今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年4月19日(水) 「ドル円109円台を維持できず」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は109円台を維持できず反落。経済指標もいまいちで、金利低下や株安に反応し、108円台前半までドルは下落。
  • ドル安の流れにユーロドルも急伸。一時は1.0736と、約3週間ぶりのユーロ高に。
  • ポンドが大幅に上昇。メイ首相が解散総選挙を行うことを表明したことで、対ドルでは1.29台に乗せる。
  • 株式市場は反落。ゴールドマンの決算が市場予想に届かなかったことで大幅に下落し、ダウ全体の足を引っ張った。ダウは113ドル安で取引を終える。
  • 債券相場は反発し、長期金利は今年最低水準にまで低下。朝鮮半島での緊張や、欧州での政治リスクを手がかりに買われる。長期金利は2.16%台まで急低下。
  • 金は買われ5日続伸。原油は続落。
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 3月住宅着工件数 → 121.5万件
 3月建設許可件数 → 126.0万件
 3月鉱工業生産 → +0.5%
 3月設備稼働率 → 76.1%
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ドル/円 108.32 〜 108.95
ユーロ/ドル 1.0677 〜 1.0736
ユーロ/円 115.98 〜 116.49
NYダウ −113.64 → 20,523.28ドル
GOLD +2.20 → 1,294.10ドル
WTI −0.24 → 52.41ドル
米10年国債 −0.082 → 2.168%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏2月貿易収支
  • 欧 ユーロ圏3月消費者物価指数(確定値)
  • 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
  • 米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
  • 米 企業決算→モルガンス・タンレー、ブラックロック、アメックス

昨日の東京時間には109円21銭あたりまで上昇したドル円。やはり上値は重く109円台は維持できなかったばかりか、108円台前半までドル売りが進み、再び108円割れを試す雰囲気が漂ってきました。昨日のこの欄でも指摘したように、109円20−25銭に集まっている抵抗帯で上昇を抑えられた格好でした。

朝鮮半島での緊張の高まりやフランス大統領選に加え、昨日はイギリスのメイ首相が突然「解散総選挙」を行うことを表明し、欧州での政治リスクが高まってきました。さらに、昨日発表された米住宅関連の指標は予想を下回り、消費者物価指数の伸びの鈍化と伴に、FRBによる利上げ観測もやや足踏み状態です。これらを材料に米国債には再び資金が向かい、10年債利回りは2.16%台まで低下(価格は上昇)してきました。

日米金利差の縮小はドルが売られ易いことから、ドル円の上昇力が急速に低下しているのが足元の動きです。また日本株に目を移しても、連日年初来安値を更新しており、東証1部の売買代金も今週は2日連続で2兆円を大きく割りこんでおり、盛り上がりません。個人も含め、投資家の多くがリスクに対して身構え、慎重な姿勢を崩していないことが表れています。

このような状態で、ドル円はなかなか浮上のきっかけをつかめない状況です。昨年12月にはトランプラリーで、118円台半ばまで上昇したドル円でしたが、すでにその上昇分の半分は吐き出しています。108円を割り込むと105円台も視野に入ってきそうです。まだ米利上げ観測がなくなったわけではなく、ここがドル下落の際の支えになっているのも事実ですが、2015年、16年のように利上げ観測が急速に後退し、「わずか一回」しか実施できないような状況になると「年後半にかけてドル高が進む」とうメインシナリオそのものが修正を余儀なくされることになります。

