今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年5月17日(水) 「ユーロドル1.11手前まで続伸」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は欧州市場からNY市場にかけて上昇する場面もあったが、トランプ大統領の情報漏えい問題と、住宅関連指標の下振れがドルを押し下げた。一時112円93銭まで売られ、1周間ぶりに113円を割り込む。
  • ドルが売られたことでユーロドルは続伸。1.1097までユーロ高が進み、対円でも125円81銭を付ける。
  • 株式市場はまちまち。ダウは小幅に反落したものの、テクノロジー株の上昇に支えられ、ナスダックは20ポイント上昇し、高値を更新。
  • 債券相場は反発。住宅関連指標の悪化や、トランプ政権に対する不透明感から債券が買われた。長期金利は2.32%台まで低下したものの、下値も限定的。
  • 金は続伸し、原油価格は反落。
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 4月住宅着工件数 → 117.2万件
 4月建設許可件数 → 122.9万件
 4月設備稼働率 → 76.7%
 4月鉱工業生産 → +1.0%
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ドル/円 112.93 〜 113.68
ユーロ/ドル 1.1053 〜 1.1097
ユーロ/円 125.13 〜 125.81
NYダウ −2.19 → 20,979.75ドル
GOLD +6.45 → 1,236.40ドル
WTI −0.19 → 48.66ドル
米10年国債 −0.018 → 2.326%

本日の注目イベント

  • 日 3月鉱工業生産(確定値)
  • 欧 ユーロ圏4月消費者物価指数(改定値)
  • 英 英4月雇用統計

ドルは主要通貨対して概ね軟調な展開しでした。トランプ大統領がロシアのラブロフ外相に機密情報を漏らしたと報じられ、トランプ政権による立法案件の推進がさらに困難になるとの見方が強まったことや、発表された住宅関連の指標が予想を下回ったことで、ドルが売られています。

ドル円は1週間ぶりとなる112円93銭までドル安が進み、ナスダック指数が高値を更新したものの、それほどドル買い材料にはなっていません。ドルはユーロに対してはさらに売られ、ユーロドルは1.11手前まで上昇しています。ユーロドルはちょうど1週間前に急騰し、瞬間ですが1.10台に乗せました。その後ドル高が続いたことで1.08台まで、約200ポイントの「調整」を経て、再び直近高値を更新し、一時は1.1097まで「ドル安・ユーロ高」が進みました。この水準は、昨年11月の米大統領選で大きく荒れた日以来のユーロ高水準になります。

景気回復が進み、消費者物価指数もECBの目標に届いたことで、来月のECB理事会では何らかのフォワード・ガイダンスの変更があるのではとの見方からユーロ買いが強まっています。ユーロは対円でも、連日123、124、125円と、いわゆる「大台」を更新しており、昨日のNY市場では昨年4月25日以来となる125円81銭までユーロ高が進んでいます。

ただこのところのユーロ円の上昇はややスピードが速すぎるとの印象があります。ECBが実際に緩和政策を止め、テーパリングを開始するのは、早くとも今年秋以降と見られているからです。もっとも、この先さらにユーロが上昇するのかどうかは、米国が残り何回利上げが出来るのかにも大きく関係してきます。ユーロドルは「120週線」で上昇を抑えられた格好になっていますが、このレジスタンスを抜けることができるのかも注目されます。

113円20銭〜114円台前半で堅調に推移していたドル円も、ようやく上値テストを断念し下げてきました。朝方には112円80銭近辺まで下げたので、「4時間足」の雲の上限までドル安が進んで来ました。「日足」の雲の上限である112円台前半が、目先下値のメドかと思われますが、112円50銭から112円20銭あたりをサポートゾーンと予想しています。このまま110円割れを目指すとも思われませんが、やや長めに見たら111円台は可能かもしれません。米経済指標の強弱と、トランプ政権の政策実行力、さらにはその結果としての米利上げ回数が相場を決定します。政治的リスクが徐々に露呈されてきていますが、トランプ大統領自身がリスクであることは変わっていません。本日の予想レンジは112円20銭〜113円30銭程度と見ます。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
4/3 マクロン・前経済相 「決戦投票でルペン氏は勝てないという人々は、トランプ氏の勝利はあり得ないと言っていた人たちと同じだ」ルモンド紙とのインタビューで、ルペン氏の勝利の可能性も排除できないとの認識を示す。 --------
4/5 FOMC議事録 「大部分の参加者は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な上昇が継続すると予想し、FOMCの再投資政策の変更が年内に適切になる可能性が高いと判断した」 ドル円111円台半ばから110円台半ばへ。NYダウ高値から200ドルを超える下落。
4/10 イエレン・FRB議長 「以前は、われわれは可能な限り活力を米経済に与えようとアクセルを踏み込まなければならなかったが、現在はアクセルを強く踏むほどではない」講演で。 --------
4/12 トランプ大統領 「ドルは強くなりすぎていると思う。これはある程度私のせいでもある。人々が私を信頼しているためだ。しかし、これは痛手となっている。最終的に痛手となる」「中国は為替操作国ではない」 ドル円109円台後半から108円台後半へ。
4/17 ムニューチン・財務長官 「長期的に見てド強いドルは良いことだ」FT紙とのインタビューで。 ドル円108円台半ばから109円台に
4/17 ペンス・米副大統領 「北朝鮮への戦略的忍耐は終わった」韓国での記者会見で。 --------
4/27 ドラギ・ECB総裁 「成長が改善しているのは事実で、状況はますます良くなっている」「基調的な物価上昇圧力は依然として弱く、確信できるような上昇トレンドが見られていない」政策金利据え置きを決めた後の記者会見で。 ユーロドル下落
5/4 FOMC声明文 「1−3月の減速は一時的な可能性が高い」 ドル円112円台から113円台に
5/8 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局が目標に向かって前進し続けている今の環境では、金利を引き上げる必要がある。そうしなければ後れをとることになり、その結果は決して良いとはいえないものとなる」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
5/10 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「経済が私の予測通りに進展するとの想定で、バランスシートの規模は緩やかな縮小とともに、年内残り3回政策金利を引き上げるのはなお妥当だ」講演で。 ドル円上昇し、114円台に
5/11 コンスタンシオ・ECB副総裁 「拙速な金融緩和の縮小よりも、緩和的な政策を長く続ける方がリスクが少ない」インタビューで。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和