今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年2月27日(月) 「ドル円一時112円を割り込む」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は下値を切り下げ、約3週間ぶりに112円台を割り込む。米長期金利の低下が続き、3月の利上げ観測が後退したことや、欧州の政治的リスクが高まったことが材料となった。
  • ユーロドルは1.06台前半から下落。フランスでの政治的リスクの高まりからユーロが売られる。ユーロ円も118円台前半まで下落。
  • 株式市場は続伸。ダウは取引終了1時間でプラスに転じ、11営業日連続で高値を更新。
  • 債券相場は続伸。欧州で債券が買われたことや、米財務長官がトランプ大統領の財政出動が景気に与える影響は限定的と発言したことが買い材料につながった。長期金利は2.31%台と、約1カ月ぶりの低水準まで低下。
  • 金は続伸し、原油価格は反落。
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 1月新築住宅販売件数 → 55.5万件
 2月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 96.3
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ドル/円 111.93 〜 112.48
ユーロ/ドル 1.0557 〜 1.0617
ユーロ/円 118.24〜 119.10
NYダウ +11.44 → 20,821.76ドル
GOLD +6.90 → 1,258.30ドル
WTI −0.46 → 53.99ドル
米10年国債 −0.060 → 2.312%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏2月消費者信頼感(確定値)
  • 米 1月耐久財受注
  • 米 1月中古住宅販売成約指数

ドル円は約3週間ぶりに112円を割り込み、先週末のNY市場では111円93銭まで円高ドル安が進みました。米長期金利の低下がひびいてドルが売られ、その中でも円に対しては避難通貨としての需要もあったようです。

フランス大統領選を巡り、大統領候補のフィヨン元首相が妻に不正に給与を支給したとされる疑惑で、フランス金融検察局が捜査の強化に踏み切ったとのニュースで、ドイツをはじめ欧州債が買われ、ユーロが売られたことから円買いが強まりました。ユーロは対円で118円台前半まで売られ、約3カ月ぶりの水準までユーロ安が進んでいます。

ドル円が下値を試したもう一つの理由が米長期金利の低下です。上記欧州債が買われたこともありますが、トランプ政権の重要閣僚の一人であるムニューチン財務長官が、大統領の財政出動が米景気に与える影響は限定的だとの認識を示したことが、債券に資金を向かわせました。長期金利は2.31%台まで低下し、1カ月ぶりの低水準です。

昨年11月の大統領選でトランプ氏が勝利して以来、ドル高と株高、さらには金利高が続き、ドル円は12月には118円66銭まで買われました。金利高がドル円を支え、「リスクオン」から円を売る動きが加速したものでしたが、その背景にはトランプ大統領の大規模な財政出動が金利上昇圧力になるとの想定が働いていました。その前提にややかげりが出てきたという状況です。

実際にはまだトランプ大統領の財政や減税に関する詳細はわかっていません。明日にも予定されている議会での演説で、その一部が判明するかもしれません。まだ大統領に就任して1カ月余りしかたっていませんが、連日マスコミに登場し、ニュースにならない日がないほど今や為替市場にとっても最大の「材料」になっている状況です。

そのトランプ大統領が、メディアとの対決姿勢を強めています。24日には演説で、「偽ニュースだけが国民の敵だ」と述べ、恒例となっているホワイトハウスでの「記者会の夕食会」には出席しないとツイートしたようです。これに対してCNNなどのメディアも欠席を検討していると伝えられています。

