今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年7月11日(火) 「ドル円上昇一服」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は上昇も一服となり小動き。114円前後から114円25銭程度の値動きとなり、明日のイエレン議長の証言を待つ姿勢が強まった。
  • ユーロドルも同様な動き。1.1383から1.14台に乗せるも上昇は限定的。
  • 株式市場はナスダックとS&P500が上昇。テクノロジー株に買いが入り、ナスダックは23ポイント高。一方ダウは5ドル安と上昇も一服。
  • 債券相場は小じっかり。連日売られていたことで買いも入ったが、基本的にはイエレン議長の証言待ちの雰囲気に。
  • 金と原油は小幅に反発。
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 6月労働市場情勢指数(LMCI) → 1.5
 5月消費者信用残高 → 184.1億ドル
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ドル/円 113.98 〜 114.25
ユーロ/ドル 1.1383 〜 1.1408
ユーロ/円 129.85 〜 130.16
NYダウ −5.82 → 21,408.52
GOLD +3.50 → 1,213.20ドル
WTI +0.17 → 44.40ドル
米10年国債 −0.013 → 2.373%

本日の注目イベント

  • 米 ブレイナード・FRB理事講演
  • 米 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁講演(シドニー)
  • 加 カナダ6月住宅着工件数

連日上値を切り上げてきたドル円はさすがに上昇が一服。上昇傾向を強めていた米長期金利も2.34%手前で反落し、これがドル円の上値を抑えた形でした。明日は下院でイエレン議長の証言があり、その内容次第ではどちらにも動く可能性があるため、この日の市場はポジション調整の域を出ない1日だったようです。

イエレン議長の証言は下院金融委員会で現地時間午前10時から行われます。先週末に発表された6月の雇用統計では雇用者数が22.2万人と、予想を大きく上回り、直近3カ月の平均も18.2万人と、1−3月期の平均16.2万人と比べても増加しており、こと雇用に関しては「問題はない」状況です。一方平均時給の方は、横ばいが続いており、失業率が「完全雇用」状態であるにもかかわらず伸びていません。

これらの状況を踏まえて、イエレン議長が利上げとバランスシート縮小についてどのような発言をするのかが注目されています。基本的にはサプライズはないものと予想していますが、年内あと1回の利上げに触れても、この点はこれまでとは変わりません。問題はバランスシートの縮小の時期です。市場のコンセンサスは9月にバランスシートの縮小開始と12月に利上げです。果たしてそうでしょうか?イエレン議長の任期が来年2月に迫っていることを考えると、利上げは「出来る時に行っておきたい」との思惑がありそうです。株価は高値で安定し、長期金利も上昇したとはいえまだ2.3%台です。このタイミングは利上げには「適温」ではないかと思っています。北朝鮮リスクやトランプリスクを考えると、この先まだ不透明感が残ります。従って、9月にまず利上げを優先するのではないかと予想しています。

ドル円は昨日の夕方に114円30銭を記録し、その後もみ合いを経てやや下落しています。「週足」の120日線は抜けており、まだ上昇傾向が継続されていると観られます。クロス円での円売りがメインになっており、これがドル円の下支えになっていると考えられます。先週末の雇用統計を通過して、市場のセンチメントは一気に「ドル高円安」を予想する向きが増えて来ました。やや楽観的な雰囲気も出ており、輸出企業には余裕も出ています。それでもここからは慎重にトレードすることが重要です。

先週のドイツでの日米首脳会談では、トランプ大統領の口から日米貿易不均衡問題も出ています。いつはしごを外されるかわかりません。本日は113円50銭〜114円50銭と、昨日と同じレンジを予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/8 ドラギ・ECB総裁 「忍耐が必要だ。引き続き、われわれの金融政策で回復を支えていかなければならない」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.125近辺から1.12割れに
6/14 FOMC声明文 「委員会は現在、経済が概ね予想通りに進展するとの想定で、バランスシート正常化プログラムの年内開始を見込んでいる」 ドル円108円台から109円台に
6/14 イエレン・FRB議長 「経済が予想通り進展すれば、年内のプロセス開始に向けた環境は整うはずだ」利上げ後の記者会見で。 ドル円108円台から109円台に
6/19 ダドリー・NY連銀総裁 「(米景気は)実際のところまだ長く継続すると強く確信している」講演で。 ドル円111円から111円台半ばまで上昇
6/20 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「長期にわたる低金利は将来の金融ショックやリセッションへの金融政策の対応能力を低下させる」講演で。 --------
6/27 イエレン・FRB議長 「金利は非常にゆっくりと引き上げるのが目標達で適切になるとの考えは、これまでに極めて明確にしている。(一部の資産については)高くみえるが、確信はない」ロンドンでの講演で。 ドル円111円台後半からから112円台半ばへ。株価は急落。
6/27 ドラギ・ECB総裁 「今は全ての兆候がユーロ圏の回復の強さ増し、裾野が広がっていることを示している。デフレ圧力はリフレの力に置き換わった」年次総会で。 ユーロドル1.12台から1.1350に。米独の債券は急落。
7/6 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「景気回復の持続が金融政策正常化の展望を開く」 ユーロドル1.13台から1.1425に。米独の債券は下落。
7/8 メルケル・ドイツ首相 「不一致の分野があったことを隠すべきではない。首脳宣言に合意が成立しなかった分野を反映させる必要がある」G20後の記者会見で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和