今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年8月16日(水) 「ドル円続伸し110円台後半に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は続伸。北朝鮮の金正恩委員長の発言や、発表された経済指標が軒並み良好だったことからドル円は110円85銭までドル高が進む。長期金利の上昇もドル円を押し上げた。
  • ユーロドルは続落。1.17を割り込み、一時は1.1687までユーロ安が進む。来週のドラギ講演を控え、持ち高を調整する動きも。
  • 株式市場はまちまち。ダウは小幅ながら3日続伸したが、ナスダック、S&P500は反落。北朝鮮不安が緩和されたことでVIX指数(恐怖指数)も12を割り込む。
  • 良好な経済指標を受け債券相場は続落。長期金利は2.27%台へと上昇し、先週末に比べると10bpの大幅上昇。
  • 金と原油は小幅に続落。
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8月NY連銀製造業景気指数 → 25.20
7月小売売上高       → +0.5%
8月NAHB住宅市場指数  → 68
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ドル/円 110.38 〜 110.85
ユーロ/ドル 1.1687 〜 1.1745
ユーロ/円 129.41 〜 129.90
NYダウ +5.28 → 21,998.99
GOLD −10.70 → 1279.70ドル
WTI −0.04 → 47.55ドル
米10年国債 +0.054 → 2.273%

本日の注目イベント

  • 欧   ユーロ圏4−6月期GDP(改定値)
  • 英   英7月雇用統計
  • 米   7月住宅着工件数
  • 米   7月建設許可件数
  • 米   FOMC議事録(7月25、26日分)

北朝鮮の金正恩委員長が「米国の行動はもう少し見守る」と発言したことを朝鮮中央通信が伝えたことで、米朝の緊張が緩和され、ドル円は前日と同様に買われています。昨日の東京市場で、株価の上昇とともに110円台を回復したドル円でした。緊張緩和に加え、昨日発表された米経済データが軒並み予想を上回ったことで安心感が広がったようです。前日NY連銀のダドリー総裁が「年内もう一度の利上げを支持するだろう」と発言したことが正当化された格好です。

8月のNY連銀製造業景況指数は市場予想の「10」に対して「25.20」と大幅に上回りました。また7月の小売売上高も予想の「+0.3%」に対して、「+0.5%」と、こちらも上振れした上に、先月分も上方修正されました。7月の小売売上高は、前月比での伸びが今年最大となり、百貨店や建築資材など売り上げ増加は幅広い分野に広がり、堅調な個人消費が示唆された形になっています。(ブルームバーグ)

これでドル円は先週末の108円72銭の安値から、わずか2日で2円以上もの反発を見せたことになります。このまま上昇に転じることはないにしても、ヘッジファンドなどの円売りポジションの大幅な巻き戻しを誘発するリスクはやや後退しています。昨日の火曜日時点のポジションは、18日(金)に発表されますが、円の売り持ちはかなり減少したものと見られます。

北朝鮮問題はもちろん、まだリスクが高いと見ています。米朝のにらみ合いが続いている状況ですが、来週21日には米韓合同軍事演習が行われ、25日は「先軍節」にあたり、このあたりが「Xデー」の有力な候補日と見られているようです。また、来月9日も北朝鮮の『建国記念日』であることから、要注意日と見られています。いずれにしても、米国から攻撃を開始する可能性はそれほど高くはないと思われ、韓国の文大統領も「誰も韓国の同意なしに軍事行動を決定することはできない」と釘を刺しています。

ドル円は110円台後半まで買い戻されましたが、このまま111円台に乗せ、安定するにはさらなる材料が必要です。このまま米朝の軍事行動が見られずにらみ合いが続くようであれば、市場の材料としての「価値」も、徐々に薄れ、正常な状態に戻ることもあり得ますが、まだ予断は許しません。ただ、昨日あたりから市場関係者の相場観にもやや変化が見られるのも事実です。ブルームバーグ・ニュースでは、カナダのTD(トロント・ドミニオン銀行)の為替責任者は「ドルの対円相場は上昇への機が熟している」とし、「1ドル112円50銭が視野に」との見方を示していると伝えています。

本日はやや円安が進んだこともあり、日本株も昨日程ではないとしても堅調に推移すると見られます。予想レンジは110円〜111円程度にしたいと思います。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「景気回復の持続が金融政策正常化の展望を開く」 ユーロドル1.13台から1.1425に。米独の債券は下落。
7/8 メルケル・ドイツ首相 「不一致の分野があったことを隠すべきではない。首脳宣言に合意が成立しなかった分野を反映させる必要がある」G20後の記者会見で。 --------
7/12 イエレン・FRB議長 「経済見通しは常に、相当な不確実性が伴う。例として、インフレがいつ、そしてどの程度、リソース活用の引き締まりに反応するかを巡る不確実性が挙げられる」「向こう数年間に2%のインフレ率を達成する軌道にないという判断を下すのは時期尚早だ。FOMCは向こう数ヶ月、インフレの動向を注視していく」下院での議会証言で。 ドル売り円買いが強まり、株価と債券価格は急上昇。
7/20 ドラギ・ECB総裁 「しっかりとした景気回復がついに訪れた。あとは賃金と物価がこれに追随するのを待つばかりだ」「粘り強さと忍耐、慎重さが必要だ。まだそこまでに至っていないからだ」理事会後の記者会見で ユーロドル1.14台から1.1659に。
7/23 シューマー・民主党上院院内総務 トランプ大統領が特別検察官を解任したり、自身に恩赦した場合、極めて重要な法律違反の一つになると同時に、民主主義の本質に関する伝統的な民主的規範にも反することになる。ワシントンは激震に見舞われるだろう。 --------
7/25 IMF 「インフレの道筋がECBの物価安定目標に向けて持続的な上昇を見せるまで、金融政策はしっかりと緩和的な状態を維持すべきだ」レポートで。 ユーロドル1.1712から1.1645まで急落。
7/31 フィッシャー・FRB副議長 「ヘルスケアや規制、税制、貿易の政策に先行き不透明感がある。政治的な不透明感は経済成長を損なう」 --------
8/2 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「9月にバランスシート縮小開始を発表することはプランの変更はないだろう」講演後記者団に。 --------
8/2 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない、インフレ見通しは2017年に悪化した」講演で。 ドル円下落。
8/2 メスター・クリーブランド連銀総裁 「インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」講演で。 ドル円下落。
8/7 ブラード・セントルイス連銀総裁 「(バランスシート縮小開始について)9月に発表する用意ができている。他の当局者が同意するかどうかは分からない。政策金利を現行水準で維持するのが最も適切な金融政策だろう」講演で。 --------
8/8 トランプ・米大統領 「米国に危機が及べば、北朝鮮は、世界がこれまで経験したことがない怒りと炎に見舞われるだろう」 ドル円下落。
8/14 ダドリー・NY連銀総裁 「金融当局が9月にバランスシート縮小計画を発表するとの見方は不合理ではない。年内もう一度の利上げを支持するだろう」AP通信とのインタビューで。 ドル高が進む。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和