このように、さまざまなリスクが顕在化しており、なかなかドルを素直に買える状況にはなっていません。まだしばらくは「ドルの戻り売り」が機能する状況が続きそうです。本日の予想レンジは108円〜109円程度とみますが、108円台を維持できるかどうかが一つのポイントでもあります。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/1 ブレーナード・FRB理事 「前進が続くと想定すると、追加的な緩和を解除し、緩やかな道筋をたどり続けることがすぐに適切になりそうだ」ハーバード大学でのイベントで。 --------
3/2 パウエル・FRB理事 「3月に利上げする論拠がそろってきた。FOMC会合で定協議の対象になるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドル円114円台半ばへ。長期金利2.48%台へ上昇。
3/4 イエレン・FRB議長 「FOMCは今月会合で雇用とインフレが当局の期待に沿って引き続き進展しているかどうかについて検証する。そうした場合には、フェデラルファンド(FF)金利のさらなる調整が適切になる可能性が高い」「しかしながら、予期せぬ展開が経済見通しに悪影響を及ぼさない限り、緩和縮小のプロセスは過去数年のようなゆっくりしたものにはならない可能性が高い」講演で。 ドル円114円75銭まで上昇。
3/9 ドラギ・ECB総裁 「相当程度の金融緩和が依然必要」政策金利据え置きを決めた後の記者会見で。 ユーロ円120円台から121円台後半へ急騰。
3/15 イエレン・FRB議長 「金融緩和の緩やかな解除という決定は経済の進展継続を反映している」「この日の決定はその見解に沿うもので、判断変更はしていない」「当局の経済予測は昨年12月に示したものとほぼ同じだ」利上げを決めた後の会見で。 ドル円114.70 → 113.17、ユーロドル1.0630 → 1.0740へ
3/16 ムニューチン・財務長官 「長期的に最大の利益として、ドルの強さは良いことであり、長期的なドルの強さは準備通貨への信頼の表れだと思う」ショイブレ独財務長官との共同記者会見で。 --------
3/23 ウィリアムズ・SFシスコ連銀総裁 「金融当局の取り組み次第では、年内に3回かもしくはそれ以上の利上げが理にかなう」WSJ紙とのインタビューで。 --------
3/24 ダドリー・NY連銀総裁 「緩和を少し取り除くこと、つまり金利を少し上げることで、おそらく軟着陸を達成し、失業率とインフレに関して経済を現状に維持するであろう」講演で。 --------
3/24 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレや失業率を現在のレベルに維持するにはもっと早いペースで利上げを実行すべきと考えている同僚もいるようだ。私はその必要はないと思う。もっと静観姿勢でいてよいと思っている。」講演で。 --------
3/28 フィッシャー・FRB副議長 「FOMC参加者の予想中央値で示された今年あと2回の利上げは概ね適切のようだ」、「それは私自身の予測でもある」CNBCとのインタビューで。 ドル円110円台前半から111円台に上昇
3/30 ウィリアムズ・SFシスコ連銀総裁 「経済データ次第では、もしかしたら今年4回の利上げか適切となるかもしれない」FOXテレビとのインタビューで。 ドル円上昇の一因に
3/30 ダドリー・NY連銀総裁 「中長期的に経済成長とインフレ率へのリスクは上振れしている公算があると見られる」講演で。 ドル円上昇の一因に
4/3 マクロン・前経済相 「決戦投票でルペン氏は勝てないという人々は、トランプ氏の勝利はあり得ないと言っていた人たちと同じだ」ルモンド紙とのインタビューで、ルペン氏の勝利の可能性も排除できないとの認識を示す。 --------
4/5 FOMC議事録 「大部分の参加者は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な上昇が継続すると予想し、FOMCの再投資政策の変更が年内に適切になる可能性が高いと判断した」 ドル円111円台半ばから110円台半ばへ。NYダウ高値から200ドルを超える下落。
4/10 イエレン・FRB議長 「以前は、われわれは可能な限り活力を米経済に与えようとアクセルを踏み込まなければならなかったが、現在はアクセルを強く踏むほどではない」講演で。 --------
4/12 トランプ大統領 「ドルは強くなりすぎていると思う。これはある程度私のせいでもある。人々が私を信頼しているためだ。しかし、これは痛手となっている。最終的に痛手となる」「中国は為替操作国ではない」 ドル円109円台後半から108円台後半へ。
4/17 ムニューチン・財務長官 「長期的に見てド強いドルは良いことだ」FT紙とのインタビューで。 ドル円108円台半ばから109円台に
4/17 ペンス・米副大統領 「北朝鮮への戦略的忍耐は終わった」韓国での記者会見で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和