今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年3月2日(木) 「ドル高、株高、金利高が進む」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • トランプ大統領の演説は目新しいものはなく、具体性に欠けたものの安心感が広がり、ドル円は114円05銭まで上昇。長期金利の上昇と株高がドル円を押し上げた。
  • ユーロドルは続落。1.0514までユーロ安が進んだが1.05台は突破できず。
  • 株式市場は大幅に反発。トランプ大統領の演説で安心感がで、ダウは300ドルを超える大幅高。引け値では初の2万1000ドル台に。
  • 債券相場は続落。3月利上げの可能性が高まり、2年債は2009年以来の高水準に。長期金利も2.45%台に上昇。
  • 金と原油は続落。
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 1月個人所得 → +0.4%
 1月個人支出 → +0.2%
 1月PCEコアデフレータ → +1.7%
 2月ISM製造業景況指数 → 57.7
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ドル/円 113.47 〜 114.05
ユーロ/ドル 1.0514 〜 1.0572
ユーロ/円 119.76 〜 120.22
NYダウ +303.31 → 21,115.55ドル
GOLD −3.90 → 1,250.00ドル
WTI −0.18 → 53.83ドル
米10年国債 +0.066 → 2.456%

本日の注目イベント

  • 豪 豪1月貿易収支
  • 豪 豪1月住宅建設許可
  • 日 2月マネタリーベース
  • 欧 ユーロ圏1月失業率
  • 欧 ユーロ圏2月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ユーロ圏1月生産者物価指数
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 ロレッタ・クリーブランド連銀総裁講演
  • 加 カナダ10−12月期GDP

注目されたトランプ大統領の議会演説は1兆ドルのインフラ投資には触れたものの税制改革など具体的な政策は示さず、演説中にはドル円が下げる場面もありました。ただ、市場の評価は「失望感」ではなく、むしろこれまでのような攻撃的な口調ではなかったことで「安心感」が広がり、株価は大幅に上昇しています。今月のFOMCでの利上げ観測も急速に高まり、長期金利は2.45%台まで上昇し、ドル円を114円台まで押し上げました。

前日のSFシスコ連銀やNY連銀総裁の発言が3月利上げを連想させるものでしたが、昨日もダラス連銀のカプラン総裁は、米経済は強く、緩やかな利上げには耐えられると述べています。今朝の時点で、金利先物から想定される利上げ確率は80%まで上昇しており、6月の利上げ確率も90.2%まで上昇しています。

3月のFOMCは14−15日に開催されますが、2月の雇用統計が発表されるのは来週10日です。この雇用統計で賃金の上昇率などを確認する必要はありますが、利上げの可能性はかなり高まったと見られます。また、明日にはイエレン議長とフィッシャー副議長の講演があり、ここでの両氏の発言が極めて重要になってきます。個人的にも、良好なファンダメンタルズに加え、株価の上昇が個人の消費行動にも好影響を与えることなどを鑑み、利上げがあると予想しています。

その株価は昨日のNYでは再び大幅に反発しています。上述のように、トランプ大統領の演説にひとまず安心感が広がり、ダウは前日比303ドル上昇し、2万1000ドルの大台に乗せて引けています。2万ドルを突破して、わずか5週間で1000ドル以上上昇したことになり、改めて米国経済の力強さというか、株式市場の潜在力に驚きます。著名な投資家として知られるウォーレンバフェット氏は、直近でもアップルなどの株式を1兆5000億円ほど買い増したことを発表しています。米国では、株式市場が個人法人を問わず、長期の資産形成の場としての地位を確立していると言えます。

考えてみれば、まだトランプ大統領の大規模な減税や、インフラ投資などは実行に移されてはいませんが、それでも良好な景気や株高、金利高を背景にドル円は111円台から114円台まで反発してきました。この先、「バッド・トランプ」のリスクは残るものの、「グッド・トランプ」が金利上昇圧力になってくると思われます。市場の関心は既に、トランプ演説から3月利上げに移っています。利上げをにらみつつ、ドル円は上下しながらも緩やかに上昇していくものと予想していますが、まだ欧州の政治的リスクもあり、手放しでドルを買えばいいというわけにはいきません。111−115円のレンジ相場が継続中と思われます。本日はさすがに上値の重い日本株も大きく上昇するでしょう。予想レンジは113円40銭〜114円50銭程度とみています。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時発言者内容市場への影響
2/1 浅川・財務官 「為替市場はマーケットで動いている。操作しているわけではない」トランプ大統領の円安誘導発言に対して。 --------
2/3 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「3回の利上げは基本シナリオとして妥当な推測、妥当な見方だ。だが正直なところ、米経済がこの基本シナリオより勢いを増す可能性は大いにあると考えられる」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/6 ドラギ・ECB総裁 「インフレ率が目標に向かって確実かつ持続的に収束していくためにはECBの金融政策による支援が依然として必要だ」欧州議会で。 ユーロ円121円台から119円台後半へ下落。
2/7 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「ドイツが過小評価された通貨で米国や他の諸国を食い物にしているとの非難は偽りにも程がある」「最近のドルの上昇は米国が自ら招いたものだ」講演で。 --------
2/14 イエレン・FRB議長 「金利と雇用が当局の見通しが一致すれば、一段の利上げが適切になる」「緩和解除を長く待ちすぎるのは賢明ではない。待ちすぎればFOMCは最終的に急速なペースで利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ、リセッションに追いやるリスクが生じる恐れがある」上院での議会証言で。 ドル円113円台から114円台に、NY株価大幅に上昇。
2/15 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「状況が現在の軌道を維持すると想定すれば、2017年における3回の利上げは適切だ」講演で。 --------
2/16 ダドリー・NY連銀総裁 「われわれは今後数カ月内に金融政策緩和がさらに緩やかに解除され、金利がもう少し上昇すると予想する」講演で。 --------
2/16 ロックハート・アトランタ連銀総裁 「労働市場のさらなる改善に向け(利上げを)長期間待つことは、FOMCがとるべき好ましい姿勢ではない」「イエレン議長の記者会見が予定されていない会合でも利上げは可能」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/16 フィッシャー・FRB副議長 「具体的な数字をここで挙げるつもりはないが、この時期に想定していた状況と現状は一致している。つまりインフレ率が2%に近づき、労働市場は力強さを増し続けるという想定だ」「この二つが実現すれば、ほぼ想定していた通りの軌道に乗ることになるだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 メスター・クリーブランド連銀総裁 「米経済が現在の軌道を維持すれば金利が上昇することに満足するだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 ムニューチン・財務長官 「強いドルが長期的に良いことだ」と述べ、「人々が米経済に抱いている信頼や、米経済の他国と比べたパフォーマンスを反映している」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円112円台後半から113円台半ばへ上昇
2/22 パウエル・FRB議長 「緩やかな利上げは、かなり早期のタイミングも含めて適切になるというのが私の見方だ」講演で。 --------
2/27 カプラン・ダラス連銀総裁 「当局がごてに回るような状況にならないよう警戒したい」講演で早めの利上げを示唆。 --------
2/28 ウィリアムズSFシスコ連銀総裁 「3月に開かれるFOMCで利上げが真剣に協議されると予想している」講演で。 ドル円111円70銭〜112円90銭まで上昇
2/28 ダドリー・NY連銀総裁 「FOMC議事録の『かなり早期』は、比較的近い将来を意味する」CNNとのインタビューで。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和