今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年3月28日(火) 「ユーロドル4カ月半ぶりに1.09台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円はアジア市場でのドル安や、長期金利の低下を受け 110円11銭まで下落。ただその後は株価が下げ幅を縮小したこともあり、110円台半ばまで値を戻して引ける。
  • ユーロドルは続伸し、昨年11月以来となる1.09台に乗せる。ドル安が進んだことでユーロの買い戻しが進んだ。
  • 株式市場はまちまち。ダウは朝方には大きく下げたが、午後には下げ幅を縮小し、それでも7日続落となる45ドル安。ナスダックは11ポイント続伸。
  • 債券相場は続伸。ヘルスケア法案の失敗で景気への期待も薄れる。長期金利は2.37%台まで低下。
  • 金は続伸し1カ月ぶりに1255ドル台を回復。原油は続落。
ドル/円 110.11 〜 110.68
ユーロ/ドル 1.0862 〜 1.0906
ユーロ/円 119.78 〜 120.32
NYダウ −45.74 → 20,550.98ドル
GOLD +7.20 → 1,255.70ドル
WTI −0.24 → 47.73ドル
米10年国債 −0.034 → 2.378%

本日の注目イベント

  • 米 1月ケース・シラ−住宅価格指数
  • 米 3月消費者信頼感指数
  • 米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁講演

ドル円は昨日の朝方には、これまでサポートレベルであった110円50−70銭をあっさりと割り込み、110円台前半まで円高が進みました。日経平均株価も1万9000円の大台を大きく割り込み、ドル安と株安が同時に進んだ形でした。NY市場でもこの流れを受け、株価は朝方から大きく値を下げ、ドル円も一時は110円11銭まで下げましたが、かろうじて110円割れは回避しています。トランプ政権の政策実行力に対する不透明感が急速に広がり、リスク回避の流れが拡大しました。

トランプ相場へ期待がしぼんだことで、株安、債券高、さらには金も買われ、為替市場では円だけではなく、ユーロも大きく買われてきました。ユーロドルは1.0906までユーロ高が進み、昨年11月11日以来4カ月半ぶりの水準を記録しています。ドル安が進んだことだけではなく、ECBがテーパリングに踏み切るのではないかとの見方がじわじわと広がっていることも、ユーロ買いを促しているものと見られます。

ドル安の流れが強まったこの日は、連銀総裁のやや「タカ派発言」も飲み込まれた格好でした。シカゴ連銀のエバンス総裁はブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで「私が自らの予測への確信をどこまで強めるかが、3回の利上げを支持し得る良い指標となろう」とした上で、「不確実性がもう少し強い場合は、2回が適切かもしれない」と述べています。

ドル円は110円の大台割れは回避できましたが、これは昨日も述べたようにトランプラリーの半値戻しが109円93銭あたりにあることが意識されたこともあったかと思います。ブルームバーグのニュースでは109円80銭には、ドル買い注文が集まっているとの記事もあります。

今後の動きは、やはりトランプ大統領の政策次第ということです。オバマケアに代わる新しいヘルスケア法案の成立でつまずいたわけですが、法案を取り下げたことで、今後税制改革を柱に政策を進めやすいという見方も台頭し、株価の下げを抑制している面もあります。110円台半ばで戻ってきたドル円は、この水準でもみ合って、再び110円割れを試しに行くのか、あるいはここで粘り腰をみせてゆっくりと反転に向かうのか正念場になります。

