今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年3月9日(木) 「ADP雇用者数大きく上振れ」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ADP雇用者数が予想を大きく上回ったことでドル円は上昇。114円75銭まで買われたが、前回の高値と同じ水準で上値を抑えられ、114円35−40銭で引ける。
  • ユーロドルは1.05台半ばから前半で小動き。ユーロ円が121円台まで上昇したが、こちらも上値を抜け切れずに小反落。
  • 株式市場は続落。来週の利上げが確実視されただけではなく、その後の利上げペースも早まるのではないかとの見方が浮上。ダウは69ドル安で、3日続落。
  • 債券相場も続落。民間雇用者数が大幅に伸びたことで利上げペースが早まるとの見方が相場を押し下げる。長期金利は一時2.58%台まで上昇し、昨年12月20日以来の高水準に。
  • 金は7日続落し1209ドル台に。原油価格は在庫が高水準だったことから大幅に売られ50ドル台に。
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 2月ADP雇用者数 → 29.8万人
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ドル/円 114.21 〜 114.75
ユーロ/ドル 1.0535 〜 1.0562
ユーロ/円 120.49 〜 121.12
NYダウ −69.03 → 20,855.73ドル
GOLD −6.70 → 1,209.40ドル
WTI −2.86 → 50.28ドル
米10年国債 +0.040 → 2.560%

本日の注目イベント

  • 中 中国2月消費者物価指数
  • 中 中国2月生産者物価指数
  • 欧 ECB政策金利発表
  • 欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
  • 米 新規失業保険申請件数

米労働市場の好調さが改めて確認できた内容でした。昨日発表された2月のADP雇用者数は、市場予想を10万人以上も上回る29.8万で、1月分も上方修正されました。この数字はほぼ3年ぶりの高水準で、明日労働省から発表される2月の雇用統計も大幅に上振れするのではないかとの期待も膨らんでいます。この内容を受けてドル円は、一時114円75銭まで上昇しましたがこのレベルは先週末にもテストして抜け切れない値位置で、昨日も同じように、ここで上値を抑えられ小幅に反落して引けています。

ADP雇用者数は、民間の給与明細書作成代行会社であるオート・データ・プロセシング社の小会社である、ADPリサーチ・インスティテュートが発表する給与名簿に基づく集計調査です。市場予想の中央値の18.7万人を大きく上回る結果でした。内訳を見ると、特に製造業や建設業部門での雇用が10万6000人増加しており、これは2002年以降で最大の増加幅だとブルームバーグは伝えています。また、従業員数が50−499人の中堅企業では12万2000人増え、49人以下の小企業でも10万4000人増加しています。大企業だけではなく、中小のメーカーでも雇用の拡大が見られることが特徴的です。今後トランプ大統領が公約したインフラ投資への1兆ドルが実施に移されたら、労働力が逼迫する事態も想定されるのではないでしょうか。

ADP雇用者数の大幅な上振れ受けて、明日の雇用統計にも上振れ期待が俄然高まってきました。最早、来週のFOMCでの利上げは完全に市場は折り込み済みです。さらに、雇用統計の内容次第ではその次の利上げも予想以上に早まる可能性も出てきます。そして、その先にあるのが「年内3回の利上げが4回に」といった見方です。現時点ではまだそこまで利上げに対して強気にはなれませんが、債券市場では徐々にそのような動きが出てくる前兆も見え始めています。

利上げは株式市場にとっては逆風になりますが、債券市場にとっても同じです。今後金利が上昇するとすれば、固定金利の債券を保有すると、金利収入の増加が見込めないからです。従って利上げ観測が高まれば、債券は売られ価格が下がると同時に利回りが上昇します。昨日のNY市場ではベンチマークの米10年国債は売られ、金利が一時2.58%台まで上昇する場面もありました。この水準は昨年12月20日以来の高水準となり、利上げを折り込む動きになっています。ドル円と米金利とは相関度が高いことは何度もこの欄で述べていますが、米金利の上昇の割には、ドル高円安が進んでいないことが気になります。因みに、昨年12月20日のドル円は117円台から118円台まで円安が進んだタイミングでした。

