今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年8月1日(火) 「ユーロドル2年半ぶりに1.18台半ばまで上昇」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円はユーロドルでドル安が進んだことと、トランプ政権の政治的リスクを織り込む形で下落。110円21銭までドル売りが進み、この日の安値圏で引ける。
  • 発表されたユーロ圏の経済指標がECBの政策変更を促すとの見方からユーロドルは続伸。一時は1.1845までユーロ高が進み、2015年1月以来のユーロ高を示現。
  • 株式市場は引き続きハイテク株が軟調となり、ナスダックは26ポイント下落、一方ダウは4営業日連続で最高値を更新。引け値では2万1900ドルに迫る。
  • 債券相場は小動き。長期金利はやや上昇し、2.29%台で引ける。
  • 金は反落。原油価格は6日続伸し、2カ月ぶりに50ドルの大台に乗せる。
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 7月シカゴ購買部協会景気指数 → 58.9
 6月中古住宅販売成約指数 → +1.5%
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ドル/円 110.21 〜 110.64
ユーロ/ドル 1.1724 〜 1.1845
ユーロ/円 129.65 〜 130.59
NYダウ +60.81 → 21,891.12
GOLD −1.90 → 1273.40ドル
WTI +0.46 → 50.17ドル
米10年国債 +0.005 → 2.294%

本日の注目イベント

  • 豪 RBA、キャッシュターゲット
  • 中 中国 7月財新製造業PMI
  • 独 独7月雇用統計
  • 欧 ユーロ圏7月製造業PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏4−6月期GDP(速報値)
  • 米 6月個人所得
  • 米 6月個人支出
  • 米 6月PCEコアデフレータ
  • 米 7月ISM製造業景況指数
  • 米 7月自動車販売台数
  • 米 企業決算 → ファイザー、アップル

ドル円は続落し、110円台前半まで円高ドル安が進みました。先週以来ドルの上値が重い展開が続いていましたが、昨日はユーロ高に引っ張られる格好で円も買われた部分があります。ユーロは約2年半ぶりとなる1.1845まで買われました。失業率が低下したことと、消費者物価指数が1.3%に上昇したことで、ECBが量的緩和の縮小に踏み切りやすくなるといった見立てからユーロ買いが強まったものです。

さらにドル円を押し下げたのは、再びトランプ政権の政治的リスクが意識されたこともあります。トランプ大統領は昨日、就任からわずか10日のスカラムッチ広報部長を解任しました。28日にプリーバス主席補佐官を更迭したことに続くものです。「恐慌政治」というと言いすぎかもしれませんが、コミーFBI長官の更迭を含め、これで大統領就任以来5人目の追放です。昨日、FRBのフィッシャー副議長が講演を行いましたが、議長もその講演の中で、「ヘルスケアや規制、税制、貿易の政策に先行き不透明感がある。政治的な不透明感は経済成長を損なう」と発言しています。

ドル円はサポートゾーンである110−110円50銭の中で、ゆっくりと下値を試している展開です。ドル上昇のきっかけをなかなか掴めない状況が続いており、政治的リスクと、北朝鮮問題などの地政学的リスクが円買いを誘っている動きです。110円を割り込み、一気に円高に向かうという状況ではないものの、このまま週末の雇用統計を迎え、仮にその内容が悪かった場合には今年6月に付けた108円82銭の直近安値を試すことも想定されます。

雇用統計の前に、本日は6月のPCEコアデフレータが発表されます。イエレン議長は先の議会証言で「FOMCは今後数カ月のインフレ率を注視する」と述べており、今夜の数字も今後の利上げを占う意味では重要です。事前予想では先月と同じく、年率で1.4%を予想しています。この数字を下回るようだと、ドル売りを誘発するかもしれません。本日のドル円は109円70銭〜110円70銭程度を予想しますが、欧州時間に入ったらユーロドルの動きにも注意が必要です。4−6月期のGDPが発表されます。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「景気回復の持続が金融政策正常化の展望を開く」 ユーロドル1.13台から1.1425に。米独の債券は下落。
7/8 メルケル・ドイツ首相 「不一致の分野があったことを隠すべきではない。首脳宣言に合意が成立しなかった分野を反映させる必要がある」G20後の記者会見で。 --------
7/12 イエレン・FRB議長 「経済見通しは常に、相当な不確実性が伴う。例として、インフレがいつ、そしてどの程度、リソース活用の引き締まりに反応するかを巡る不確実性が挙げられる」「向こう数年間に2%のインフレ率を達成する軌道にないという判断を下すのは時期尚早だ。FOMCは向こう数ヶ月、インフレの動向を注視していく」下院での議会証言で。 ドル売り円買いが強まり、株価と債券価格は急上昇。
7/20 ドラギ・ECB総裁 「しっかりとした景気回復がついに訪れた。あとは賃金と物価がこれに追随するのを待つばかりだ」「粘り強さと忍耐、慎重さが必要だ。まだそこまでに至っていないからだ」理事会後の記者会見で ユーロドル1.14台から1.1659に。
7/23 シューマー・民主党上院院内総務 トランプ大統領が特別検察官を解任したり、自身に恩赦した場合、極めて重要な法律違反の一つになると同時に、民主主義の本質に関する伝統的な民主的規範にも反することになる。ワシントンは激震に見舞われるだろう。 --------
7/25 IMF 「インフレの道筋がECBの物価安定目標に向けて持続的な上昇を見せるまで、金融政策はしっかりと緩和的な状態を維持すべきだ」レポートで。 ユーロドル1.1712から1.1645まで急落。
7/31 フィッシャー・FRB副議長 「ヘルスケアや規制、税制、貿易の政策に先行き不透明感がある。政治的な不透明感は経済成長を損なう」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和