今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年8月14日(月) 「ドル円北朝鮮リスクで108円74銭をつける」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は北朝鮮問題がくすぶる中、円を買う動きが加速し一時108円74銭までドル安円高が進む。トランプ大統領の強気な発言や、消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことが手掛かりだったが、引けにかけては109円台に戻す。
  • ユーロドルでもドル売りが進み、1.1848までユーロが買われる。
  • 株式市場は前日の急落から落ち着きを取り戻す。ダウは14ドル上昇し、VIX指数も反落。
  • 債券相場は北朝鮮問題を背景に続伸。長期金利も2.2%の大台を下回り、2.18%台まで低下。
  • 金は続伸し、原油価格も反発。
*********************
7月消費者物価指数  → 0.1%
*********************
ドル/円 108.74 〜 109.40
ユーロ/ドル 1.1755 〜 1.1848
ユーロ/円 128.57 〜 129.11
NYダウ +14.31 → 21,858.32
GOLD +3.90 → 1294.00ドル
WTI +0.20 → 48.79ドル
米10年国債 −0.009 → 2.189%

本日の注目イベント

  • 日   4−6月GDP(速報値)
  • 中   中国 7月小売売上高
  • 中   中国 7月鉱工業生産
  • 欧   ユーロ圏6月鉱工業生産
  • 米   カプラン・ダラス連銀総裁スピーチ
  • 米   エバンス・シカゴ連銀総裁スピーチ

ドル円は米国と北朝鮮との間で緊張がさらに高まったとの見方から、安全通貨の円を買う動きが強まり、先週末のNY市場では6月14日以来となる108円74銭まで円高が進んでいます。トランプ大統領が「北朝鮮への攻撃の準備は完全に整っている」などと 発言したことで、軍事行動に出るのではないかとの懸念が強まっています。

もっともこの日は、発表された7月の消費者物価指数(CPI)が0.1%と、市場予想を下回ったことで、利上げ観測がやや後退したこともドルを売って、円を買う動きを加速させたようです。ドル円は6月14日に記録した108円88銭の直近の円高水準をわずかですが下抜けし、同時に4月17日のドルの底値から描くことのできる「サポートライン」を下抜けしたと見られます。

今後の展開は北朝鮮問題の行方次第ということになりますが、専門家の間でも今後の展開については意見が分かれています。今朝の情報でも、ポンペオ中央情報局(CIA)長官とマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は13日にそれぞれ次のように述べています。ポンペオ長官は、「FOXニュース・サンデー」とのインタビューで、「われわれが核戦争の間際にあるということを話す人たちがいるが、自分たちが現在そうした状況にあるということを示す情報はない」と述べ、北朝鮮の短期的な意図を十分把握しているとしています。

またマクマスター氏はABCの番組「ジズ・ウィーク」で、「われわれは1週間前に比べて、戦争に近づいたということはない。ただ10年前よりは戦争に近づいている」と語っています。(いずれもブルームバーグ)一部の専門家は、緊張が高まっているのは事実だが、水面下では対話への交渉も行われているのではないとの見方も示しており、さらにトランプ大統領周辺では戦争回避に向けて説得もしており、大統領一人では決定できないといった見方もあります。

ただひとたび戦争になれば、韓国への甚大な被害は避けられず、韓国の了解なしでは攻撃できないのではないかといった意見もあります。筆者の友人の在日韓国人と昨日話をしたところ、「もしそういう事態になれば、攻撃の前にソウルにいる米国人を南に移動させるはずだ」と話していました。また彼は1週間前にソウルに行ってきましたが、それほど緊張は高まっていなかったとも語っていました。

武力衝突は避けられるのかどうか。もし戦争になった場合に、日本も無傷でいられるのかどうか、予想できません。その場合、ただ安全通貨といわれる円を買っているのが正解なのか難しい問題です。報道では、明日15日の解放記念日と、21日の米韓合同演習を行う日が危険なのではないかということです。

ドル円はまだしばらくは下値を試す展開かと思われます。米国と北朝鮮との間でにらみ合いが続くかぎり、ドルの上値は重いと見られますが、それでもどこで急反発するかは分からず、神経質な相場展開が続きそうです。本日は108円50銭〜109円70銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「景気回復の持続が金融政策正常化の展望を開く」 ユーロドル1.13台から1.1425に。米独の債券は下落。
7/8 メルケル・ドイツ首相 「不一致の分野があったことを隠すべきではない。首脳宣言に合意が成立しなかった分野を反映させる必要がある」G20後の記者会見で。 --------
7/12 イエレン・FRB議長 「経済見通しは常に、相当な不確実性が伴う。例として、インフレがいつ、そしてどの程度、リソース活用の引き締まりに反応するかを巡る不確実性が挙げられる」「向こう数年間に2%のインフレ率を達成する軌道にないという判断を下すのは時期尚早だ。FOMCは向こう数ヶ月、インフレの動向を注視していく」下院での議会証言で。 ドル売り円買いが強まり、株価と債券価格は急上昇。
7/20 ドラギ・ECB総裁 「しっかりとした景気回復がついに訪れた。あとは賃金と物価がこれに追随するのを待つばかりだ」「粘り強さと忍耐、慎重さが必要だ。まだそこまでに至っていないからだ」理事会後の記者会見で ユーロドル1.14台から1.1659に。
7/23 シューマー・民主党上院院内総務 トランプ大統領が特別検察官を解任したり、自身に恩赦した場合、極めて重要な法律違反の一つになると同時に、民主主義の本質に関する伝統的な民主的規範にも反することになる。ワシントンは激震に見舞われるだろう。 --------
7/25 IMF 「インフレの道筋がECBの物価安定目標に向けて持続的な上昇を見せるまで、金融政策はしっかりと緩和的な状態を維持すべきだ」レポートで。 ユーロドル1.1712から1.1645まで急落。
7/31 フィッシャー・FRB副議長 「ヘルスケアや規制、税制、貿易の政策に先行き不透明感がある。政治的な不透明感は経済成長を損なう」 --------
8/2 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「9月にバランスシート縮小開始を発表することはプランの変更はないだろう」講演後記者団に。 --------
8/2 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない、インフレ見通しは2017年に悪化した」講演で。 ドル円下落。
8/2 メスター・クリーブランド連銀総裁 「インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」講演で。 ドル円下落。
8/7 ブラード・セントルイス連銀総裁 「(バランスシート縮小開始について)9月に発表する用意ができている。他の当局者が同意するかどうかは分からない。政策金利を現行水準で維持するのが最も適切な金融政策だろう」講演で。 --------
8/8 トランプ・米大統領 「米国に危機が及べば、北朝鮮は、世界がこれまで経験したことがない怒りと炎に見舞われるだろう」 ドル円下落。
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和