本日の予想レンジは昨日と同様に、110−111円程度とみますが、「1時間足」では、雲が薄い分、雲を上抜けしやすい状況にはなっています。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
2/1 浅川・財務官 「為替市場はマーケットで動いている。操作しているわけではない」トランプ大統領の円安誘導発言に対して。 --------
2/3 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「3回の利上げは基本シナリオとして妥当な推測、妥当な見方だ。だが正直なところ、米経済がこの基本シナリオより勢いを増す可能性は大いにあると考えられる」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/6 ドラギ・ECB総裁 「インフレ率が目標に向かって確実かつ持続的に収束していくためにはECBの金融政策による支援が依然として必要だ」欧州議会で。 ユーロ円121円台から119円台後半へ下落。
2/7 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「ドイツが過小評価された通貨で米国や他の諸国を食い物にしているとの非難は偽りにも程がある」「最近のドルの上昇は米国が自ら招いたものだ」講演で。 --------
2/14 イエレン・FRB議長 「金利と雇用が当局の見通しが一致すれば、一段の利上げが適切になる」「緩和解除を長く待ちすぎるのは賢明ではない。待ちすぎればFOMCは最終的に急速なペースで利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ、リセッションに追いやるリスクが生じる恐れがある」上院での議会証言で。 ドル円113円台から114円台に、NY株価大幅に上昇。
2/15 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「状況が現在の軌道を維持すると想定すれば、2017年における3回の利上げは適切だ」講演で。 --------
2/16 ダドリー・NY連銀総裁 「われわれは今後数カ月内に金融政策緩和がさらに緩やかに解除され、金利がもう少し上昇すると予想する」講演で。 --------
2/16 ロックハート・アトランタ連銀総裁 「労働市場のさらなる改善に向け(利上げを)長期間待つことは、FOMCがとるべき好ましい姿勢ではない」「イエレン議長の記者会見が予定されていない会合でも利上げは可能」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/16 フィッシャー・FRB副議長 「具体的な数字をここで挙げるつもりはないが、この時期に想定していた状況と現状は一致している。つまりインフレ率が2%に近づき、労働市場は力強さを増し続けるという想定だ」「この二つが実現すれば、ほぼ想定していた通りの軌道に乗ることになるだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 メスター・クリーブランド連銀総裁 「米経済が現在の軌道を維持すれば金利が上昇することに満足するだろう」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
2/22 ムニューチン・財務長官 「強いドルが長期的に良いことだ」と述べ、「人々が米経済に抱いている信頼や、米経済の他国と比べたパフォーマンスを反映している」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円112円台後半から113円台半ばへ上昇
2/22 パウエル・FRB議長 「緩やかな利上げは、かなり早期のタイミングも含めて適切になるというのが私の見方だ」講演で。 --------
2/27 カプラン・ダラス連銀総裁 「当局がごてに回るような状況にならないよう警戒したい」講演で早めの利上げを示唆。 --------
2/28 ウィリアムズSFシスコ連銀総裁 「3月に開かれるFOMCで利上げが真剣に協議されると予想している」講演で。 ドル円111円70銭〜112円90銭まで上昇
2/28 ダドリー・NY連銀総裁 「FOMC議事録の『かなり早期』は、比較的近い将来を意味する」CNNとのインタビューで。 --------
3/1 ブレーナード・FRB理事 「前進が続くと想定すると、追加的な緩和を解除し、緩やかな道筋をたどり続けることがすぐに適切になりそうだ」ハーバード大学でのイベントで。 --------
3/2 パウエル・FRB理事 「3月に利上げする論拠がそろってきた。FOMC会合で定協議の対象になるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドル円114円台半ばへ。長期金利2.48%台へ上昇。
3/4 イエレン・FRB議長 「FOMCは今月会合で雇用とインフレが当局の期待に沿って引き続き進展しているかどうかについて検証する。そうした場合には、フェデラルファンド(FF)金利のさらなる調整が適切になる可能性が高い」「しかしながら、予期せぬ展開が経済見通しに悪影響を及ぼさない限り、緩和縮小のプロセスは過去数年のようなゆっくりしたものにはならない可能性が高い」講演で。 ドル円114円75銭まで上昇。
3/9 ドラギ・ECB総裁 「相当程度の金融緩和が依然必要」政策金利据え置きを決めた後の記者会見で。 ユーロ円120円台から121円台後半へ急騰。
3/15 イエレン・FRB議長 「金融緩和の緩やかな解除という決定は経済の進展継続を反映している」「この日の決定はその見解に沿うもので、判断変更はしていない」「当局の経済予測は昨年12月に示したものとほぼ同じだ」利上げを決めた後の会見で。 ドル円114.70 → 113.17、ユーロドル1.0630 → 1.0740へ
3/16 ムニューチン・財務長官 「長期的に最大の利益として、ドルの強さは良いことであり、長期的なドルの強さは準備通貨への信頼の表れだと思う」ショイブレ独財務長官との共同記者会見で。 --------
3/23 ウィリアムズ・SFシスコ連銀総裁 「金融当局の取り組み次第では、年内に3回かもしくはそれ以上の利上げが理にかなう」WSJ紙とのインタビューで。 --------
3/24 ダドリー・NY連銀総裁 「緩和を少し取り除くこと、つまり金利を少し上げることで、おそらく軟着陸を達成し、失業率とインフレに関して経済を現状に維持するであろう」講演で。 --------
3/24 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレや失業率を現在のレベルに維持するにはもっと早いペースで利上げを実行すべきと考えている同僚もいるようだ。私はその必要はないと思う。もっと静観姿勢でいてよいと思っている。」講演で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和