャンドラーの生産施設に70億ドル(約7840億円)を投じることを、トランプ大統領との会談で明らかにしています。米国に資金が集まり、同時に雇用も拡大することが、ドルの下落には一定のサポートになると考えられます。

ドル円は再び111円台まで下落して来ました。上述のように、米長期金利の低下が重石となっており、本日もドルの下値を試す展開が予想されます。2日前には111円60銭で下げ止まり、112円台半ばで反発しましたが目先の下値のメドは111円台半ばでしょう。テクニカル上の重要な節目は110円前後まで見当たりませんが、111円も心理的な節目と見られます。

明日の日米首脳会談前に、ドル売りを仕掛けるのもリスクがあり、一気に110円台という展開は予想しにくいと思われますが、米金利の上昇のきっかけがつかみ切れないのも事実です。ドルの下落には注意しながら、予想レンジは111円〜112円30銭程度とします。

私が長年開催しているセミナーを通して発見した、初心者が陥りやすい間違えや、理解しにくいことなどを分かりやすくまとめた、一冊の本が出版されました。
より多くの投資家の方々にFXで成功してもらいたい!そんな思いを込めて書かせていただきました。セミナーに参加された方も、そうでない方もぜひ一度読んでみてください。

●タイトル:チャートがしっかり読めるようになるFX入門 ●出版社: 翔泳社
●著者:佐藤正和 ●160ページフルカラー ●定価:1,300円+税

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時発言者内容市場への影響
1/9 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「米財政政策に関する不透明感を踏まえれば、次の利上げはやや時期尚早だ」講演で。 --------
1/16 トランプ・次期米大統領 (EU離脱は)素晴らしいものになる。英国民は自身の独自性を求めた。難民受け入れを押しつけられなければ、EU離脱はなかっただろう」ツイッターで。 --------
1/17 トランプ・次期米大統領 ドルは既に「強すぎる」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円113円台から112円台に。
1/17 ダドリー・NY連銀総裁 「景気拡大が向く数年にわたって続くと楽観している」講演で。 --------
1/18 イエレン・FRB議長 「私と同僚の大半が、先月、2019年末にかけて年数回の利上げを予想していた。」講演で。 ドル円113円台半ばから114円台半ばへ上昇
1/19 ムニューチン・次期財務長官 「長期的には強いドルが重要だ」「ドルは非常に、非常に強い」「(中国を為替操作国への認定を勧告するかとの質問に対して)私はそうするだろう」公聴会で。 ドルが乱高下
1/23 トランプ・米大統領 「雇用を米国外に移す企業には極めて大規模な国境税を課す」 ドル円113円台から112円台に。
1/23 ムニューチン・次期財務長官 「過度に強いドルは短期的にマイナスの影響を与える可能性がある」上院議員からの質問に書簡で答える。 ドルが売られる。
1/30 ノボトニー・ECB理事 「ECBが次回3月の会合で量的緩和のテーパリングを協議することは決してない」講演で --------
1/31 トランプ・米大統領 日本や中国が「意図的に市場で為替操作をして、米国は損害を受けている」 ドル円113円台半ばから112円08銭まで急落。
2/1 浅川・財務官 「為替市場はマーケットで動いている。操作しているわけではない」トランプ大統領の円安誘導発言に対して。 --------
2/3 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「3回の利上げは基本シナリオとして妥当な推測、妥当な見方だ。だが正直なところ、米経済がこの基本シナリオより勢いを増す可能性は大いにあると考えられる」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/6 ドラギ・ECB総裁 「インフレ率が目標に向かって確実かつ持続的に収束していくためにはECBの金融政策による支援が依然として必要だ」欧州議会で。 ユーロ円121円台から119円台後半へ下落。
2/7 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「ドイツが過小評価された通貨で米国や他の諸国を食い物にしているとの非難は偽りにも程がある」「最近のドルの上昇は米国が自ら招いたものだ」講演で。 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和