今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年4月27日(木) 「ドル円上値は重いものの底堅く推移」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は底堅い動きを見せ、NY市場では111円78銭までドル高が進む。税制改革の概要が発表されたが、詳細が不明だったことで、目先の材料出尽くしとの見方から110円87銭までドル売りが進み、111円前後で取引を終える。
  • ユーロドルは1.08台半ばまで売られたものの、その後反発し1.09台前半に。本日のECBの政策発表やドラギ総裁の会見が注目される。
  • 株式市場はプラスで始まったものの、税制改革の詳細が不明だったことから午後に下げに転じる。ダウは21ドル下落。
  • 債券相場は1週間ぶりに反発。トランプ政権の税制改革に懐疑的な見方も出て債券は買われた。長期金利は2.30%台に低下。
  • 金は3日続落。原油価格はほぼ変わらず。
ドル/円 110.87 〜 111.78
ユーロ/ドル 1.0856 〜 1.0913
ユーロ/円 120.91 〜 121.68
NYダウ −21.03 → 20,975.09ドル
GOLD −3.00 → 1,264.20ドル
WTI +0.06 → 49.62ドル
米10年国債 −0.029 → 2.304%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合
  • 日 黒田日銀総裁記者会見
  • 中 中国 3月工業利益
  • 独 独4月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ECB政策金利発表
  • 欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
  • 欧 ユーロ圏4月景況感指数
  • 欧 ユーロ圏4月消費者信頼感(確報値)
  • 米 3月耐久財受注
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 3月中古住宅販売成約指数
  • 米 企業決算 → インテル、アマゾン、マイクロソフト、アルファベット、スターバックス

ドル円は111円台半ばからは上値は重かったものの、111円台前半では底堅い動きを見せ、NY市場では一時111円78銭までドルが買われる場面もありました。直近高値の111円58銭を上回ったことで112円台への期待も膨らみましたが、そこを頂点に111円割れまでドル売りが優勢になっています。ホワイトハウスが税制改革の概要を発表しまたが、財源をどのように賄うかについては触れていませんでした。

米史上「最大の減税」と伝えられた税制改革の骨子は、コーン国家経済会議委員長とムニューシン財務長官が公表しました。法人税減税と個人の所得減税がその柱になっており、法人税は15%に、個人所得税も現在7段階ある税率を3つに集約するようです。また米企業が海外に保有する利益、およそ2兆6000億ドル(約290兆円)に対する1回限りの課税も含まれているようです。(ブルームバーグ)

問題はその財源です。これまでは国境調整税をその財源にあてるのではないかと見られていましたが、同税制の適用は今回見送られているようで、今回の減税でざっと2兆ドルの減収になると見られている原資の出所が注目されます。財源を国債の発行で埋めるとすれば、国債増発 → 国債価格の急落 → 長期金利の上昇とつながり、ドル高が見込まれることになります。ホワイトハウスは減税により経済成長を高め、その結果税収が増えると見込んでいるようですが、果たしてうまくいくのかどうか未知数です。

5月7日にフランス大統領選を控え、北朝鮮問題では緊張が続いている状況下でもドル円は底堅い動きを見せています。昨日のNYでは110円台後半まで下げる場面があったものの、今朝のオセアニア市場では昨日と同じように再び111円台前判で推移しています。為替相場の特徴の一つには、相場は上昇するとある程度の時間と値幅を伴って上昇し、逆に下げ始めると、同じようにある程度の時間と値幅を伴って下落します。これを「トレンド」と言いますが、為替は実にトレンドが出易い動きをし、長い時間上げ下げを頻繁に繰り返すケースはそうありません。だからこそ『トレンドの見極め』が重要だということになります。先週108円13銭までドル安が進んだ動きまでが下落トレンドの継続だったとすれば、今週月曜の「窓あけ」からの動きは上昇トレンドの始まりだったのかもしれません。

