今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年3月16日(木) 「FOMC受けドル急落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • FOMCでは予想通り利上げを決めたものの、メンバーによる金利見通しでは、前回と変わらず残り2回との見方にドルが急落。113円17銭まで一気にドル安円高が進む。
  • ユーロドルでもドル安ユーロ高が進む。オランダの総選挙で、出口調査では現与党の自民党が勝利との報道に、ユーロドルは1.07台半ばまで上昇。
  • 株式市場は反発。FOMC参加者の年内利上げ予測が変わっていなかったことで安心感が広がる。ダウは122ドル上昇し2万900ドル台を回復。
  • 債券相場は急伸。利上げペースが変わらないとの見方に、買い戻しが集まる。長期金利は2.5%を割り込む。
  • 金は小幅に続落。原油価格は在庫の減少が予想以上だったことを材料に8日ぶりに反発し、48ドル台を回復。
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 3月NY連銀製造業景気指数 →  16.40
 2月消費者物価指数     →  +0.1%
 2月小売売上高       →  +0.1%
 3月NAHB住宅市場指数  →  71
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ドル/円 113.17 〜 114.82
ユーロ/ドル 1.0607 〜 1.0740
ユーロ/円 121.20 〜 122.06
NYダウ +122.73 → 20,950.10ドル
GOLD −1.90 → 1,200.75ドル
WTI +1.14 → 48.86ドル
米10年国債 −0.107 → 2.493%

本日の注目イベント

  • 豪 豪2月雇用統計
  • 欧 ユーロ圏2月消費者物価指数(改定値)
  • 英 BOE金融政策発表
  • 英 BOE議事録
  • 米 2月住宅着工件数
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 3月フィラデルフィア連銀景況指数
  • 米 トランプ政権、予算概要を議会に提出

予想通りFOMCでは、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を0.25%引け上げました。昨日のコメントでも述べたように、市場の注目は今後の利上げ見通しで、メンバーの見通しが2017年、18年とも、これまでと変わっていなかったことで ドルは急落。ドル円は113円17銭まで売られ、ユーロドルは1.0740までドル安が進みました。

多くの市場参加者が今後の利上げペースに着目していたことは明らかです。利上げペースがこれまで通り緩やかであるとの見立てに、ドルが売られ、金利上昇を嫌う株と債券が買われました。特に米長期債は前日比10bp以上の金利低下につながっており、これがドル円を一気に113円台前半まで押し下げたともいえます。

FOMC声明文では「労働市場とインフレに関する現状および予想を考慮し、委員会はFF金利誘導目標のレンジ引き上げを決定した」と表明。「短期的なリスクはおおよそ均衡しているように見受けられる」とも述べています。注目されたイエレン議長の記者会見では「金融緩和の緩やかな解除という決定は経済の進展継続を反映している」とし、「この日の決定はその見解に沿うもので、判断変更はしていない」と述べています。(ブルームバーグ)

また「当局の経済予測は昨年12月に示したものとほぼ同じだ」とも述べ、市場はこの言葉に反応したように思えます。良好な経済データを背景に、年4回の利上げ観測が盛り上がっていました。JPモルガンやゴールドマンが年4回の利上げに予想を変更するなど、市場が4回利上げの「言質」を催促していたようなところもあったことで、今回のイエレン議長の発言は、それをけん制するような印象とも受け取れます。先走る市場にブレイキをかけることによって、株や債券市場を落ち着かせようとしたところもあったのではないでしょうか。個人的には、それほど今回の議長の会見は「ハト派的」だったという印象です。

ドル円の113円台前半にはやや驚きましたが、ユーロドルの1.07台半ばにはもっと驚きました。このレベルは約5週間ぶりで、「日足」では雲抜けが完成しています。ユーロドルの「雲抜け」は昨年9下旬以来となるユーロ高で、これは上記イエレン議長の発言に加え欧州の政治リスクが一つ取り除かれたことも大きく影響しています。

今朝の報道ではオランダの総選挙で、出口調査を基に、ルッテ首相率いる与党・自由民主党が最大議席を獲得し、反イスラムを掲げる極右・自由党を破ったと伝えています。イギリス、アメリカと続いたポピュリズムの波が、今回の選挙で一旦止まったと見られ、来月のフランス大統領選での安心感につながっています。

