今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年8月15日(火) 「ドル小幅に反発」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は北朝鮮問題の緊張がやや緩和したことから上昇。109円76銭までドルが買い戻された。NY連銀総裁が年内にもう一度の利上げを支持するとの情報が伝わり、これもドル高に作用した。
  • ユーロドルは反落。1.18台が徐々に重くなり、1.1770まで売られる。来週ジャクソンホールでのドラギ総裁の講演待ちの雰囲気。
  • 株式市場は米朝の緊張緩和を受け大幅に続伸。ダウは135ドル上昇し、再び2万2000ドルに迫る。
  • 債券は反落。ティラーソン国務長官が北朝鮮との対話の用意があると述べたことも材料に。長期金利は2.21%台へ上昇。
  • 金と原油はともに反落。
ドル/円 109.43 〜 109.76
ユーロ/ドル 1.1770 〜 1.1802
ユーロ/円 128.92 〜 129.38
NYダウ +135.39 → 21,993.71
GOLD −3.60 → 1290.40ドル
WTI −1.23 → 47.59ドル
米10年国債 +0.030 → 2.218%

本日の注目イベント

  • 豪   RBA議事録
  • 日   6月鉱工業生産(確定値)
  • 独   独4−6月期GDP(速報値)
  • 英   英7月物価統計
  • 米   8月NY連銀製造業景気指数
  • 米   7月小売売上高
  • 米   8月NAHB住宅市場指数

ドル円は108円台に沈むことなく緩やかに反発しました。連休明けの東京市場の反応に注目していましたが、日経平均株価が一時240円ほど下げたにもかかわらずドルを買う動きが優勢でした。昨日の夕方には109円80銭までドルが買われ、NYでも米朝の緊張がやや緩和したとの見方もあり、109円76銭までドルが買い戻されています。

ティラーソン国務長官はウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し、「米国は北朝鮮の体制転換にも南北統一の加速にも関心はない」と述べていますが、この内容は従来からの考えを繰り返したものです。米国が依然として対話の糸口を模索していることが確認できたことで、米朝の緊張が後退したと市場は見たようです。

それでもまだ平常に戻るのは時間がかかり、警戒を解くわけにはいきません。北朝鮮の国営新聞も昨日は「あとは命令が下るのを待つだけ」といった見出しの論説を掲載しており、本日は祖国解放記念日にあたり、「Xデー」の一つと観られています。このままにらみ合いが続くのか、あるいは急転直下「対話」の席が設けられるのか、まだ予断は許さない状況です。

NY連銀のダドリー総裁はAP通信社とのインタビューで「金融当局が9月にバランスシート縮小計画を発表するとの見方は不合理ではない」と述べ、さらに利上げについても「年内もう一度の利上げを支持するだろう」と発言しました。(ブルームバーグ) 今月に入ってからは、セントルイス連銀総裁のように、軟調なインフレ率を理由に利上げには慎重な見方をする意見が多く、これがドル円を押し下げた原因の一つにもなっていました。イエレン議長にも近いとみられるダドリー総裁のこの発言は、今後のFOMCでもそれなりの存在感があるものと推測できます。

NYダウも昨日は135ドル上昇し、再び2万2000ドルを目指す状況です。5日続落の日本株も、さすがに今日は反発すると予想していますが、それでも日経平均株価の2万円は徐々に遠くなっています。「NISA」経由の資金も入っているとの報道もありましたが、個人投資家にとって運用難は続きます。本日のレンジは109円30銭〜110円30銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「景気回復の持続が金融政策正常化の展望を開く」 ユーロドル1.13台から1.1425に。米独の債券は下落。
7/8 メルケル・ドイツ首相 「不一致の分野があったことを隠すべきではない。首脳宣言に合意が成立しなかった分野を反映させる必要がある」G20後の記者会見で。 --------
7/12 イエレン・FRB議長 「経済見通しは常に、相当な不確実性が伴う。例として、インフレがいつ、そしてどの程度、リソース活用の引き締まりに反応するかを巡る不確実性が挙げられる」「向こう数年間に2%のインフレ率を達成する軌道にないという判断を下すのは時期尚早だ。FOMCは向こう数ヶ月、インフレの動向を注視していく」下院での議会証言で。 ドル売り円買いが強まり、株価と債券価格は急上昇。
7/20 ドラギ・ECB総裁 「しっかりとした景気回復がついに訪れた。あとは賃金と物価がこれに追随するのを待つばかりだ」「粘り強さと忍耐、慎重さが必要だ。まだそこまでに至っていないからだ」理事会後の記者会見で ユーロドル1.14台から1.1659に。
7/23 シューマー・民主党上院院内総務 トランプ大統領が特別検察官を解任したり、自身に恩赦した場合、極めて重要な法律違反の一つになると同時に、民主主義の本質に関する伝統的な民主的規範にも反することになる。ワシントンは激震に見舞われるだろう。 --------
7/25 IMF 「インフレの道筋がECBの物価安定目標に向けて持続的な上昇を見せるまで、金融政策はしっかりと緩和的な状態を維持すべきだ」レポートで。 ユーロドル1.1712から1.1645まで急落。
7/31 フィッシャー・FRB副議長 「ヘルスケアや規制、税制、貿易の政策に先行き不透明感がある。政治的な不透明感は経済成長を損なう」 --------
8/2 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「9月にバランスシート縮小開始を発表することはプランの変更はないだろう」講演後記者団に。 --------
8/2 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない、インフレ見通しは2017年に悪化した」講演で。 ドル円下落。
8/2 メスター・クリーブランド連銀総裁 「インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」講演で。 ドル円下落。
8/7 ブラード・セントルイス連銀総裁 「(バランスシート縮小開始について)9月に発表する用意ができている。他の当局者が同意するかどうかは分からない。政策金利を現行水準で維持するのが最も適切な金融政策だろう」講演で。 --------
8/8 トランプ・米大統領 「米国に危機が及べば、北朝鮮は、世界がこれまで経験したことがない怒りと炎に見舞われるだろう」 ドル円下落。
8/14 ダドリー・NY連銀総裁 「金融当局が9月にバランスシート縮小計画を発表するとの見方は不合理ではない。年内もう一度の利上げを支持するだろう」AP通信とのインタビューで。 ドル高が進む。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和