2017年7月27日(木) 「FOMC声明文でドル安進む」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は堅調に推移し、FOMC声明文発表前には112円21銭までドル高が進んだものの、声明文を受け反落。インフレ率に関する文言がややハト派的だったことから、111円07銭まで売られ、この日の安値圏で引ける。
- 前日IMFのレポートで急落したユーロドルは反発。声明文がドル安材料であったことで1.1740までユーロが買われ、2015年1月以来となるユーロ高を記録。
- FOMC声明文で利上げ期待がやや後退したことから株価は続伸。ダウは連日100ドル近い上昇を見せ、引け値では2万1700ドル台に乗せ、最高値を更新。
- 債券相場は反発。インフレ率が依然として目標値を下回っていると記載されていたことで買い物を集める。長期金利は2.28%台まで低下。
- 金は3日続落し、原油は続伸。
6月新築住宅販売件数 → 61.0万件
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| ドル/円 | 111.07 〜 112.21 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1622 〜 1.1740 |
| ユーロ/円 | 130.02 〜 130.61 |
| NYダウ | +97.58 → 21,711.01 |
| GOLD | −2.70 → 1249.40ドル |
| WTI | +0.86 → 48.75ドル |
| 米10年国債 | −0.048 → 2.287% |
本日の注目イベント
- 中 中国 6月工業利益
- 欧 ユーロ圏6月マネーサプライ
- 米 6月耐久財受注
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 企業決算 → P&G、ツイッター、ベライゾン、インテル、スターバックス、アマゾン
注目のFOMCでは予想通り政策の変更はなく、500兆円規模の保有資産の縮小に関しては6月の声明文から修正された分、市場はドル売りで反応しています。保有資産縮小に関する声明文では、6月の「年内開始」から「比較的早期に開始する」という文言に修正され、「委員会はインフレの進展を現実と期待の面から、対称的なインフレ目標と関連付けて注視していく」と記載されていました。
この声明文を受けドル売りが強まり、ドル円は直前の高値、112円21銭近辺から111円07銭まで売られ、ユーロドルも1.1740までドル安が進み、こちらは2015年1月以来のユーロ高水準を記録しました。先の議会証言で「インフレ率を注視する」とイエレン議長は発言しましたが、今回の声明文でも前年比でのインフレ率が「2%を下回る水準で推移している」と指摘し、6月の声明文にあった「やや」という文言を削除したことから、FRBが最近の低調なインフレ率を意識したものと市場は受け止めて、ドル売りで反応しています。(ブルームバーグ)
110円台半ばから反発し、112円台に乗せたものの、わずか1日で111円近辺まで押し戻されたドル円は、依然として110−115円のレンジ内で推移しています。このレンジの上か下を抜け切る鍵を握っているのが米国の長期金利であると昨日も述べましたが、足元のそれは2.28%台で、なかなか「2.6%の壁」を突破できません。声明文からも9月の会合でのバランスシートの縮小の可能性は排除できません。これまで通り今後の経済データ次第ですが、その中でもインフレ指標がより注目されることになります。
昨日オーストラリアの第2四半期の消費者物価指数(CPI)が発表されました。FRBと同じように、同数値がRBA(オーストラリア中銀)の目標に届かなかったということで発表後豪ドルが急落しましたが、今朝は再び前日の水準を回復しています。RBAのロウ総裁は昨日講演で、主要国で利上げ機運が高まっていることについて「世界の他の中銀に金利で歩調を合わせる必要はない」と述べ、利上げには否定的な見方を示しました。また豪ドルの水準についても「豪ドルがやや下落すればもっと良い」とも述べ、豪ドル下落に拍車をかけましたが、今朝方のFOMC声明文をきっかけに元の水準を回復しています。労働市場の改善が続いているオーストラリでは、いずれそう遠くない時期に利上げがテーマになって来ると予想していますが、やや長い目で見て豪ドルの押し目買いが有効かと思います。
ドル円は再び110円台を覗く水準まで下落してきましたが、上記豪ドル円や、ユーロ円の130円台回復を見ると、クロス円の上昇がドル円を下支えする構図にもなっていると考えられます。従って上値の重いドル円ですが、110円が維持されている間はレンジ内での推移と見ていいと思います。ただ足元の動きは110円突破を狙った動きと見られます。本日のレンジは110円70銭〜111円70銭程度を予想しています。
What's going on?
