今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年5月31日(水) 「ドル円110円台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は東京市場の流れを受け110円67銭まで売られたものの勢いは無く、110円台後半まで戻す。PCEデフレータの上昇率が鈍化し、株安、金利低下にもかかわらず下値の底堅さも見せる。
  • ユーロドルは東京時間に1.11台前半まで下げたものの、その後はドイツの5月のインフレ率が低下したこともあり反発。1.12台に乗せる場面もあったが、ECBの金融政策を見極めながら、落ち着きどころを探す展開。
  • 株式市場は下落。原油安からエネルギー株が下げ、S&P500は8日ぶりに反落する。
  • 債券相場は続伸。目立った材料はなかったものの、海外からの資金が10年債と30年債を押し上げた。長期金利は2.21%台へと低下。
  • 金と原油は揃って下落。
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 3月ケース・シラ−住宅価格指数 → 5.89%
 4月個人所得 → +0.4%
 4月個人支出 → +0.4%
 4月PCEコアデフレータ → +1.5%
 5月消費者信頼感指数 → 117.9
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ドル/円 110.67 〜 111.25
ユーロ/ドル 1.1154 〜 1.1206
ユーロ/円 123.72 〜 124.39
NYダウ −50.81 → 21,029.47
GOLD −5.70 → 1,265.70ドル
WTI −0.14 → 49.66ドル
米10年国債 −0.037 → 2.210%

本日の注目イベント

  • 日 4月鉱工業生産
  • 中 中国 5月製造業PMI(速報値)
  • 中 中国 5月非製造業PMI(速報値)
  • 独 独5月雇用統計
  • 欧 ユーロ圏4月失業率
  • 欧 ユーロ圏5月消費者物価指数(速報値)
  • 英 英4月消費者信用残高
  • 米 5月シカゴ購買部協会景気指数
  • 米 4月中古住宅販売成約指数
  • 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
  • 加 カナダ3月GDP
  • 加 カナダ1−3月期GDP

4月の米PCEインフレ率はFRBが目標としている2%には届かず、前年同月比+1.7%でした。コア指数も予想を下回る1.5%で、これで2カ月連続で上昇が鈍化したことになります。PCE物価上昇率は、今年2月には2.1%と、5年ぶりに2%を超えたものの、その後は上昇率が鈍化しています。

FRBものこの物価上昇率を利上げする際の一つの判断基準にしており、利上げ観測にややブレイキがかかった様ですが、6月の利上げに重大な影響を与えるほどではないと、個人的には思っています。因みに、金利先物市場から想定できる6月の利上げ確率は、直近で90.6%と依然として高水準を維持しています。市場参加者の多くが6月の利上げは「確実」と予想していることになります。

ドル円は昨日の東京市場の朝方から111円をしっかり割り込み、下落に勢いが付きました。ユーロ円や豪ドル円が急速に値を下げ、クロス円主導の円買い進んだ模様です。ユーロ円は123円台前半まで下げ、豪ドル円も82円割れ目前まで売られましたが、ドル円も下値のメドと見られていた110円80−85銭を割り込みました。ただそれでもドル下落の勢いは鈍く、NY市場でも110円67銭までドル売りが進んだものの、一時は111円25銭までドルが買い戻される場面もあり、ドルの上値が重い中、ゆっくりとしたペースでドルが下落している状況です。

ドル円はレンジの下値を若干割り込んできましたが、上述のようにそれでも勢いはありません。110円を割り込むようだとやや市場の雰囲気も変わってきて、円の先高感も醸成されるとみていますが、そこまでドルが売られるかどうか不透明です。金曜日には5月の雇用統計が発表されますが、ここが一つのきっかけにはなろうかと思います。朝鮮半島情勢は依然緊張が続いていますが、不透明さは変わりません。加えて、ロシアゲート問題でトランプ政権そのものにも不確実性が増して来ました。

欧州でも、イギリスのメイ首相はEUからの離脱の手続きの遅れがあれば、その前にも離脱はあり得ると述べています。また、ギリシャの債務問題も再び混沌としてきました。そのためECBの金融政策も、大きな変化が見られるという見方が強まっていながらも不透明です。さらに為替に直接影響を及ぼすとも思えませんが、安倍内閣も「加計問題」で、今後の進展によっては政権維持に影響が出てくる可能性もあります。

このように為替を取り巻く環境には濃い霧が立ち込めており、なかなか視界が開けてこない状況です。ポイントは米国が年後半にかけて何回利上げが出来るのか。そのドライバーとなるトランプ政権の経済政策がどの時点で実施されるのか、という点につきると思います。本日のドル円は110円30銭〜111円30銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
4/3 マクロン・前経済相 「決戦投票でルペン氏は勝てないという人々は、トランプ氏の勝利はあり得ないと言っていた人たちと同じだ」ルモンド紙とのインタビューで、ルペン氏の勝利の可能性も排除できないとの認識を示す。 --------
4/5 FOMC議事録 「大部分の参加者は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な上昇が継続すると予想し、FOMCの再投資政策の変更が年内に適切になる可能性が高いと判断した」 ドル円111円台半ばから110円台半ばへ。NYダウ高値から200ドルを超える下落。
4/10 イエレン・FRB議長 「以前は、われわれは可能な限り活力を米経済に与えようとアクセルを踏み込まなければならなかったが、現在はアクセルを強く踏むほどではない」講演で。 --------
4/12 トランプ大統領 「ドルは強くなりすぎていると思う。これはある程度私のせいでもある。人々が私を信頼しているためだ。しかし、これは痛手となっている。最終的に痛手となる」「中国は為替操作国ではない」 ドル円109円台後半から108円台後半へ。
4/17 ムニューチン・財務長官 「長期的に見てド強いドルは良いことだ」FT紙とのインタビューで。 ドル円108円台半ばから109円台に
4/17 ペンス・米副大統領 「北朝鮮への戦略的忍耐は終わった」韓国での記者会見で。 --------
4/27 ドラギ・ECB総裁 「成長が改善しているのは事実で、状況はますます良くなっている」「基調的な物価上昇圧力は依然として弱く、確信できるような上昇トレンドが見られていない」政策金利据え置きを決めた後の記者会見で。 ユーロドル下落
5/4 FOMC声明文 「1−3月の減速は一時的な可能性が高い」 ドル円112円台から113円台に
5/8 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局が目標に向かって前進し続けている今の環境では、金利を引き上げる必要がある。そうしなければ後れをとることになり、その結果は決して良いとはいえないものとなる」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
5/10 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「経済が私の予測通りに進展するとの想定で、バランスシートの規模は緩やかな縮小とともに、年内残り3回政策金利を引き上げるのはなお妥当だ」講演で。 ドル円上昇し、114円台に
5/11 コンスタンシオ・ECB副総裁 「拙速な金融緩和の縮小よりも、緩和的な政策を長く続ける方がリスクが少ない」インタビューで。 --------
5/22 メルケル・独首相 「ユーロは弱すぎる。これはECBの政策が理由だ。これによってドイツ製品が相対的に安くなっている。従って、ドイツ製品はよく売れている」 ユーロドル1.11台後半から1.1264まで上昇
5/29 ドラギ・ECB総裁 「ユーロ圏はフォワードガイダンスを含め金融政策による異例な規模の支援がなお必要だ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和