今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年8月29日(火) 「北朝鮮ミサイル発射でドル円早朝に急落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は上値が重かったものの、109円台は維持。ジャクソンホールでのシンポジュームも終わり材料がない中、米長期金利の低下に109円05銭まで売られた。
  • ユーロドルは続伸。1.1984までユーロ高が進み、2015年1月以来の水準を記録。今週にも1.20台に乗せるとの見方が強まる。
  • 株式市場はほぼ変わらず。ハリケーン「ハービー」の影響から保険株に売りものが増えたもののダウは5ドル安で引け、S&P500は小幅に上昇。
  • 債券相場は一時売られていたものの、引けには先週末比で上昇。長期金利は2.15%台まで低下。
  • ドルが対ユーロで売られたことで金は大幅に続伸。先週末に17ドル上昇し、約9カ月ぶりとなる1315ドル台に。原油価格は大幅に続落。ハリケーン「ハービー」の影響で需給が緩むとの見方から売られ46ドル台に。
ドル/円 109.05 〜 109.41
ユーロ/ドル 1.1922 〜 1.1984
ユーロ/円 130.27 〜 130.97
NYダウ −5.27 → 21,808.40
GOLD +17.40 → 1,315.30ドル
WTI −1.30 → 46.57
米10年国債 −0.009 → 2.157%

本日の注目イベント

  • 日   7月失業率
  • 欧   英EU離脱交渉再開
  • 仏   仏4−6月期GDP(改定値)
  • 米   6月ケース・シラ−住宅価格指数
  • 米   8月消費者信頼感指数

NY市場では109円25銭前後で取引を終えたドル円でしたが、今朝6時前、北朝鮮が先週土曜日に続きミサイルを発射したとの報道でドル円は一時108円34銭辺りまで売られました。北海道や東北の上空を通過した模様ですが、引き続き有事の円買いは 機能しているようです。先週末に引き続きミサイルを発射したことで、米国も何らかの行動を起こすのではないかとの見方もあり、円を買う動きは前回よりも強まっているように思えます。

ドル円はNY市場では長期金利が約2カ月ぶりとなる2.15%台まで低下したことでドル売りが強まりましたが、それでも109円台を維持していました。今朝方一時的とはいえ108円台半ばを割り込んだことで、ドル円は今年4月に記録した108円13銭が視野に入ってきたと考えられます。米国が行動をおこすかどうかも重要ですが、今夜あたり上記108円前後のサポートを下抜けするのかどうか、重要な値位置に差しかかってきたと言えます。

ユーロドルも続伸し、昨日は1.1984までユーロ高が進んでいます。ここでもドル安が進んでおり、1.20の大台まであと16ポイントに迫ってきました。近いうちに1.20台に乗せると予想していましたが、問題は1.20に乗せた後、さらにそこから上昇するのかどうかです。ECBとしても長期間続いたユーロ安がユーロ圏の景気浮揚に効果があったことは認めており、このままユーロ高が続くと、ECBの金融政策にも影響が出ることから、何らかのけん制を行ってくることも考えられます。1.20を大きく上回り、市場が一段のユーロ高を予想するようになった時には注意が必要です。

ドル円は今日辺りが注意すべき日になりそうです。108円台半ばから後半では個人投資家を中心にドル買い意欲が強かったものの、さすがに108円台前半まで来ると、ドル買いが引っ込み、様子見が増えてくると思われます。北朝鮮のミサイル発射で、本日も日本株は再び売られそうです。日経平均株価が予想外に下げるようだと、再びドルの下値を試すことになります。円安傾向が続いている、ユーロ円や豪ドル円など、クロス円でも巻き戻しが起こる可能性もあります。予想レンジは108円〜109円程度とします。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「景気回復の持続が金融政策正常化の展望を開く」 ユーロドル1.13台から1.1425に。米独の債券は下落。
7/8 メルケル・ドイツ首相 「不一致の分野があったことを隠すべきではない。首脳宣言に合意が成立しなかった分野を反映させる必要がある」G20後の記者会見で。 --------
7/12 イエレン・FRB議長 「経済見通しは常に、相当な不確実性が伴う。例として、インフレがいつ、そしてどの程度、リソース活用の引き締まりに反応するかを巡る不確実性が挙げられる」「向こう数年間に2%のインフレ率を達成する軌道にないという判断を下すのは時期尚早だ。FOMCは向こう数ヶ月、インフレの動向を注視していく」下院での議会証言で。 ドル売り円買いが強まり、株価と債券価格は急上昇。
7/20 ドラギ・ECB総裁 「しっかりとした景気回復がついに訪れた。あとは賃金と物価がこれに追随するのを待つばかりだ」「粘り強さと忍耐、慎重さが必要だ。まだそこまでに至っていないからだ」理事会後の記者会見で ユーロドル1.14台から1.1659に。
7/23 シューマー・民主党上院院内総務 トランプ大統領が特別検察官を解任したり、自身に恩赦した場合、極めて重要な法律違反の一つになると同時に、民主主義の本質に関する伝統的な民主的規範にも反することになる。ワシントンは激震に見舞われるだろう。 --------
7/25 IMF 「インフレの道筋がECBの物価安定目標に向けて持続的な上昇を見せるまで、金融政策はしっかりと緩和的な状態を維持すべきだ」レポートで。 ユーロドル1.1712から1.1645まで急落。
7/31 フィッシャー・FRB副議長 「ヘルスケアや規制、税制、貿易の政策に先行き不透明感がある。政治的な不透明感は経済成長を損なう」 --------
8/2 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「9月にバランスシート縮小開始を発表することはプランの変更はないだろう」講演後記者団に。 --------
8/2 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない、インフレ見通しは2017年に悪化した」講演で。 ドル円下落。
8/2 メスター・クリーブランド連銀総裁 「インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」講演で。 ドル円下落。
8/7 ブラード・セントルイス連銀総裁 「(バランスシート縮小開始について)9月に発表する用意ができている。他の当局者が同意するかどうかは分からない。政策金利を現行水準で維持するのが最も適切な金融政策だろう」講演で。 --------
8/8 トランプ・米大統領 「米国に危機が及べば、北朝鮮は、世界がこれまで経験したことがない怒りと炎に見舞われるだろう」 ドル円下落。
8/14 ダドリー・NY連銀総裁 「金融当局が9月にバランスシート縮小計画を発表するとの見方は不合理ではない。年内もう一度の利上げを支持するだろう」AP通信とのインタビューで。 ドル高が進む。
8/15 カプラン・ダラス連銀総裁 「バランスシートを縮小させるプロセスをまもなく開始すべきだ。今の情勢を考えれば、現時点では辛抱強くあることが適切だ」講演で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和