「What's going on ?」とは・・・会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 6/8 | ドラギ・ECB総裁 | 「忍耐が必要だ。引き続き、われわれの金融政策で回復を支えていかなければならない」理事会後の記者会見で。 | ユーロドル1.125近辺から1.12割れに |
| 6/14 | FOMC声明文 | 「委員会は現在、経済が概ね予想通りに進展するとの想定で、バランスシート正常化プログラムの年内開始を見込んでいる」 | ドル円108円台から109円台に |
| 6/14 | イエレン・FRB議長 | 「経済が予想通り進展すれば、年内のプロセス開始に向けた環境は整うはずだ」利上げ後の記者会見で。 | ドル円108円台から109円台に |
| 6/19 | ダドリー・NY連銀総裁 | 「(米景気は)実際のところまだ長く継続すると強く確信している」講演で。 | ドル円111円から111円台半ばまで上昇 |
| 6/20 | ローゼングレン・ボストン連銀総裁 | 「長期にわたる低金利は将来の金融ショックやリセッションへの金融政策の対応能力を低下させる」講演で。 | -------- |
| 6/27 | イエレン・FRB議長 | 「金利は非常にゆっくりと引き上げるのが目標達で適切になるとの考えは、これまでに極めて明確にしている。(一部の資産については)高くみえるが、確信はない」ロンドンでの講演で。 | ドル円111円台後半からから112円台半ばへ。株価は急落。 |
| 6/27 | ドラギ・ECB総裁 | 「今は全ての兆候がユーロ圏の回復の強さ増し、裾野が広がっていることを示している。デフレ圧力はリフレの力に置き換わった」年次総会で。 | ユーロドル1.12台から1.1350に。米独の債券は急落。 |
| 7/6 | バイトマン・ドイツ連銀総裁 | 「景気回復の持続が金融政策正常化の展望を開く」 | ユーロドル1.13台から1.1425に。米独の債券は下落。 |
| 7/8 | メルケル・ドイツ首相 | 「不一致の分野があったことを隠すべきではない。首脳宣言に合意が成立しなかった分野を反映させる必要がある」G20後の記者会見で。 | -------- |
| 7/12 | イエレン・FRB議長 | 「経済見通しは常に、相当な不確実性が伴う。例として、インフレがいつ、そしてどの程度、リソース活用の引き締まりに反応するかを巡る不確実性が挙げられる」「向こう数年間に2%のインフレ率を達成する軌道にないという判断を下すのは時期尚早だ。FOMCは向こう数ヶ月、インフレの動向を注視していく」下院での議会証言で。 | ドル売り円買いが強まり、株価と債券価格は急上昇。 |
| 7/20 | ドラギ・ECB総裁 | 「しっかりとした景気回復がついに訪れた。あとは賃金と物価がこれに追随するのを待つばかりだ」「粘り強さと忍耐、慎重さが必要だ。まだそこまでに至っていないからだ」理事会後の記者会見で | ユーロドル1.14台から1.1659に。 |
| 7/23 | シューマー・民主党上院院内総務 | トランプ大統領が特別検察官を解任したり、自身に恩赦した場合、極めて重要な法律違反の一つになると同時に、民主主義の本質に関する伝統的な民主的規範にも反することになる。ワシントンは激震に見舞われるだろう。 | -------- |
| 7/25 | IMF | 「インフレの道筋がECBの物価安定目標に向けて持続的な上昇を見せるまで、金融政策はしっかりと緩和的な状態を維持すべきだ」レポートで。 | ユーロドル1.1712から1.1645まで急落。 |



