今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年7月19日(水) 「ドル円金利低下を受け111円台半ばまで下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は112円を割り込み、約3週間ぶりとなる111円69銭までドル安が進む。オバマケアの代替案の議会通過を危ぶむ声が高まり、今後の政策の不透明感が広がった。ドル円はその後112円台に戻して引ける。
  • ドル安が進んだことからユーロドルは続伸。1年2カ月ぶりとなる1.1583までユーロ高が進む。
  • 株式市場はまちまち。ダウは54ドル下落したものの、ナスダックとS&P500は最高値を更新。フェースブックなど、ハイテク株が買いを集めた。
  • 債券相場は大幅に続伸。米国の金利政策が続いても、今後も低金利が続くとの見方が広がる。長期金利は2.3%台を割り込み、2.25%台まで低下。
  • 金と原油はともに買われる。
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 7月NAHB住宅市場指数 → 64
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ドル/円 111.69 〜 112.16
ユーロ/ドル 1.1546 〜 1.1583
ユーロ/円 129.25 〜 129.69
NYダウ −54.99 → 21,574.73
GOLD +8.20 → 1241.90ドル
WTI +0.38 → 46.40ドル
米10年国債 −0.055 → 2.259%

本日の注目イベント

  • 米 6月住宅着工件数
  • 米 6月建設許可件数
  • 米 米中経済対話
  • 米 企業決算 → モルガンスタンレー、アメックス、アルコア

ドル円は6月30日以来となる111円69銭まで売られてきました。米長期金利が急低下し、2.25%まで下がってきたことで円が買われたようです。米金利は一時2.4%に近い水準まで上昇しましたが、ここ最近は8営業日のうち7営業日で低下(価格は上昇)しています。

昨日は2年間の猶予付きで医療保険制度改革法(オバマケア)を廃止する上院共和党指導部の新たな案が議会を通過しないのではないかとの懸念が広がり、これがトランプ政権が目指す一連の景気刺激策を遅らせるのではないかとの見方が強まりました。

ブルームバーグによると、昨日の米債券市場では大型ブロック取引が2件成立し、その後に金利低下が加速したと伝えています。この取引を行った投資家は、米金融当局者から出てくる発言内容にもかかわらず金利低下は長期間続くと予想しているとのことです。テクニカルでも、米長期金利は低下傾向が続いたことで200日移動平均線の2.27%を下回り、50日移動平均線の2.255%に接近していています。金利低下は上記理由に加えて、最近発表されたインフレ指標が市場予想を下回っており、当局が予定しているようには利上げが進まないのではないかとという見方も後押ししています。今後も米長期金利の上げ下げを受け、ドル円は一喜一憂する展開が続きます。

ドル円は114円49銭を記録してから下落が続いています。大きくは110−115円のレンジの中での動きで、「マイナー・トレンド」の変化は観られますが、まだメイン・トレンドの発生は確認出来ていません。日足チャートでは111円台半ばから上方に200日線や120日線など、主要なサポート線が集まっており、この近辺が重要なサポートであることを示唆しています。昨日の動きも111円69銭を付けた後、112円台まで反発していることから日足チャートでは「長い下ひげ」を示現しています。米長期金利が今後も下げ続けると、ドル円ももう一段の下げの可能性はありますが、111円台半ば前後からはひとまずドルの手当てをゆっくりと行ってもいいレベルではないかと考えています。

米経済データは引き続き強弱まちまちで、いいものと悪いものが交互に出ているように思えます。労働市場は引き続き良好で、インフレ指標がいまいちといったところですが、仮にこのままの状況が続いたとしても、9月、あるいは12月の利上げを止めるほどの材料になるとも思えません。本日の予想レンジは111円60銭〜112円60銭程度をみています。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/8 ドラギ・ECB総裁 「忍耐が必要だ。引き続き、われわれの金融政策で回復を支えていかなければならない」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.125近辺から1.12割れに
6/14 FOMC声明文 「委員会は現在、経済が概ね予想通りに進展するとの想定で、バランスシート正常化プログラムの年内開始を見込んでいる」 ドル円108円台から109円台に
6/14 イエレン・FRB議長 「経済が予想通り進展すれば、年内のプロセス開始に向けた環境は整うはずだ」利上げ後の記者会見で。 ドル円108円台から109円台に
6/19 ダドリー・NY連銀総裁 「(米景気は)実際のところまだ長く継続すると強く確信している」講演で。 ドル円111円から111円台半ばまで上昇
6/20 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「長期にわたる低金利は将来の金融ショックやリセッションへの金融政策の対応能力を低下させる」講演で。 --------
6/27 イエレン・FRB議長 「金利は非常にゆっくりと引き上げるのが目標達で適切になるとの考えは、これまでに極めて明確にしている。(一部の資産については)高くみえるが、確信はない」ロンドンでの講演で。 ドル円111円台後半からから112円台半ばへ。株価は急落。
6/27 ドラギ・ECB総裁 「今は全ての兆候がユーロ圏の回復の強さ増し、裾野が広がっていることを示している。デフレ圧力はリフレの力に置き換わった」年次総会で。 ユーロドル1.12台から1.1350に。米独の債券は急落。
7/6 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「景気回復の持続が金融政策正常化の展望を開く」 ユーロドル1.13台から1.1425に。米独の債券は下落。
7/8 メルケル・ドイツ首相 「不一致の分野があったことを隠すべきではない。首脳宣言に合意が成立しなかった分野を反映させる必要がある」G20後の記者会見で。 --------
7/12 イエレン・FRB議長 「経済見通しは常に、相当な不確実性が伴う。例として、インフレがいつ、そしてどの程度、リソース活用の引き締まりに反応するかを巡る不確実性が挙げられる」「向こう数年間に2%のインフレ率を達成する軌道にないという判断を下すのは時期尚早だ。FOMCは向こう数ヶ月、インフレの動向を注視していく」下院での議会証言で。 ドル売り円買いが強まり、株価と債券価格は急上昇。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和