今朝の為替の見通しに関するニュースでも、メガバンクの為替担当者の言葉として「ドル円、売る材料がなくなってきた」という文言を引用しています。つい先週まで「ドルを買う材料が見当たらない」と言っていたのがウソのようですが、それでも実際に市場がそのように動く以上、流れに乗るしかありません。「人より少し早く流れに乗り、人より少し早く降りる」、これがコツですが、そう簡単ではありません。本日の予想レンジは110円70銭〜111円70銭程度にしたいと思います。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/1 ブレーナード・FRB理事 「前進が続くと想定すると、追加的な緩和を解除し、緩やかな道筋をたどり続けることがすぐに適切になりそうだ」ハーバード大学でのイベントで。 --------
3/2 パウエル・FRB理事 「3月に利上げする論拠がそろってきた。FOMC会合で定協議の対象になるだろう」CNBCとのインタビューで。 ドル円114円台半ばへ。長期金利2.48%台へ上昇。
3/4 イエレン・FRB議長 「FOMCは今月会合で雇用とインフレが当局の期待に沿って引き続き進展しているかどうかについて検証する。そうした場合には、フェデラルファンド(FF)金利のさらなる調整が適切になる可能性が高い」「しかしながら、予期せぬ展開が経済見通しに悪影響を及ぼさない限り、緩和縮小のプロセスは過去数年のようなゆっくりしたものにはならない可能性が高い」講演で。 ドル円114円75銭まで上昇。
3/9 ドラギ・ECB総裁 「相当程度の金融緩和が依然必要」政策金利据え置きを決めた後の記者会見で。 ユーロ円120円台から121円台後半へ急騰。
3/15 イエレン・FRB議長 「金融緩和の緩やかな解除という決定は経済の進展継続を反映している」「この日の決定はその見解に沿うもので、判断変更はしていない」「当局の経済予測は昨年12月に示したものとほぼ同じだ」利上げを決めた後の会見で。 ドル円114.70 → 113.17、ユーロドル1.0630 → 1.0740へ
3/16 ムニューチン・財務長官 「長期的に最大の利益として、ドルの強さは良いことであり、長期的なドルの強さは準備通貨への信頼の表れだと思う」ショイブレ独財務長官との共同記者会見で。 --------
3/23 ウィリアムズ・SFシスコ連銀総裁 「金融当局の取り組み次第では、年内に3回かもしくはそれ以上の利上げが理にかなう」WSJ紙とのインタビューで。 --------
3/24 ダドリー・NY連銀総裁 「緩和を少し取り除くこと、つまり金利を少し上げることで、おそらく軟着陸を達成し、失業率とインフレに関して経済を現状に維持するであろう」講演で。 --------
3/24 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレや失業率を現在のレベルに維持するにはもっと早いペースで利上げを実行すべきと考えている同僚もいるようだ。私はその必要はないと思う。もっと静観姿勢でいてよいと思っている。」講演で。 --------
3/28 フィッシャー・FRB副議長 「FOMC参加者の予想中央値で示された今年あと2回の利上げは概ね適切のようだ」、「それは私自身の予測でもある」CNBCとのインタビューで。 ドル円110円台前半から111円台に上昇
3/30 ウィリアムズ・SFシスコ連銀総裁 「経済データ次第では、もしかしたら今年4回の利上げか適切となるかもしれない」FOXテレビとのインタビューで。 ドル円上昇の一因に
3/30 ダドリー・NY連銀総裁 「中長期的に経済成長とインフレ率へのリスクは上振れしている公算があると見られる」講演で。 ドル円上昇の一因に
4/3 マクロン・前経済相 「決戦投票でルペン氏は勝てないという人々は、トランプ氏の勝利はあり得ないと言っていた人たちと同じだ」ルモンド紙とのインタビューで、ルペン氏の勝利の可能性も排除できないとの認識を示す。 --------
4/5 FOMC議事録 「大部分の参加者は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な上昇が継続すると予想し、FOMCの再投資政策の変更が年内に適切になる可能性が高いと判断した」 ドル円111円台半ばから110円台半ばへ。NYダウ高値から200ドルを超える下落。
4/10 イエレン・FRB議長 「以前は、われわれは可能な限り活力を米経済に与えようとアクセルを踏み込まなければならなかったが、現在はアクセルを強く踏むほどではない」講演で。 --------
4/12 トランプ大統領 「ドルは強くなりすぎていると思う。これはある程度私のせいでもある。人々が私を信頼しているためだ。しかし、これは痛手となっている。最終的に痛手となる」「中国は為替操作国ではない」 ドル円109円台後半から108円台後半へ。
4/17 ムニューチン・財務長官 「長期的に見てド強いドルは良いことだ」FT紙とのインタビューで。 ドル円108円台半ばから109円台に
4/17 ペンス・米副大統領 「北朝鮮への戦略的忍耐は終わった」韓国での記者会見で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和