このころはトランプラリーの絶好調の頃で、政策の良い部分ばかりにスポットがあたり、ドル円はオーバーシュート気味だったのかもしれません。今は市場にも冷静さが戻り、トランプ大統領の遅れ気味の経済政策の発表を待っている状態で、不透明感が拭えない分、ドル円の上値を抑えている状況かと思われます。ここからは米長期金利が節目の2.6%台に乗せるかどうかが、非常に重要になってきます。本日のドル円は113円80銭〜115円程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時発言者内容市場への影響
2/1 浅川・財務官 「為替市場はマーケットで動いている。操作しているわけではない」トランプ大統領の円安誘導発言に対して。 --------
2/3 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「3回の利上げは基本シナリオとして妥当な推測、妥当な見方だ。だが正直なところ、米経済がこの基本シナリオより勢いを増す可能性は大いにあると考えられる」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/6 ドラギ・ECB総裁 「インフレ率が目標に向かって確実かつ持続的に収束していくためにはECBの金融政策による支援が依然として必要だ」欧州議会で。 ユーロ円121円台から119円台後半へ下落。
2/7 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「ドイツが過小評価された通貨で米国や他の諸国を食い物にしているとの非難は偽りにも程がある」「最近のドルの上昇は米国が自ら招いたものだ」講演で。 --------
2/14 イエレン・FRB議長 「金利と雇用が当局の見通しが一致すれば、一段の利上げが適切になる」「緩和解除を長く待ちすぎるのは賢明ではない。待ちすぎればFOMCは最終的に急速なペースで利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ、リセッションに追いやるリスクが生じる恐れがある」上院での議会証言で。 ドル円113円台から114円台に、NY株価大幅に上昇。
2/15 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「状況が現在の軌道を維持すると想定すれば、2017年における3回の利上げは適切だ」講演で。 --------
2/16 ダドリー・NY連銀総裁 「われわれは今後数カ月内に金融政策緩和がさらに緩やかに解除され、金利がもう少し上昇すると予想する」講演で。 --------
2/16 ロックハート・アトランタ連銀総裁 「労働市場のさらなる改善に向け(利上げを)長期間待つことは、FOMCがとるべき好ましい姿勢ではない」「イエレン議長の記者会見が予定されていない会合でも利上げは可能」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/16 フィッシャー・FRB副議長 「具体的な数字をここで挙げるつもりはないが、この時期に想定していた状況と現状は一致している。つまりインフレ率が2%に近づき、労働市場は力強さを増し続けるという想定だ」「この二つが実現すれば、ほぼ想定していた通りの軌道に乗ることになるだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 メスター・クリーブランド連銀総裁 「米経済が現在の軌道を維持すれば金利が上昇することに満足するだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 ムニューチン・財務長官 「強いドルが長期的に良いことだ」と述べ、「人々が米経済に抱いている信頼や、米経済の他国と比べたパフォーマンスを反映している」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円112円台後半から113円台半ばへ上昇
2/22 パウエル・FRB議長 「緩やかな利上げは、かなり早期のタイミングも含めて適切になるというのが私の見方だ」講演で。 --------
2/27 カプラン・ダラス連銀総裁 「当局がごてに回るような状況にならないよう警戒したい」講演で早めの利上げを示唆。 --------
2/28 ウィリアムズSFシスコ連銀総裁 「3月に開かれるFOMCで利上げが真剣に協議されると予想している」講演で。 ドル円111円70銭〜112円90銭まで上昇
2/28 ダドリー・NY連銀総裁 「FOMC議事録の『かなり早期』は、比較的近い将来を意味する」CNNとのインタビューで。 --------
3/1 ブレーナード・FRB理事 「前進が続くと想定すると、追加的な緩和を解除し、緩やかな道筋をたどり続けることがすぐに適切になりそうだ」ハーバード大学でのイベントで。 --------
3/2 パウエル・FRB理事 「3月に利上げする論拠がそろってきた。FOMC会合で定協議の対象になるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドル円114円台半ばへ。長期金利2.48%台へ上昇。
3/4 イエレン・FRB議長 「FOMCは今月会合で雇用とインフレが当局の期待に沿って引き続き進展しているかどうかについて検証する。そうした場合には、フェデラルファンド(FF)金利のさらなる調整が適切になる可能性が高い」「しかしながら、予期せぬ展開が経済見通しに悪影響を及ぼさない限り、緩和縮小のプロセスは過去数年のようなゆっくりしたものにはならない可能性が高い」講演で。 ドル円114円75銭まで上昇。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和