今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年4月12日(水) 「ドル円110円を割り込む」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円はこれまでサポートされてきた110円台前半を割り込むと一気に109円80銭あたりまで下落。北朝鮮問題など、地政学的リスクが高まり、円が全面高に。引けにかけては109円台半ばまで円高が進む。
  • ユーロドルでもユーロ高が進んだが上値は限定的。その後ユーロ円の売りも出て、1.06近辺で推移。
  • 株式市場は朝方には大幅に下落したものの、大引けでは小幅安で終わりダウは6ドル安。一方で「VIX指数」は急上昇。
  • 安全資産の債券は続伸。トランプ大統領が北朝鮮に対しても強硬姿勢を見せたことから買いが優勢に。長期金利は2.29%台へと急低下。
  • 地政学的リスクの高まりから金は20ドルを超える大幅高に。原油価格も32セント高と続伸。
ドル/円 109.61 〜 110.59
ユーロ/ドル 1.0600 〜 1.0630
ユーロ/円 116.17 〜 117.40
NYダウ −6.72 → 20,651.30ドル
GOLD +20.30 → 1,274.20ドル
WTI +0.32 → 53.40ドル
米10年国債 −0.070 → 2.296%

本日の注目イベント

  • 中 中国 3月消費者物価指数
  • 中 中国 3月生産者物価指数
  • 英 英3月雇用統計
  • 米 3月財政収支
  • 加 カナダ中銀政策金利発表

昨日この欄でも懸念したように、ドル円は110円の大台を割り込み、大きく円高方向にシフトしました。シリア情勢に加えて、北朝鮮に対しても米国が軍事行動に出る可能性が高まったことで、安全通貨の円が全面高の様相です。ドルの代替資産としての役割がある金も20ドルを超える上昇を見せ、安全資産の国債も買われ、長期金利は2.3%の節目を割り込んで来ました。投資家は急速にリスクを回避する行動に出ています。

トランプ大統領はツイッターで「中国が協力しないのなら、われわれだけで問題を解決する」と述べ、単独でも行動する姿勢を示しています。一方北朝鮮は昨日、最高人民会議を開催し、「核強国、軍事強国としての威力を強化する」との方針を示しており、朝鮮半島での緊張が一段と高まって来ました。米中首脳会談の最中でも、シリアへの攻撃命令を出すなど、トランプ大統領はいい悪いは別にしても、われわれが想像するよりも強硬で、決断力があるのかもしれません。米国が軍事行動に出るのかどうかも重要ですが、同時に中国が北朝鮮に対してどのような行動を示すのか、あるいはロシアの出方にも注目が集まります。

ドル円は5カ月ぶりに109円台まで円高が進んで来ました。朝方も109円54銭まで円が買われ、ユーロ円も116円台前半まで下げ、豪ドル円も82円目前まで下げています。円が全面高の展開になっていますが、今回の緊張の高まりは朝鮮半島での有事の可能性が震源地です。万が一米国の攻撃に対して北朝鮮も反撃するようだと、日本もその対象国になることも想定され、果たして円を買っていていいのかという疑問も出てきます。これまでの有事は、中東だったり、クリミア半島だったり、日本からは相当距離を置いての緊張でした。もし軍事行動が開始された場合には、このあたりのことも頭に入れておきたいと思います。

本日は神経質な動きが予想されます。NY株式市場は結局小幅安で引けていますが、恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」は15まで急上昇しており、本日の日本株も、どこまで下げるのかというのが焦点です。下値のメドは109円近辺ですが、これも今後の米国の行動次第です。予想レンジは109円〜110円30銭程度と見ますが、市場が落ち着いた動きを見せるようだと、110円台への回復もあるかもしれませんが、その場合でもこれまでのサポートであった110円10−20銭あたりが、今度はレジスタンスとして機能することも想定されます。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/1 ブレーナード・FRB理事 「前進が続くと想定すると、追加的な緩和を解除し、緩やかな道筋をたどり続けることがすぐに適切になりそうだ」ハーバード大学でのイベントで。 --------
3/2 パウエル・FRB理事 「3月に利上げする論拠がそろってきた。FOMC会合で定協議の対象になるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドル円114円台半ばへ。長期金利2.48%台へ上昇。
3/4 イエレン・FRB議長 「FOMCは今月会合で雇用とインフレが当局の期待に沿って引き続き進展しているかどうかについて検証する。そうした場合には、フェデラルファンド(FF)金利のさらなる調整が適切になる可能性が高い」「しかしながら、予期せぬ展開が経済見通しに悪影響を及ぼさない限り、緩和縮小のプロセスは過去数年のようなゆっくりしたものにはならない可能性が高い」講演で。 ドル円114円75銭まで上昇。
3/9 ドラギ・ECB総裁 「相当程度の金融緩和が依然必要」政策金利据え置きを決めた後の記者会見で。 ユーロ円120円台から121円台後半へ急騰。
3/15 イエレン・FRB議長 「金融緩和の緩やかな解除という決定は経済の進展継続を反映している」「この日の決定はその見解に沿うもので、判断変更はしていない」「当局の経済予測は昨年12月に示したものとほぼ同じだ」利上げを決めた後の会見で。 ドル円114.70 → 113.17、ユーロドル1.0630 → 1.0740へ
3/16 ムニューチン・財務長官 「長期的に最大の利益として、ドルの強さは良いことであり、長期的なドルの強さは準備通貨への信頼の表れだと思う」ショイブレ独財務長官との共同記者会見で。 --------
3/23 ウィリアムズ・SFシスコ連銀総裁 「金融当局の取り組み次第では、年内に3回かもしくはそれ以上の利上げが理にかなう」WSJ紙とのインタビューで。 --------
3/24 ダドリー・NY連銀総裁 「緩和を少し取り除くこと、つまり金利を少し上げることで、おそらく軟着陸を達成し、失業率とインフレに関して経済を現状に維持するであろう」講演で。 --------
3/24 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレや失業率を現在のレベルに維持するにはもっと早いペースで利上げを実行すべきと考えている同僚もいるようだ。私はその必要はないと思う。もっと静観姿勢でいてよいと思っている。」講演で。 --------
3/28 フィッシャー・FRB副議長 「FOMC参加者の予想中央値で示された今年あと2回の利上げは概ね適切のようだ」、「それは私自身の予測でもある」CNBCとのインタビューで。 ドル円110円台前半から111円台に上昇
3/30 ウィリアムズ・SFシスコ連銀総裁 「経済データ次第では、もしかしたら今年4回の利上げか適切となるかもしれない」FOXテレビとのインタビューで。 ドル円上昇の一因に
3/30 ダドリー・NY連銀総裁 「中長期的に経済成長とインフレ率へのリスクは上振れしている公算があると見られる」講演で。 ドル円上昇の一因に
4/3 マクロン・前経済相 「決戦投票でルペン氏は勝てないという人々は、トランプ氏の勝利はあり得ないと言っていた人たちと同じだ」ルモンド紙とのインタビューで、ルペン氏の勝利の可能性も排除できないとの認識を示す。 --------
4/5 FOMC議事録 「大部分の参加者は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な上昇が継続すると予想し、FOMCの再投資政策の変更が年内に適切になる可能性が高いと判断した」 ドル円111円台半ばから110円台半ばへ。NYダウ高値から200ドルを超える下落。
4/10 イエレン・FRB議長 「以前は、われわれは可能な限り活力を米経済に与えようとアクセルを踏み込まなければならなかったが、現在はアクセルを強く踏むほどではない」講演で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和