今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年9月8日(金) 「ドル円一時108円割れ目前」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円はユーロ高に引っ張られる形で一時108円05銭まで下落し、昨年11月以来となる円高水準を記録。米長期金利も2.03%まで低下し、ドル売りを誘引。その後ドルは買い戻され108円台半ばで取引を終える。
  • ECBのドラギ総裁は会見で10月の量的緩和の縮小決定を示唆。同時にユーロ高をけん制したことでユーロドルは乱高下。それでも1.2060前後まで買われ、ユーロ円も131円台に乗せる。
  • 株式市場はまちまち。北朝鮮リスクやハリケーンを警戒し、ダウは22ドル下げたものの、ナスダックは4ポイント上昇。
  • 債券相場は反発。欧州債が上昇したことや、ハリケーンの影響などを見極め、買いが優勢に。長期金利は10カ月ぶりとなる2.03%台まで低下。
  • 金は反発し1350ドル台に。原油は5営業日ぶりに小幅反落。
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 新規失業保険申請件数 → 29.8万件
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ドル/円 108.05 〜 108.97
ユーロ/ドル 1.1930 〜 1.2059
ユーロ/円 129.90 〜 131.10
NYダウ −22.86 → 21,784.78
GOLD +11.30 → 1,350.30ドル
WTI −0.07 → 49.09
米10年国債 −0.066 → 2.039%

本日の注目イベント

  • 日 4−6月GDP(改定値)
  • 日 7月国際収支
  • 日  8月景気ウオッチャー調査
  • 中 中国 8月貿易統計
  • 独 独7月貿易収支
  • 英 英7月鉱工業生産
  • 英 英7月貿易収支
  • 米 7月消費者信用残高
  • 米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演

ECBは理事会で政策金利の据え置きを決めたが、その後に行われた記者会見でドラギ総裁は量的緩和の縮小について、「決定の大きな部分は10月に下されるだろう」と述べ、10月の理事会で決定されることを示唆しました。この発言を受け、ユーロドルは1.19台前半から1.2060前後まで上昇。対円でも131円台前半までユーロ高が進みました。

一方でドラギ総裁はユーロ高をけん制する発言も行っており、「最近のボラティリティーは不透明感の源となっており、中期的な物価安定の見通しに影響を及ぼし得るという点で監視する必要がある」と、語っています。ユーロドルは直後に売られる場面もありましたが1.20台を維持して今朝を迎えています。

ドル円はユーロドルが1.20台に乗せ上昇を加速させると、円買いドル売りが強まり、一時は108円05銭まで売られています。この水準は今年4月に記録した108円13銭を下回る、昨年11月以来の円高を付けたことになります。昨日の円高ドル安はユーロ高に引っ張られた格好になりましたが、この欄でも何度か触れたように、周りを見渡せば「ドル安材料」は目白押しで、むしろ108円台を維持しているドル円の粘り腰に驚いている状況でした。

前日には債務上限問題が一旦片付き、ドル円は109円台まで反発したものの、12月には議会で、再びこの議題で議論が紛糾することになります。また大型のハリケーン「イルマ」の被害も懸念されます。それ以前に、北朝鮮のさらなる挑発行為が明日の建国記念日に実施されるのではとの見方もあり、なかなかドルを買える状況ではありません。昨日はさらにドル安に追い討ちをかけるように、米長期金利が2.04%を割り込み、約10カ月ぶりの低水準を記録しました。「周りはドル売り材料一色」と言ってもいい状況です。

108円は割り込んではいないものの、今年の円の最高値を記録したドル円は108円割れも視野に入った感じがします。円高を嫌気して本日の日本株は大きく売られる可能性もあります。円高と株安が同時進行する「負の連鎖」も想定され、足元の関心は「ドルがどこまで下げるのか」といったところです。さらにこのまま108円台で越週すると、重要な「週足」チャートでは「雲抜け」が完成します。「週足」で雲を下抜けすれば、昨年11月の米大統領選直後の水準と同じ形態を示し、ドルの下落が長く続くことを暗示することになります。本日は108円を維持できるのか。また仮に108円を割り込んでも、すぐに反発する力があるのかどうかがポイントでしょう。ずるずると108円を割り込み、その後も緩やかに下落が続くような展開は避けたいところですが、どうでしょう。予想レンジは107円70銭〜108円80銭程度と見ます。


今年の夏の暑さもそろそろピークを過ぎ、もうすぐ彼岸です。「暑さ寒さも彼岸まで」と、昔の人はいいことを言いました。今年の彼岸の入りは20日です。家の近所の彼岸花もそろそろつぼみが膨らみ、開花を待っています。秋の澄んだ空気に、赤い彼岸花はよく似合います。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
8/2 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「9月にバランスシート縮小開始を発表することはプランの変更はないだろう」講演後記者団に。 --------
8/2 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない、インフレ見通しは2017年に悪化した」講演で。 ドル円下落。
8/2 メスター・クリーブランド連銀総裁 「インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」講演で。 ドル円下落。
8/7 ブラード・セントルイス連銀総裁 「(バランスシート縮小開始について)9月に発表する用意ができている。他の当局者が同意するかどうかは分からない。政策金利を現行水準で維持するのが最も適切な金融政策だろう」講演で。 --------
8/8 トランプ・米大統領 「米国に危機が及べば、北朝鮮は、世界がこれまで経験したことがない怒りと炎に見舞われるだろう」 ドル円下落。
8/14 ダドリー・NY連銀総裁 「金融当局が9月にバランスシート縮小計画を発表するとの見方は不合理ではない。年内もう一度の利上げを支持するだろう」AP通信とのインタビューで。 ドル高が進む。
8/15 カプラン・ダラス連銀総裁 「バランスシートを縮小させるプロセスをまもなく開始すべきだ。今の情勢を考えれば、現時点では辛抱強くあることが適切だ」講演で。 --------
8/29 トランプ・米大統領 「全ての選択肢がテーブルの上にある」北朝鮮の度重なるミサイル発射に対して。 発言が穏健的だったことでドル円急反発108円台→109円台後半に
8/31 ムニューシン・財務長官 「貿易に関しては、一段と弱いドルがわれわれにとっては多少好ましい」 ドル円下落
9/3 マティス・国防長官 「大規模な軍事的対応、効果的かつ圧倒的な対応をとる。われわれには多くの軍事的選択肢がある。」北朝鮮の核実験を受け、大統領らとの会合後に。 円高、株安が進行
9/5 ブレーナ−ド・FRB理事 「インフレ率が当局の目標達成にむけた軌道にあるとわれわれが確信できるまで、追加の引き締めには慎重になるべきだというのが私の見解だ」講演で。 ドル円109円台から108円台半ばへ
9/7 ドラギ・ECB総裁 「決定の大きな部分は10月に下されるだろう。最近のボラティリティーは不透明感の源となっており、中期的な物価安定の見通しに影響を及ぼし得るという点で監視する必要がある」理事会後の記者会見で。 ユーロドルの一旦1.90台前半まで売られた後、1.2060前後まで上昇
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和