2017年8月10日(木) 「ドル円109円台半ばを試す」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は北朝鮮リスクの高まりから円買いが強まり、109円56銭まで円高が進む。ただその後ドルは下げ渋り110円台まで反発。
- ユーロドルは続落。ユーロの利益確定売りが続き、1.1689まで下落。ユーロは対円でも128円台半ばまで売られる。
- 株式市場は続落。トランプ大統領が引き続き北朝鮮に対する非難を強めたが、緊張はやや緩和。ダウは36ドル下げ、その他の主要株価指数も小幅に続落。
- リスクの高まりから債券は買われる。長期金利は2.24%台に低下。
- 北朝鮮問題の深刻化から安全資産の金は上昇。原油価格も反発。
| ドル/円 | 109.56 〜 110.17 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1689 〜 1.1762 |
| ユーロ/円 | 128.44 〜 129.45 |
| NYダウ | −36.64 → 22,048.70 |
| GOLD | +6.70 → 1279.30ドル |
| WTI | +0.39 → 49.56ドル |
| 米10年国債 | −0.014 → 2.248% |
本日の注目イベント
- 欧 OPEC月報
- 英 英6月鉱工業生産
- 英 英6月貿易収支
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 7月生産者物価指数
- 米 7月財政収支
- 米 ダドリー・NY連銀総裁記者会見
それにしても日本株の弱さには驚きです。北朝鮮と米国との間で緊張が高まり、ひょっとしたら軍事行動もあり得るのではないかといった雰囲気になってきたことで、リスク資産の株が売られています。ただ、米国株の下落に比べ、日本株の下げは際立っていました。昨日の日経平均株価は一時300円を超す下げを見せ、1万9600円台まで売られる局面もありました。特に昼近くには、北朝鮮がグアム周辺の攻撃を慎重に検討しているとの報道が伝わると、ドル円も109円70銭台まで下げ、株価の下げを増幅しました。
これまで柔軟な姿勢を見せていたトランプ大統領が強い口調で、「炎と怒り」という言葉を使ったことで、軍事行動もあり得るのではとの懸念が強まっています。トランプ氏は昨日もツイッターで「大統領として私の命令は米国の核兵器改修と近代化だった。現在は従来よりも力強くなり、威力も増している」とコメントしました。ただ、専門家は「米国の核弾丸には威力が増すような変化はない」と否定しています。(ブルームバーグ)一方北朝鮮はトランプ氏の「炎と怒り」発言に対して、「理性に欠けたこうした人物との健全な対話は可能ではない。絶対的な力だけが影響を与える」と朝鮮中央通信は報じています。
北朝鮮問題はこれまでもリスクとして存在していましたが、理性ある対応で外交的解決の道も模索されてきましたが、ここにきて米国の対応に変化が出てきたことから、新たなステージに入った可能性もあります。トランプ大統領は、自身のロシアゲート問題も抱えており、まさに「内憂外患」といった状況です。主要な政策であったオバマケアの廃止とその代替案も、今だに未解決です。国境税の成立も不透明で、このままでは法人税の大幅減税も原資を巡って成立が危ぶまれている状況です。大規模な景気刺激策そのものが実施できるのかどうか懸念されます。
ドル円はNY市場で109円56銭まで売られ、約2カ月ぶりの円高水準を付けました。109円台前半を割り込むと、円高の勢いが増すのではないかと昨日コメントしましたが、これは4月17日の108円13銭と、6月14日の108円82銭を結ぶサポートラインを割り込むことになるからです。(日足ベース)昨日は109円台半ばまでドル安が進んだことで、一旦このサポートを抜けましたが、その後110円台まで値を戻したことで、引け値ベースでは抜け切れていません。上値は重いものの、一気に円高が進む状況ではないということかもしれませんがまだ予断は許しません。シカゴ先物市場での円の「売り建て玉」は、先週火曜日時点でも11万2千枚と、依然として高水準です。あるレートを割り込むと一斉に巻き戻しに出る可能性もあり、ドルの売り圧力になっているのも事実です。
今後の展開は北朝鮮と米国の出方次第ですが、軍事専門家の意見の多くは「武力衝突はない」というものです。それでも用心は必要です。明日からの3連休にも注意が必要かと考えます。本日は昨日大きく下げた株価の行方と、109円台半ばが維持されるのかどうかがポイントになりそうです。レンジは109円30銭〜110円30銭程度を予想します。
What's going on?
「What's going on ?」とは・・・会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/6 | バイトマン・ドイツ連銀総裁 | 「景気回復の持続が金融政策正常化の展望を開く」 | ユーロドル1.13台から1.1425に。米独の債券は下落。 |
| 7/8 | メルケル・ドイツ首相 | 「不一致の分野があったことを隠すべきではない。首脳宣言に合意が成立しなかった分野を反映させる必要がある」G20後の記者会見で。 | -------- |
| 7/12 | イエレン・FRB議長 | 「経済見通しは常に、相当な不確実性が伴う。例として、インフレがいつ、そしてどの程度、リソース活用の引き締まりに反応するかを巡る不確実性が挙げられる」「向こう数年間に2%のインフレ率を達成する軌道にないという判断を下すのは時期尚早だ。FOMCは向こう数ヶ月、インフレの動向を注視していく」下院での議会証言で。 | ドル売り円買いが強まり、株価と債券価格は急上昇。 |
| 7/20 | ドラギ・ECB総裁 | 「しっかりとした景気回復がついに訪れた。あとは賃金と物価がこれに追随するのを待つばかりだ」「粘り強さと忍耐、慎重さが必要だ。まだそこまでに至っていないからだ」理事会後の記者会見で | ユーロドル1.14台から1.1659に。 |
| 7/23 | シューマー・民主党上院院内総務 | トランプ大統領が特別検察官を解任したり、自身に恩赦した場合、極めて重要な法律違反の一つになると同時に、民主主義の本質に関する伝統的な民主的規範にも反することになる。ワシントンは激震に見舞われるだろう。 | -------- |
| 7/25 | IMF | 「インフレの道筋がECBの物価安定目標に向けて持続的な上昇を見せるまで、金融政策はしっかりと緩和的な状態を維持すべきだ」レポートで。 | ユーロドル1.1712から1.1645まで急落。 |
| 7/31 | フィッシャー・FRB副議長 | 「ヘルスケアや規制、税制、貿易の政策に先行き不透明感がある。政治的な不透明感は経済成長を損なう」 | -------- |
| 8/2 | ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 | 「9月にバランスシート縮小開始を発表することはプランの変更はないだろう」講演後記者団に。 | -------- |
| 8/2 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない、インフレ見通しは2017年に悪化した」講演で。 | ドル円下落。 |
| 8/2 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」講演で。 | ドル円下落。 |
| 8/7 | ブラード・セントルイス連銀総裁 | 「(バランスシート縮小開始について)9月に発表する用意ができている。他の当局者が同意するかどうかは分からない。政策金利を現行水準で維持するのが最も適切な金融政策だろう」講演で。 | -------- |
| 8/8 | トランプ・米大統領 | 「米国に危機が及べば、北朝鮮は、世界がこれまで経験したことがない怒りと炎に見舞われるだろう」 | ドル円下落。 |



