今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年8月9日(水) 「北朝鮮リスク高まり円買い強まる」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は110円台で推移したものの、北朝鮮リスクが高まったとの見方に円を買う動きが優勢に。ドルのじり安が続き110円25銭まで売られる。
  • ユーロドルも下落。ユーロ円の利益確定する動きもあり、1.1715までドル買いユーロ売りが進む。
  • 株式市場は反落。北朝鮮の強気の姿勢に対して、トランプ大統領が警告を発したことで地政学的リスクが高まった。ダウは33ドル下げ、11営業日ぶりに下落。
  • 債券相場は下落。朝方は売られたものの、地政学的リスクが高まったことで下げ幅を縮小。金利は2.26%台へと上昇。
  • 金と原油はともに下落。
ドル/円 110.25 〜 110.83
ユーロ/ドル 1.1715 〜 1.1817
ユーロ/円 129.63 〜 130.42
NYダウ −33.68 → 22,085、34
GOLD −2.10 → 1262.60ドル
WTI −0.22 → 49.17ドル
米10年国債 +0.009 → 2.262%

本日の注目イベント

  • 中 中国 7月消費者物価指数
  • 中 中国 7月生産者物価指数
  • 加 カナダ7月住宅着工件数
  • 加 カナダ6月建設許可件数

ドル円は110円台を維持しているものの再び上値が重くなり、昨日は北朝鮮に対するリスクが高まってきたとの見方が「リスク回避」を誘い、円買い、債券買いさらには株式売りと、教科書通りのリスクオフが進みました。ドル円は110円台前半まで売られ、連日最高値を更新中だったNYダウも、さすがに下落し、11営業日ぶりに前日比マイナスで引けています。

昨日の材料はほぼ北朝鮮に絞られます。北朝鮮は国連安保理での新たな制裁決議を非難し、「米国が北朝鮮国家と国民に対して犯した全ての許しがたい罪の代償として、わが国は米国に大きな犠牲を払わせるだろう」と、朝鮮中央通信を通じて声明を発表しました。また、「われわれはいかなる条件下でも、決して核兵器と弾道ロケットを交渉議題にしない。米国の北朝鮮に対する敵対的な政策と核の脅しが基本的に撤回されない限り、われわれ自身が選んだ核戦力強化の道筋から少しでも外れることもないだろう」(ブルームバーグ)と、表明しました。

これに対して、トランプ大統領もこれまでにない口調で「米国に危機が及べば、北朝鮮は、世界がこれまで経験したことがない怒りと炎に見舞われるだろう」と述べ、さらに「何年にもわたる失敗を経て、北朝鮮がもたらす危険にようやく対応するために各国がまとまりつつある。われわれは厳しくゆるぎない態度を示さなければならない」とツイッターに投稿しています。

このように、これまで政治的な解決を含み、柔軟な対応を見せていた米国ですが、このままでは北朝鮮はミサイル発射をやめる見込みもなく、さらに圧力を強める必要があるという戦略に変わったのではないかとも思えます。これらの報道を受け、VIX指数(恐怖指数)もNYの午後には11%急伸しました。

ドル円は先週の雇用統計後に111円台まで上昇しましたが、再び110円割れを試す展開になっていると思われます。先週には何度か110円割れを示現しましたが、それでも109円台後半で踏み留まり、111円台に反発しました。今回109円台半ばを割り込むと、ドルの下値を探る動きがやや長期化することも考えられます。先週同様、粘り腰を見せることができるのかどうか注視したいと思います。本日の予想レンジは109円70銭〜110円70銭程度と予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「景気回復の持続が金融政策正常化の展望を開く」 ユーロドル1.13台から1.1425に。米独の債券は下落。
7/8 メルケル・ドイツ首相 「不一致の分野があったことを隠すべきではない。首脳宣言に合意が成立しなかった分野を反映させる必要がある」G20後の記者会見で。 --------
7/12 イエレン・FRB議長 「経済見通しは常に、相当な不確実性が伴う。例として、インフレがいつ、そしてどの程度、リソース活用の引き締まりに反応するかを巡る不確実性が挙げられる」「向こう数年間に2%のインフレ率を達成する軌道にないという判断を下すのは時期尚早だ。FOMCは向こう数ヶ月、インフレの動向を注視していく」下院での議会証言で。 ドル売り円買いが強まり、株価と債券価格は急上昇。
7/20 ドラギ・ECB総裁 「しっかりとした景気回復がついに訪れた。あとは賃金と物価がこれに追随するのを待つばかりだ」「粘り強さと忍耐、慎重さが必要だ。まだそこまでに至っていないからだ」理事会後の記者会見で ユーロドル1.14台から1.1659に。
7/23 シューマー・民主党上院院内総務 トランプ大統領が特別検察官を解任したり、自身に恩赦した場合、極めて重要な法律違反の一つになると同時に、民主主義の本質に関する伝統的な民主的規範にも反することになる。ワシントンは激震に見舞われるだろう。 --------
7/25 IMF 「インフレの道筋がECBの物価安定目標に向けて持続的な上昇を見せるまで、金融政策はしっかりと緩和的な状態を維持すべきだ」レポートで。 ユーロドル1.1712から1.1645まで急落。
7/31 フィッシャー・FRB副議長 「ヘルスケアや規制、税制、貿易の政策に先行き不透明感がある。政治的な不透明感は経済成長を損なう」 --------
8/2 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「9月にバランスシート縮小開始を発表することはプランの変更はないだろう」講演後記者団に。 --------
8/2 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない、インフレ見通しは2017年に悪化した」講演で。 ドル円下落。
8/2 メスター・クリーブランド連銀総裁 「インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」講演で。 ドル円下落。
8/7 ブラード・セントルイス連銀総裁 「(バランスシート縮小開始について)9月に発表する用意ができている。他の当局者が同意するかどうかは分からない。政策金利を現行水準で維持するのが最も適切な金融政策だろう」講演で。 --------
8/8 トランプ・米大統領 「米国に危機が及べば、北朝鮮は、世界がこれまで経験したことがない怒りと炎に見舞われるだろう」 ドル円下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和