今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年3月10日(金) 「米長期金利ドル円を押し上げる」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 堅調な地合いが続いているドル円は続伸し、1月27日以来となる115円までドル高が進む。今夜の雇用統計が良好だとの見方や、長期金利の先高感がドル高を牽引。
  • ECBは政策金利据え置きを決定。ユーロドルは1.05台半ばから1.06台前半まで急伸。ユーロは対円でも121円88銭近辺まで買われる。
  • 株式市場は4日ぶりに反発したものの小幅な上昇に留まる。米金利の上昇から不動産株の下落が重石となり、ダウ、S&P500は小幅高。
  • 債券相場は続落。5年債が一段と売られ、2011年以来となる高利回りに。長期金利も2.6%台に乗せ、10年債も弱気相場入りしたとの声も。
  • 金は8日続落。原油も大幅に続落し、昨年11月末以来となる50ドル割れに。原油在庫が拡大していたことで売られた。
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 新規失業保険申請件数 → 24.3万件
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ドル/円 114.53 〜 115.00
ユーロ/ドル 1.0543 〜 1.0615
ユーロ/円 121.00 〜 121.88
NYダウ +2.46 → 20,858.19ドル
GOLD −6.20 → 1,203.20ドル
WTI −1.00 → 49.28ドル
米10年国債 +0.047 → 2.607%

本日の注目イベント

  • 独 独1月貿易収支
  • 独 独1月経常収支
  • 英 英1月鉱工業生産
  • 米 2月雇用統計
  • 米 2月財政収支

ドル円が115円ちょうどまで上昇してきました。昨日もこの欄で述べましたが、111−115円のレンジ相場が上抜けするのかどうかは米金利次第ということでしたが、その金利は、10年債利回りが2.6%台に乗せたことが支えとなりドルを押し上げました。

かつて米運用会社「ピムコ」で債券王と呼ばれたビル・グロース氏は、米10年債利回りが2.6%台に乗せ、その水準が週間ベースで続けば弱気相場が始まるシグナルだとブルームバーグとのインタビューで述べています。今週水曜日に発表された2月のADP雇用者数が市場予想を10万人以上も上回る、ポジティブサプライズだったことで、今夜の雇用統計にも上振れ期待が高まっています。労働市場の拡大が来週のFOMCでの利上げ観測にもつながり、今回の会合での利上げは「ほぼ間違いない」という見方が強まっています。また、今夜の雇用統計で賃金の上昇なども確認できれば、その次の利上げのタイミングも早まるのではないかといった見方も浮上します。

ECBは昨日理事会を開催し、予想通り政策金利の据え置きを決定しました。ドラギ総裁は会見で「相当程度の金融緩和が依然必要」と述べ、基調的なインフレ圧力は依然として弱いとの認識を示しました。(ブルームバーグ)この発言を受け、思った以上にハト派的ではなかったことからユーロは買い戻され、1.06台まで上昇しました。

NYで115円まで買われたドル円は、今朝方には115円17銭近辺まで続伸しています。ただここからのドル買いにはやや慎重さも必要でしょう。久しぶりの115円台ということで、輸出筋からはドル売り注文の入りやすい環境です。それをこなして上昇できるかどうかですが、今夜の雇用統計まではふたを開けてみなければ分かりません。週足チャートでは、ちょうどこの辺りに「120週線」が横たわっており、ドルの上昇を抑えているのが確認できます。このレジスタンスラインを明確に越えていけるかどうかも、一つのポイントになります。

今夜の雇用統計の予想を確認すると、非農業部門雇用者数は20万人、失業率は4.7%、そして注目される賃金は前月比で0.3%、前年比が2.8%といずれも前回より改善していると見られています。この数字が0.5%と3.0%であれば、ドル円は115円50銭〜116円あたりを試す可能性もあろうかと思います。因みに、今回が最後の日本時間22時半発表となり、次回からは21時半と、少し楽になります。ということで、本日の予想は114円30銭〜115円80銭程度にしたいと思います。