株価の上昇は続いているものの、為替市場ではトランプラリーにもややかげりが見え、期待感も後退しつつあります。ドル円も再び下値を探る動きになっており、111円台半ばが意識される展開が予想されます。ここは2月初旬に3度試して押し戻されているレベルで、現時点ではかなり強めのサポートになっています。ここをしっかりと割り込むと、110円前後が見えてくることから、仮に今回試しに行った際には、サポートされるのかどうかが重要です。明日の大統領の演説内容が大きな材料になろうかと思います。予想レンジは111円70銭〜112円90銭程度としますが、欧州時間でのユーロの動きにも注意が必要です。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時発言者内容市場への影響
1/9 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「米財政政策に関する不透明感を踏まえれば、次の利上げはやや時期尚早だ」講演で。 --------
1/16 トランプ・次期米大統領 (EU離脱は)素晴らしいものになる。英国民は自身の独自性を求めた。難民受け入れを押しつけられなければ、EU離脱はなかっただろう」ツイッターで。 --------
1/17 トランプ・次期米大統領 ドルは既に「強すぎる」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円113円台から112円台に。
1/17 ダドリー・NY連銀総裁 「景気拡大が向く数年にわたって続くと楽観している」講演で。 --------
1/18 イエレン・FRB議長 「私と同僚の大半が、先月、2019年末にかけて年数回の利上げを予想していた。」講演で。 ドル円113円台半ばから114円台半ばへ上昇
1/19 ムニューチン・次期財務長官 「長期的には強いドルが重要だ」「ドルは非常に、非常に強い」「(中国を為替操作国への認定を勧告するかとの質問に対して)私はそうするだろう」公聴会で。 ドルが乱高下
1/23 トランプ・米大統領 「雇用を米国外に移す企業には極めて大規模な国境税を課す」 ドル円113円台から112円台に。
1/23 ムニューチン・次期財務長官 「過度に強いドルは短期的にマイナスの影響を与える可能性がある」上院議員からの質問に書簡で答える。 ドルが売られる。
1/30 ノボトニー・ECB理事 「ECBが次回3月の会合で量的緩和のテーパリングを協議することは決してない」講演で --------
1/31 トランプ・米大統領 日本や中国が「意図的に市場で為替操作をして、米国は損害を受けている」 ドル円113円台半ばから112円08銭まで急落。
2/1 浅川・財務官 「為替市場はマーケットで動いている。操作しているわけではない」トランプ大統領の円安誘導発言に対して。 --------
2/3 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「3回の利上げは基本シナリオとして妥当な推測、妥当な見方だ。だが正直なところ、米経済がこの基本シナリオより勢いを増す可能性は大いにあると考えられる」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/6 ドラギ・ECB総裁 「インフレ率が目標に向かって確実かつ持続的に収束していくためにはECBの金融政策による支援が依然として必要だ」欧州議会で。 ユーロ円121円台から119円台後半へ下落。
2/7 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「ドイツが過小評価された通貨で米国や他の諸国を食い物にしているとの非難は偽りにも程がある」「最近のドルの上昇は米国が自ら招いたものだ」講演で。 --------
2/14 イエレン・FRB議長 「金利と雇用が当局の見通しが一致すれば、一段の利上げが適切になる」「緩和解除を長く待ちすぎるのは賢明ではない。待ちすぎればFOMCは最終的に急速なペースで利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ、リセッションに追いやるリスクが生じる恐れがある」上院での議会証言で。 ドル円113円台から114円台に、NY株価大幅に上昇。
2/15 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「状況が現在の軌道を維持すると想定すれば、2017年における3回の利上げは適切だ」講演で。 --------
2/16 ダドリー・NY連銀総裁 「われわれは今後数カ月内に金融政策緩和がさらに緩やかに解除され、金利がもう少し上昇すると予想する」講演で。 --------
2/16 ロックハート・アトランタ連銀総裁 「労働市場のさらなる改善に向け(利上げを)長期間待つことは、FOMCがとるべき好ましい姿勢ではない」「イエレン議長の記者会見が予定されていない会合でも利上げは可能」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/16 フィッシャー・FRB副議長 「具体的な数字をここで挙げるつもりはないが、この時期に想定していた状況と現状は一致している。つまりインフレ率が2%に近づき、労働市場は力強さを増し続けるという想定だ」「この二つが実現すれば、ほぼ想定していた通りの軌道に乗ることになるだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 メスター・クリーブランド連銀総裁 「米経済が現在の軌道を維持すれば金利が上昇することに満足するだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 ムニューチン・財務長官 「強いドルが長期的に良いことだ」と述べ、「人々が米経済に抱いている信頼や、米経済の他国と比べたパフォーマンスを反映している」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円112円台後半から113円台半ばへ上昇
2/22 パウエル・FRB議長 「緩やかな利上げは、かなり早期のタイミングも含めて適切になるというのが私の見方だ」講演で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和