今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年6月9日(金) 「英選挙出口調査でポンド下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は、コミー証言がトランプ政権にとって大打撃にはならないとの見方が広がり上昇。110円38銭までドル高が進み、金利高、株高もドルを支えた。
  • ユーロドルはECBが金融政策の維持を決め、一段の利上げの可能性を排除したが、利益確定の売りに押され、一時は1.1195まで売られる。
  • 株式市場は小幅に上昇したものの、ほぼ変わらず。ECBの金融政策やコミー証言は材料にはならず、ダウは8ドル高で引ける。
  • 債券相場は前日と同様にやや売られ、長期金利は若干上昇。
  • 金と原油は揃って下落。
*********************
 新規失業保険申請件数 → 24.5万件
*********************
ドル/円 109.86 〜 110.38
ユーロ/ドル 1.1195 〜 1.1252
ユーロ/円 123.03 〜 123.92
NYダウ +8.84 → 21,182.53
GOLD −13.70 → 1,279.50ドル
WTI −0.08 → 45.64ドル
米10年国債 +0.016 → 2.188%

本日の注目イベント

  • 中 中国 5月消費者物価指数
  • 中 中国 5月生産者物価指数
  • 独 独4月貿易収支
  • 英 英4月鉱工業生産
  • 英 英4月貿易収支
  • 加 カナダ5月就業者数
  • 加 カナダ5月失業率

注目されたコミー前連邦捜査局(FBI)長官の証言は2時間半以上に渡り、同氏は「指導力不足などの解任理由はウソだ」と証言しました。コミー氏は大統領と初めての会合後に、直ちに記録をとり始め、「われわれの会合の性質についてトランプ氏がウソをつくかもしれないと真剣に懸念したため、私は記録を残すことが重要だと考えた」(ブルームバーグ)とも述べ、当初から政治的圧力に対する懸念を感じていたことを明らかにしました。

ただ同氏は、会話の内容が司法妨害に当たるかどうかについては、「私が判断することではない」としたことで、トランプ政権に直ぐに打撃を与えるものではないとの見方が広がり、ドル円は上昇。株式も買われ、長期金利も上昇し、前日と同じ展開になっています。ドル円は欧州時間に110円台を回復し、コミー氏の発言後には110円38銭まで反発する場面もありました。市場はひとまず冷静な対応を見せたと言っていいと思います。

次は英国の総選挙です。各メディアは出口調査の結果を発表していますが、現時点では与党保守党は過半数を取れないと報じています。BBCなどは下院(定数650)で保守党は341議席にとどまるとの見方を示しています。保守党と労働党との支持率の差はそれほど無かったものの、保守党有利との戦前の予想が、このままいくと再び「BREXITの再来」となる可能性が高まってきました。ポンドドルはこの報道をうけ、約200ポイントほど売られています。

そして最後はECB理事会です。ECBは金融政策の現状維持を決め、ドラギ総裁は記者会見で「忍耐が必要だ。引き続き、われわれの金融政策で回復を支えていかなければならない」と述べ、その理由として「景気回復はまだ力強いインフレにつながっていない。これまでのところ、基調的インフレの指標は引き続き弱い状態にとどまっている」との見方を示しました。(ブルームバーグ)会見を受けて、ユーロドルは利益確定の売りに押され、1.12を割り込んでいます。

これでイギリスの選挙結果を残すのみとなり、「スーパー・サーズデー」は終わろうとしています。ポンドは大きな値動きを見せましたが、円やユーロは比較的落ち着いた動きになっています。気のなるのは、やはりコミー証言です。

結局トランプ大統領は、自身や側近のロシア疑惑の捜査を中止させるためにFBI長官を「権力を使って」更迭したわけです。コミー氏も述べていましたが、オバマ前大統領やブッシュ元大統領とは何か違うものを感じ取って記録を残しました。TPPやパリ協定からの離脱など、「アメリカ・ファースト」という錦の御旗の下、何をやってもいいわけはありません。ドイツを筆頭に、欧州との距離もひらいてきました。このままトランプ氏が4年間の任期を全うするとは思えません。本日のドル円は110円を中心に、上下50銭程度のレンジを予想します。


ピュー・リサーチ・センターが富裕国や新興国の国民を対象に調査した結果によると、現状は楽観視しているが、将来については「子供は自分よりも豊かになれない」と考えていることが、富裕国の共通認識であることが分かりました。現状の経済について、オランダは87%、ドイツは86%が楽観的にみていますが、将来についてはドイツが36%、オランダは32%しか楽観的にみていません。その中でも日本は特に悲観的で、将来を楽観的に見ている割合は19%でした。これは、約3万5000人を対象に調査した結果で、日本の現状楽観者は41%でした。(ブルームバーグ)この国の将来に希望を持っているひとは少ないということでしょうか。いや将来だけではなく、現状を楽観視している人も少ないと言えます。良い週末を・・・・・。

私が長年開催しているセミナーを通して発見した、初心者が陥りやすい間違えや、理解しにくいことなどを分かりやすくまとめた、一冊の本が出版されました。
より多くの投資家の方々にFXで成功してもらいたい!そんな思いを込めて書かせていただきました。セミナーに参加された方も、そうでない方もぜひ一度読んでみてください。

●タイトル:チャートがしっかり読めるようになるFX入門 ●出版社: 翔泳社
●著者:佐藤正和 ●160ページフルカラー ●定価:1,300円+税

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
5/4 FOMC声明文 「1−3月の減速は一時的な可能性が高い」 ドル円112円台から113円台に
5/8 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局が目標に向かって前進し続けている今の環境では、金利を引き上げる必要がある。そうしなければ後れをとることになり、その結果は決して良いとはいえないものとなる」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
5/10 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「経済が私の予測通りに進展するとの想定で、バランスシートの規模は緩やかな縮小とともに、年内残り3回政策金利を引き上げるのはなお妥当だ」講演で。 ドル円上昇し、114円台に
5/11 コンスタンシオ・ECB副総裁 「拙速な金融緩和の縮小よりも、緩和的な政策を長く続ける方がリスクが少ない」インタビューで。 --------
5/22 メルケル・独首相 「ユーロは弱すぎる。これはECBの政策が理由だ。これによってドイツ製品が相対的に安くなっている。従って、ドイツ製品はよく売れている」 ユーロドル1.11台後半から1.1264まで上昇
5/29 ドラギ・ECB総裁 「ユーロ圏はフォワードガイダンスを含め金融政策による異例な規模の支援がなお必要だ」 --------
5/30 ブレーナード・FRB理事 「インフレ率の進展不足が続けば、私としては将来のFF金利に関して予想される道筋を見直すことになる可能性があるが、現時点でその判断を下すのは時期尚早だ」 --------
5/31 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「現在の景気見通しとリスクバランスの改善は、ECBのフォワードガイダンスを調整すべきなのかどうか、その時期はいつかについて政策委員会で議論が始まることを示唆している」 ユーロドル1.11台から1.1252まで上昇
6/8 ドラギ・ECB総裁 「忍耐が必要だ。引き続き、われわれの金融政策で回復を支えていかなければならない」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.125近辺から1.12割れに
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和