FOMCで利上げに踏み切った背景は、米経済が順調に拡大しているからに他なりません。しかも、現時点ではまだトランプ政策は実施されていない状況です。このように考えると、この先ドルがさらに大きく売られる可能性は低いと予想します。もみ合いを続け、今後はトランプ大統領の予算教書の中身を見極める必要があります。ただしユーロドルがこのレベルからさらに上昇し、1.1を目指す展開になるようなら円も連れ高となり、再び111円台を狙いに行くことも考えられるため、ユーロドルの動きにも目配りをしたいと思います。本日の予想レンジは112円80銭〜114円程度と見ます。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時発言者内容市場への影響
2/1 浅川・財務官 「為替市場はマーケットで動いている。操作しているわけではない」トランプ大統領の円安誘導発言に対して。 --------
2/3 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「3回の利上げは基本シナリオとして妥当な推測、妥当な見方だ。だが正直なところ、米経済がこの基本シナリオより勢いを増す可能性は大いにあると考えられる」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/6 ドラギ・ECB総裁 「インフレ率が目標に向かって確実かつ持続的に収束していくためにはECBの金融政策による支援が依然として必要だ」欧州議会で。 ユーロ円121円台から119円台後半へ下落。
2/7 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「ドイツが過小評価された通貨で米国や他の諸国を食い物にしているとの非難は偽りにも程がある」「最近のドルの上昇は米国が自ら招いたものだ」講演で。 --------
2/14 イエレン・FRB議長 「金利と雇用が当局の見通しが一致すれば、一段の利上げが適切になる」「緩和解除を長く待ちすぎるのは賢明ではない。待ちすぎればFOMCは最終的に急速なペースで利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ、リセッションに追いやるリスクが生じる恐れがある」上院での議会証言で。 ドル円113円台から114円台に、NY株価大幅に上昇。
2/15 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「状況が現在の軌道を維持すると想定すれば、2017年における3回の利上げは適切だ」講演で。 --------
2/16 ダドリー・NY連銀総裁 「われわれは今後数カ月内に金融政策緩和がさらに緩やかに解除され、金利がもう少し上昇すると予想する」講演で。 --------
2/16 ロックハート・アトランタ連銀総裁 「労働市場のさらなる改善に向け(利上げを)長期間待つことは、FOMCがとるべき好ましい姿勢ではない」「イエレン議長の記者会見が予定されていない会合でも利上げは可能」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/16 フィッシャー・FRB副議長 「具体的な数字をここで挙げるつもりはないが、この時期に想定していた状況と現状は一致している。つまりインフレ率が2%に近づき、労働市場は力強さを増し続けるという想定だ」「この二つが実現すれば、ほぼ想定していた通りの軌道に乗ることになるだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 メスター・クリーブランド連銀総裁 「米経済が現在の軌道を維持すれば金利が上昇することに満足するだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 ムニューチン・財務長官 「強いドルが長期的に良いことだ」と述べ、「人々が米経済に抱いている信頼や、米経済の他国と比べたパフォーマンスを反映している」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円112円台後半から113円台半ばへ上昇
2/22 パウエル・FRB議長 「緩やかな利上げは、かなり早期のタイミングも含めて適切になるというのが私の見方だ」講演で。 --------
2/27 カプラン・ダラス連銀総裁 「当局がごてに回るような状況にならないよう警戒したい」講演で早めの利上げを示唆。 --------
2/28 ウィリアムズSFシスコ連銀総裁 「3月に開かれるFOMCで利上げが真剣に協議されると予想している」講演で。 ドル円111円70銭〜112円90銭まで上昇
2/28 ダドリー・NY連銀総裁 「FOMC議事録の『かなり早期』は、比較的近い将来を意味する」CNNとのインタビューで。 --------
3/1 ブレーナード・FRB理事 「前進が続くと想定すると、追加的な緩和を解除し、緩やかな道筋をたどり続けることがすぐに適切になりそうだ」ハーバード大学でのイベントで。 --------
3/2 パウエル・FRB理事 「3月に利上げする論拠がそろってきた。FOMC会合で定協議の対象になるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドル円114円台半ばへ。長期金利2.48%台へ上昇。
3/4 イエレン・FRB議長 「FOMCは今月会合で雇用とインフレが当局の期待に沿って引き続き進展しているかどうかについて検証する。そうした場合には、フェデラルファンド(FF)金利のさらなる調整が適切になる可能性が高い」「しかしながら、予期せぬ展開が経済見通しに悪影響を及ぼさない限り、緩和縮小のプロセスは過去数年のようなゆっくりしたものにはならない可能性が高い」講演で。 ドル円114円75銭まで上昇。
3/9 ドラギ・ECB総裁 「相当程度の金融緩和が依然必要」政策金利据え置きを決めた後の記者会見で。 ユーロ円120円台から121円台後半へ急騰。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和