今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年3月22日(水) 「ドル円続落し111円台半ばに」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は約4カ月ぶりとなる111円55銭まで下落。トランプ政権の政策見通しが不透明なことを背景に、株価が急落。長期金利も低下したことでドル売りが強まった。
  • ユーロドルも1.0819近辺まで続伸し、1カ月半ぶりのユーロ高を記録。フランス大統領選で極右のルペン氏の支持率が下がったこともユーロ買いにつながった。
  • 株価は大幅に続落。北朝鮮が核ミサイルプログラムを加速させるとの報道も嫌気されダウは237ドル安。昨年11月の大統領選後で最大の下落。
  • 債券相場は続伸。株価の大幅安から安全資産の債券に資金が向かった。長期金利は2.41%台まで低下。
  • ドルが売られたことで金は続伸。原油価格は米在庫増加の見通しから4日続落し47ドル台に。
ドル/円 111.55 〜 112.69
ユーロ/ドル 1.0793 〜 1.0819
ユーロ/円 120.61 〜 121.67
NYダウ −237.85 → 20,668.01ドル
GOLD +12.50 → 1,246.50ドル
WTI −0.88 → 47.34ドル
米10年国債 −0.043 → 2.418%

本日の注目イベント

  • 日 2月貿易収支
  • 日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(1月30日、31日分)
  • 米 1月FHFA住宅価格指数
  • 米 2月中古住宅販売件数

ドル円はNY市場で111円55銭まで売られ、再び重要なサポートレベルまで下落して来ました。決定的なドル売り材料があったわけでもなく、北朝鮮で核ミサイルの開発が加速するとの報道はあったものの、結局はトランプ政権の財政面での刺激策が行き詰まる可能性があるとの見方が広がったことが背景です。

好調だった株価も、昨日はダウが237ドル下げ、その他の主要株価指数も大幅に下落しています。昨日の下げは昨年11月のトランプラリーでは最大の下げになっています。リスク資産の株が売られたことから円が買われ、ドル円はテクニカル上でも重要な位置に来ています。

今年に入って何度も下値を試しましたが、111円50−70銭のレベルでは全て跳ね返されていました。昨日のNYでも同じように111円55銭で一旦は下げ止まっています。ここには「日足」の120日線があり、この120日線を明確に下回れば、ヘッジファンドなどが売りで攻めるとも言われています。

さらにこの近辺には「週足」の雲の上限もあります。この上限を割り込んで雲の中に入ると、200日線が110円近辺にあることからこのレベルが再び次の重要なサポートになる可能性があります。さすがに「週足」のこの雲は相当厚いため、この雲を下抜けするのは簡単ではないと思われます。

本コメント執筆時にも111円43銭あたりまでドル安が進み、NY市場でのドルの安値を下回って来ています。NYダウが237ドル下げたことで、本日の日経平均株価も大幅な下げは避けられない状況です。1万9000円の大台を割りむとすれば、前日比で450円以上の下げになる計算ですが、どうでしょうか。

