今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年8月30日(水) 「ドル円108円台前半から急騰」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 北朝鮮のミサイル発射を受けて、東京と欧州市場では108円台前半までドル安が進んだが、NYでは一転してドルが買われる。直ぐに米国からの反撃はないとの見方が広がり、株価が堅調に推移したことで109円91銭までドル買いが進む荒っぽい動きに。
  • ユーロドルは節目の1.20を抜け、1.2059まで上昇。欧州市場で既に1.2070まで買われた流れを引き継いだものの、その後ドルが買い戻されたことで1.19台半ばまで売られる展開。
  • 株式市場は上昇。北朝鮮のミサイル発射に対し、トランンプ大統領の反応が比較的穏やかだったことで、直ぐに軍事衝突はないとの観測が広がった。ダウは56ドル上昇。
  • 債券相場は続伸。北朝鮮との緊張が高まったことで買われたものの、債券トレーダーの反応はやや異なり、債券への需要が増した。長期金利は一時2.08%台まで低下した後、2.12%台で引ける。
  • 有事の金は続伸し、1318ドルで取引を終える。一方原油価格は続落。
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 6月ケース・シラ−住宅価格指数 → +5.65%
 8月消費者信頼感指数 → 122.9
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ドル/円 108.41 〜 109.91
ユーロ/ドル 1.1946 〜 1.2059
ユーロ/円 130.45 〜 131.61
NYダウ +56.97 → 21,865.37
GOLD +3.60 → 1,318.90ドル
WTI −0.13 → 46.44
米10年国債 −0.028 → 2.129%

本日の注目イベント

  • 豪 豪7月住宅建設許可件数
  • 独 独8月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ユーロ圏8月景況感指数
  • 欧 ユーロ圏8月消費者信頼感(確報値)
  • 英 英7月消費者信用残高
  • 米 8月ADP雇用者数
  • 米 4−6月GDP(改定値)
  • 米 パウエル・FRB理事講演

先週土曜日のミサイル発射に続き、昨日早朝の度重なるミサイル発射で市場は大混乱し、荒っぽい動きとなりました。週明けのオセアニア市場では、北朝鮮の執拗な威嚇に、米国も何らかの行動を取る可能性が高いとの見方から円が急騰し、109円台前半から108円34銭までドル売りが進みました。

日経平均株価もリスク資産の株を売る動きが強まり、一時は170円ほど下げ、株価次第では108円割れも想定される状況でした。ただその後株価が持ち直し下げ幅を縮小すると、ドル円も108円台後半まで買い戻され、欧州市場では再び円高に振れる局面があったものの、NY市場では一転してドル高に転じています。

個人的にも朝方のドル売りの勢いを目にして、108円割れも想定しましたが、108円台半ば辺りのストップのドル売りが下落の勢いを増幅していたようです。NY市場ではトランプ大統領が「全ての選択肢がテーブルの上にある」と述べたものの、予想以上に穏健な発言に、「直ぐに軍事的な行動を起こす可能性は低い」との見方が強まり、リスクが一旦後退したことでドル円は109円91銭まで買い戻される荒っぽい展開になりました。

もっとも、このドルの反発もストップのドル買いが発動されたと見られ、このまま110円を超えて一段と上昇するとは、現時点では考えにくい状況です。言えることは「アルゴ取引」などが活発なため、材料次第では相場がどちらへも振れやすいということです。ポジションをある程度縮小しておくことが肝要です。

昨日は北朝鮮に振り回された格好でしたが、この先まだ挑発行為は続きそうです。問題はこの挑発にトランプ氏がどこまで穏健でいられるかという点です。北朝鮮も軍事力では米国が圧倒的に有利なのは承知しており、グアム周辺を攻撃してくることはなく、あくまでも「脅し」であろうかと思います。ただこの一触即発の状況がこれからもずっと続くかと言えば、そうとも思えません。どこかで終止符が打たれるはずですが、それが軍事行動なのか、テーブルについての話合いなるのかはわかりません。トランプ氏が軍事的行動を支持する可能性は低いと見られる理由の一つに、今回テキサス州ヒューストンなどで起きたハリケーン「ハービー」の被害が挙げられます。報道では今回の被害額は最大で3.2兆円との試算もあるようで、先ずは目先の対応を迫られるとの見立てです。

