今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年7月12日(水) 「ドル円トランプJrメール問題で反落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は金利差に着目したドル買いが続き、一時は114円49銭まで上昇。その後、金利が低下したことや、トランプ大統領の長男トランプ・ジュニアがロシア人弁護士と接触したことに関するメールを公開したことで、ドル売り円買いが強まり反落。113円72銭までドル安が進み、114円近辺で取引を終える。
  • ユーロドルは続伸。1.1480までユーロ高が進み直近高値を更新。大統領の長男がロシア問題でメールを公開したことでドルが売られたことが材料に。
  • 株式市場はトランプ大統領の長男のメール問題で急落した後持ち直す。ダウは一時160ドル近い下げを見せたが、引け値ではほぼ変わらず。ナスダックとS&P500はプラスで引ける。
  • 債券市場もリスクを反映して債券が買われたものの、上げ幅を縮める。長期金利は小幅に低下して2.36%台に。
  • 金と原油は続伸。
ドル/円 113.72 〜 114.49
ユーロ/ドル 1.1394 〜 1.1480
ユーロ/円 130.21 〜 130.76
NYダウ +0.55 → 21,409.07
GOLD +1.50 → 1,214.70ドル
WTI +0.64 → 45.04ドル
米10年国債 −0.013 → 2.361%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏5月鉱工業生産
  • 英 英6月雇用統計
  • 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
  • 米 イエレン・FRB議長、下院金融委員会で証言
  • 米 レイ次期FBI長官の指名承認公聴会
  • 米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
  • 加 カナダ中銀政策金利発表

突然降って湧いてきたようなトランプ・ジュニアのロシア疑惑に関するメールに市場は一瞬「ヒヤッ」としたようです。メールの内容が公開されると、ドル円は114円台半ばから急落し、株価もダウは150ドルを超える下げを見せるなど「リスクオフ」が進みましたが、投資家は冷静だったようです。主要株価はその後ほぼプラス圏まで戻し、ドル円も114円前後まで反発しました。

トランプ大統領の長男、トランプ・ジュニアが昨年の大統領選で、クリントン候補に不利になるロシア政府からの情報を、ロシア人弁護士が持っていると、仲介者から持ちかけられた際のメールを公開しました。ブルームバーグによると、この仲介者に対してトランプ・ジュニア氏は「あなたが言っている通りなら非常に欲しい、特にこの夏の終わり頃までには」とメールで返答していたことも明らかになりました。

トランプ大統領自身の「ロシアゲート問題」もまだ不透明ですが、ここに大統領の長男も「トランプ大統領実現」のために暗躍していたことが明らかになったわけです。政治の世界とはそうゆうものなのかも知れませんが、米大統領選挙の舞台裏で繰り広げられた「陰の部分」を見せ付けられた気もします。この問題は今のところこれ以上拡大する状況ではありませんが、ロシアゲート問題が、ニクソン元大統領の「ウォーターゲート事件」と同じ道を辿るのではと感じているのは筆者だけではないと思います。

ドル円は日米金利差が拡大するとの見方からジリ高が続き、NY市場では114円49銭まで上昇し、その後113円台後半まで反落しました。一旦は115円台を観るのではないかと思われますが、この水準からのドルロングはなかなか長時間保有しにくいのではないかと考えています。昨日のNY市場のように、何かリスクオフの材料が出ると、1円程度の急落は簡単に起きてしまいます。これは投機筋を含め、ドルロングが溜まってきていることが背景です。しばらくは小まめに利益を確定していく方法が有効かと思います。

昨日、ドル円の下落は113円72銭まで進みましたが、これは「1時間足」の雲の下限でしっかりサポートされた格好でした。従って、短期的にもまだ上昇傾向が続いているとは思いますが、この雲の下限を明確に下抜けするようだと、短期的には利益確定のドル売りを誘い易い状況になろうかと思います。ここは注意が必要です。

本日は日本時間23時にイエレン議長の議会証言があります。証言原稿はこれより早い21時半に公表されるため、この時間に為替が大きく動く可能性があるので注意してください。予想レンジはややワイドに、113円〜114円30銭程度にしたいと思います。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/8 ドラギ・ECB総裁 「忍耐が必要だ。引き続き、われわれの金融政策で回復を支えていかなければならない」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.125近辺から1.12割れに
6/14 FOMC声明文 「委員会は現在、経済が概ね予想通りに進展するとの想定で、バランスシート正常化プログラムの年内開始を見込んでいる」 ドル円108円台から109円台に
6/14 イエレン・FRB議長 「経済が予想通り進展すれば、年内のプロセス開始に向けた環境は整うはずだ」利上げ後の記者会見で。 ドル円108円台から109円台に
6/19 ダドリー・NY連銀総裁 「(米景気は)実際のところまだ長く継続すると強く確信している」講演で。 ドル円111円から111円台半ばまで上昇
6/20 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「長期にわたる低金利は将来の金融ショックやリセッションへの金融政策の対応能力を低下させる」講演で。 --------
6/27 イエレン・FRB議長 「金利は非常にゆっくりと引き上げるのが目標達で適切になるとの考えは、これまでに極めて明確にしている。(一部の資産については)高くみえるが、確信はない」ロンドンでの講演で。 ドル円111円台後半からから112円台半ばへ。株価は急落。
6/27 ドラギ・ECB総裁 「今は全ての兆候がユーロ圏の回復の強さ増し、裾野が広がっていることを示している。デフレ圧力はリフレの力に置き換わった」年次総会で。 ユーロドル1.12台から1.1350に。米独の債券は急落。
7/6 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「景気回復の持続が金融政策正常化の展望を開く」 ユーロドル1.13台から1.1425に。米独の債券は下落。
7/8 メルケル・ドイツ首相 「不一致の分野があったことを隠すべきではない。首脳宣言に合意が成立しなかった分野を反映させる必要がある」G20後の記者会見で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和