下値のめどは111円ということになりそうですが、この欄でも何度も述べているように、ユーロドルも1.08台までドル安が進んでいます。さらに上昇して、1.10を目指すようだと、ドル円も110円を目指すことになるかもしれませんが、その水準はドルを一旦は拾ってもいい水準だと思います。トランプ政権の良い部分だけが強調されて101円台から118円台まで買われたドルでしたが、ここにきて、反対に悪い部分に焦点が当たってきた印象です。ただまだ判断を下す段階ではありません。景気刺激策の規模については議会の議論を経る必要があり、ここを見極めたいと思うからです。本日のレンジは111円〜112円程度と予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時発言者内容市場への影響
2/1 浅川・財務官 「為替市場はマーケットで動いている。操作しているわけではない」トランプ大統領の円安誘導発言に対して。 --------
2/3 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「3回の利上げは基本シナリオとして妥当な推測、妥当な見方だ。だが正直なところ、米経済がこの基本シナリオより勢いを増す可能性は大いにあると考えられる」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/6 ドラギ・ECB総裁 「インフレ率が目標に向かって確実かつ持続的に収束していくためにはECBの金融政策による支援が依然として必要だ」欧州議会で。 ユーロ円121円台から119円台後半へ下落。
2/7 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「ドイツが過小評価された通貨で米国や他の諸国を食い物にしているとの非難は偽りにも程がある」「最近のドルの上昇は米国が自ら招いたものだ」講演で。 --------
2/14 イエレン・FRB議長 「金利と雇用が当局の見通しが一致すれば、一段の利上げが適切になる」「緩和解除を長く待ちすぎるのは賢明ではない。待ちすぎればFOMCは最終的に急速なペースで利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ、リセッションに追いやるリスクが生じる恐れがある」上院での議会証言で。 ドル円113円台から114円台に、NY株価大幅に上昇。
2/15 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「状況が現在の軌道を維持すると想定すれば、2017年における3回の利上げは適切だ」講演で。 --------
2/16 ダドリー・NY連銀総裁 「われわれは今後数カ月内に金融政策緩和がさらに緩やかに解除され、金利がもう少し上昇すると予想する」講演で。 --------
2/16 ロックハート・アトランタ連銀総裁 「労働市場のさらなる改善に向け(利上げを)長期間待つことは、FOMCがとるべき好ましい姿勢ではない」「イエレン議長の記者会見が予定されていない会合でも利上げは可能」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/16 フィッシャー・FRB副議長 「具体的な数字をここで挙げるつもりはないが、この時期に想定していた状況と現状は一致している。つまりインフレ率が2%に近づき、労働市場は力強さを増し続けるという想定だ」「この二つが実現すれば、ほぼ想定していた通りの軌道に乗ることになるだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 メスター・クリーブランド連銀総裁 「米経済が現在の軌道を維持すれば金利が上昇することに満足するだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 ムニューチン・財務長官 「強いドルが長期的に良いことだ」と述べ、「人々が米経済に抱いている信頼や、米経済の他国と比べたパフォーマンスを反映している」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円112円台後半から113円台半ばへ上昇
2/22 パウエル・FRB議長 「緩やかな利上げは、かなり早期のタイミングも含めて適切になるというのが私の見方だ」講演で。 --------
2/27 カプラン・ダラス連銀総裁 「当局がごてに回るような状況にならないよう警戒したい」講演で早めの利上げを示唆。 --------
2/28 ウィリアムズSFシスコ連銀総裁 「3月に開かれるFOMCで利上げが真剣に協議されると予想している」講演で。 ドル円111円70銭〜112円90銭まで上昇
2/28 ダドリー・NY連銀総裁 「FOMC議事録の『かなり早期』は、比較的近い将来を意味する」CNNとのインタビューで。 --------
3/1 ブレーナード・FRB理事 「前進が続くと想定すると、追加的な緩和を解除し、緩やかな道筋をたどり続けることがすぐに適切になりそうだ」ハーバード大学でのイベントで。 --------
3/2 パウエル・FRB理事 「3月に利上げする論拠がそろってきた。FOMC会合で定協議の対象になるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドル円114円台半ばへ。長期金利2.48%台へ上昇。
3/4 イエレン・FRB議長 「FOMCは今月会合で雇用とインフレが当局の期待に沿って引き続き進展しているかどうかについて検証する。そうした場合には、フェデラルファンド(FF)金利のさらなる調整が適切になる可能性が高い」「しかしながら、予期せぬ展開が経済見通しに悪影響を及ぼさない限り、緩和縮小のプロセスは過去数年のようなゆっくりしたものにはならない可能性が高い」講演で。 ドル円114円75銭まで上昇。
3/9 ドラギ・ECB総裁 「相当程度の金融緩和が依然必要」政策金利据え置きを決めた後の記者会見で。 ユーロ円120円台から121円台後半へ急騰。
3/15 イエレン・FRB議長 「金融緩和の緩やかな解除という決定は経済の進展継続を反映している」「この日の決定はその見解に沿うもので、判断変更はしていない」「当局の経済予測は昨年12月に示したものとほぼ同じだ」利上げを決めた後の会見で。 ドル円114.70 → 113.17、ユーロドル1.0630 → 1.0740へ
3/16 ムニューチン・財務長官 「長期的に最大の利益として、ドルの強さは良いことであり、長期的なドルの強さは準備通貨への信頼の表れだと思う」ショイブレ独財務長官との共同記者会見で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和