本日は北朝鮮問題に加え、ADP雇用統計も発表され、今日から「雇用統計モード」に入ります。予想は18.5万人と、先月よりもいい数字が予想されています。これだけドル売材料に事欠かない状況のなか、108円を割り込まないドル円相場。もしかしたら、108円前半が底値で、これから緩やかに上昇していくのかもしれません。108円を割りこんでもおかしくないここ最近の動きの中で、「ドルが意外に底堅い」と正直感じています。本日は109円〜110円30銭程度を予想していますが、再び荒っぽい動きには注意が必要です。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
7/6 バイトマン・ドイツ連銀総裁 「景気回復の持続が金融政策正常化の展望を開く」 ユーロドル1.13台から1.1425に。米独の債券は下落。
7/8 メルケル・ドイツ首相 「不一致の分野があったことを隠すべきではない。首脳宣言に合意が成立しなかった分野を反映させる必要がある」G20後の記者会見で。 --------
7/12 イエレン・FRB議長 「経済見通しは常に、相当な不確実性が伴う。例として、インフレがいつ、そしてどの程度、リソース活用の引き締まりに反応するかを巡る不確実性が挙げられる」「向こう数年間に2%のインフレ率を達成する軌道にないという判断を下すのは時期尚早だ。FOMCは向こう数ヶ月、インフレの動向を注視していく」下院での議会証言で。 ドル売り円買いが強まり、株価と債券価格は急上昇。
7/20 ドラギ・ECB総裁 「しっかりとした景気回復がついに訪れた。あとは賃金と物価がこれに追随するのを待つばかりだ」「粘り強さと忍耐、慎重さが必要だ。まだそこまでに至っていないからだ」理事会後の記者会見で ユーロドル1.14台から1.1659に。
7/23 シューマー・民主党上院院内総務 トランプ大統領が特別検察官を解任したり、自身に恩赦した場合、極めて重要な法律違反の一つになると同時に、民主主義の本質に関する伝統的な民主的規範にも反することになる。ワシントンは激震に見舞われるだろう。 --------
7/25 IMF 「インフレの道筋がECBの物価安定目標に向けて持続的な上昇を見せるまで、金融政策はしっかりと緩和的な状態を維持すべきだ」レポートで。 ユーロドル1.1712から1.1645まで急落。
7/31 フィッシャー・FRB副議長 「ヘルスケアや規制、税制、貿易の政策に先行き不透明感がある。政治的な不透明感は経済成長を損なう」 --------
8/2 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「9月にバランスシート縮小開始を発表することはプランの変更はないだろう」講演後記者団に。 --------
8/2 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない、インフレ見通しは2017年に悪化した」講演で。 ドル円下落。
8/2 メスター・クリーブランド連銀総裁 「インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」講演で。 ドル円下落。
8/7 ブラード・セントルイス連銀総裁 「(バランスシート縮小開始について)9月に発表する用意ができている。他の当局者が同意するかどうかは分からない。政策金利を現行水準で維持するのが最も適切な金融政策だろう」講演で。 --------
8/8 トランプ・米大統領 「米国に危機が及べば、北朝鮮は、世界がこれまで経験したことがない怒りと炎に見舞われるだろう」 ドル円下落。
8/14 ダドリー・NY連銀総裁 「金融当局が9月にバランスシート縮小計画を発表するとの見方は不合理ではない。年内もう一度の利上げを支持するだろう」AP通信とのインタビューで。 ドル高が進む。
8/15 カプラン・ダラス連銀総裁 「バランスシートを縮小させるプロセスをまもなく開始すべきだ。今の情勢を考えれば、現時点では辛抱強くあることが適切だ」講演で。 --------
8/29 トランプ・米大統領 「全ての選択肢がテーブルの上にある」北朝鮮の度重なるミサイル発射に対して。 発言が穏健的だったことでドル円急反発108円台→109円台後半に
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和