「アメリカ・ファースト」を前面に出して大統領選に勝利したトランプ大統領。先の議会演説も無難にこなし、「より大統領らしくなった」との声もあります。しかし、相変わらず移民問題をはじめ、政策に反対するデモは治まりません。識者の中には、「あれ以来アメリカは分断された」と分析する人もおり、USA(United States of America)もじって、今やUSAはDSA(Divided States of America) だと断じています。もし事実なら、笑えない冗談です。良い週末を・・・・・。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時発言者内容市場への影響
2/1 浅川・財務官 「為替市場はマーケットで動いている。操作しているわけではない」トランプ大統領の円安誘導発言に対して。 --------
2/3 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「3回の利上げは基本シナリオとして妥当な推測、妥当な見方だ。だが正直なところ、米経済がこの基本シナリオより勢いを増す可能性は大いにあると考えられる」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/6 ドラギ・ECB総裁 「インフレ率が目標に向かって確実かつ持続的に収束していくためにはECBの金融政策による支援が依然として必要だ」欧州議会で。 ユーロ円121円台から119円台後半へ下落。
2/7 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「ドイツが過小評価された通貨で米国や他の諸国を食い物にしているとの非難は偽りにも程がある」「最近のドルの上昇は米国が自ら招いたものだ」講演で。 --------
2/14 イエレン・FRB議長 「金利と雇用が当局の見通しが一致すれば、一段の利上げが適切になる」「緩和解除を長く待ちすぎるのは賢明ではない。待ちすぎればFOMCは最終的に急速なペースで利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ、リセッションに追いやるリスクが生じる恐れがある」上院での議会証言で。 ドル円113円台から114円台に、NY株価大幅に上昇。
2/15 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「状況が現在の軌道を維持すると想定すれば、2017年における3回の利上げは適切だ」講演で。 --------
2/16 ダドリー・NY連銀総裁 「われわれは今後数カ月内に金融政策緩和がさらに緩やかに解除され、金利がもう少し上昇すると予想する」講演で。 --------
2/16 ロックハート・アトランタ連銀総裁 「労働市場のさらなる改善に向け(利上げを)長期間待つことは、FOMCがとるべき好ましい姿勢ではない」「イエレン議長の記者会見が予定されていない会合でも利上げは可能」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/16 フィッシャー・FRB副議長 「具体的な数字をここで挙げるつもりはないが、この時期に想定していた状況と現状は一致している。つまりインフレ率が2%に近づき、労働市場は力強さを増し続けるという想定だ」「この二つが実現すれば、ほぼ想定していた通りの軌道に乗ることになるだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 メスター・クリーブランド連銀総裁 「米経済が現在の軌道を維持すれば金利が上昇することに満足するだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 ムニューチン・財務長官 「強いドルが長期的に良いことだ」と述べ、「人々が米経済に抱いている信頼や、米経済の他国と比べたパフォーマンスを反映している」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円112円台後半から113円台半ばへ上昇
2/22 パウエル・FRB議長 「緩やかな利上げは、かなり早期のタイミングも含めて適切になるというのが私の見方だ」講演で。 --------
2/27 カプラン・ダラス連銀総裁 「当局がごてに回るような状況にならないよう警戒したい」講演で早めの利上げを示唆。 --------
2/28 ウィリアムズSFシスコ連銀総裁 「3月に開かれるFOMCで利上げが真剣に協議されると予想している」講演で。 ドル円111円70銭〜112円90銭まで上昇
2/28 ダドリー・NY連銀総裁 「FOMC議事録の『かなり早期』は、比較的近い将来を意味する」CNNとのインタビューで。 --------
3/1 ブレーナード・FRB理事 「前進が続くと想定すると、追加的な緩和を解除し、緩やかな道筋をたどり続けることがすぐに適切になりそうだ」ハーバード大学でのイベントで。 --------
3/2 パウエル・FRB理事 「3月に利上げする論拠がそろってきた。FOMC会合で定協議の対象になるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドル円114円台半ばへ。長期金利2.48%台へ上昇。
3/4 イエレン・FRB議長 「FOMCは今月会合で雇用とインフレが当局の期待に沿って引き続き進展しているかどうかについて検証する。そうした場合には、フェデラルファンド(FF)金利のさらなる調整が適切になる可能性が高い」「しかしながら、予期せぬ展開が経済見通しに悪影響を及ぼさない限り、緩和縮小のプロセスは過去数年のようなゆっくりしたものにはならない可能性が高い」講演で。 ドル円114円75銭まで上昇。
3/9 ドラギ・ECB総裁 「相当程度の金融緩和が依然必要」政策金利据え置きを決めた後の記者会見で。 ユーロ円120円台から121円台後半へ急騰。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和