今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年9月13日(水) 「ドル円続伸し110円台を回復」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は続伸。北朝鮮に対する制裁内容が軽減されたことで、予想される兆発行為へのリスクも低下し、ドル円は110円台を回復。110円26銭までドル高が進み、ほぼこの日の高値圏で引ける。
  • ユーロドルは堅調に推移。ドル高が進んだことで、1.1928まで売られたものの、1.19台はキープ。ユーロ円は131円90銭前後まで上昇。
  • 消費者物価指数の上振れからポンドが上昇。対円でも146円台半ばまでポンド高が進行。
  • 株式市場は続伸。アップルが新型iPhoneを発表したことで株式市場へ好影響を与える。ダウは2万2100ドル台に乗せ、引け値ではわずかに最高値を更新する。
  • 債券相場は続落。ムニューシン財務長官が税制改革の年内成立を改めて表明したこともあり、債券は下落。長期金利は2.16%台に。
  • 金は続落。原油は小幅ながら続伸。
ドル/円 109.67 〜 110.26
ユーロ/ドル 1.1928 〜 1.1973
ユーロ/円 130.91 〜 131.90
NYダウ +61.49 → 22,118.86
GOLD −3.00 → 1,332.70ドル
WTI +0.16 → 48.23
米10年国債 +0.037 → 2.167%

本日の注目イベント

  • 独 独8月消費者物価指数(改定値)
  • 欧 ユーロ圏7月鉱工業生産
  • 欧 ユンケル欧州委員長が所信表明
  • 英 英8月雇用統計
  • 米 8月生産者物価指数
  • 米 8月財政収支

ドル円は110円台を回復してきました。昨日はクロス円でも急激に円安が進み、ユーロ円は132円目前まで、ポンド円も146円台半ばまで上昇。また豪ドル円も1カ月半ぶりに88円台前半まで上昇するなど、この日は円が最弱通貨になっています。クロス円での円売りが、ドル円を押し上げた一因とも言えそうです。

ブルームバーグは昨日のドル円の110円台回復について、「モデル指導のファンドやその他短期筋があらためて円ショート(売り持ち)を構築したことが背景」と報じています。これが事実なら、これまでのドルのショートを買い戻しただけでなく、新規のドル買いのポジションを作っていることになります。このレベルから112円台に向かうのは簡単ではないと思いますが、長い目で見たら、107円台前半で「底値」を記録した可能性も否定できないのかもしれません。

個人的には、ドル円はまだ底値を確認していないと考えています。北朝鮮への制裁内容が石油全面禁輸ではなかったことや、ハリケーン「イルマ」の被害が想定よりも軽微であることが、株高、債券安、ドル高をもたらしたわけですが、北朝鮮情勢はそう簡単には治まらないはずです。トランプ大統領も昨日、「北朝鮮制裁採択は行動の始まりにすぎない」と語っています。

今回の安保理での制裁決議で、北朝鮮への輸出総額の9割が制裁対象となり、石油関連商品の3割が輸出削減につながると見られています。この措置で北朝鮮の経済活動にどの程度の影響を及ぼし、核開発計画に打撃を与えられるのかどうかはまだ不透明です。また、北朝鮮があらたな挑発行為を行ってくることも十分想定されます。つまりこの問題は、まだまだこれからも続くと考えるほかありません。

一方で為替市場の特徴でもありますが、北朝鮮の度重なる「脅し」には、徐々に慣れて、市場への影響も徐々になくなることも想定されます。その結果、市場の眼は再びFRBの金融政策やインフレ率などに向かい、「年内にもう一度の利上げ」があるのかどうかが為替相場にとって最もインパクトのある材料になってくるものと思います。

本日は円安と米国株の上昇から、日経平均株価も続伸が見込まれます。2万円を回復することはないと思いますが、100円程度の上昇はあるかもしれません。ドル円は110円台半ば前後が重要なポイントと見ていますが、レンジは109円50銭〜110円50銭程度と予想しています。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
8/2 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「9月にバランスシート縮小開始を発表することはプランの変更はないだろう」講演後記者団に。 --------
8/2 ブラード・セントルイス連銀総裁 「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない、インフレ見通しは2017年に悪化した」講演で。 ドル円下落。
8/2 メスター・クリーブランド連銀総裁 「インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」講演で。 ドル円下落。
8/7 ブラード・セントルイス連銀総裁 「(バランスシート縮小開始について)9月に発表する用意ができている。他の当局者が同意するかどうかは分からない。政策金利を現行水準で維持するのが最も適切な金融政策だろう」講演で。 --------
8/8 トランプ・米大統領 「米国に危機が及べば、北朝鮮は、世界がこれまで経験したことがない怒りと炎に見舞われるだろう」 ドル円下落。
8/14 ダドリー・NY連銀総裁 「金融当局が9月にバランスシート縮小計画を発表するとの見方は不合理ではない。年内もう一度の利上げを支持するだろう」AP通信とのインタビューで。 ドル高が進む。
8/15 カプラン・ダラス連銀総裁 「バランスシートを縮小させるプロセスをまもなく開始すべきだ。今の情勢を考えれば、現時点では辛抱強くあることが適切だ」講演で。 --------
8/29 トランプ・米大統領 「全ての選択肢がテーブルの上にある」北朝鮮の度重なるミサイル発射に対して。 発言が穏健的だったことでドル円急反発108円台→109円台後半に
8/31 ムニューシン・財務長官 「貿易に関しては、一段と弱いドルがわれわれにとっては多少好ましい」 ドル円下落
9/3 マティス・国防長官 「大規模な軍事的対応、効果的かつ圧倒的な対応をとる。われわれには多くの軍事的選択肢がある。」北朝鮮の核実験を受け、大統領らとの会合後に。 円高、株安が進行
9/5 ブレーナ−ド・FRB理事 「インフレ率が当局の目標達成にむけた軌道にあるとわれわれが確信できるまで、追加の引き締めには慎重になるべきだというのが私の見解だ」講演で。 ドル円109円台から108円台半ばへ
9/7 ドラギ・ECB総裁 「決定の大きな部分は10月に下されるだろう。最近のボラティリティーは不透明感の源となっており、中期的な物価安定の見通しに影響を及ぼし得るという点で監視する必要がある」理事会後の記者会見で。 ユーロドルの一旦1.90台前半まで売られた後、1.2060前後まで上昇
9/11 クーレ・ECB理事 「為替相場への外的な衝撃が持続すれば、金融環境が不適切に引き締まり、インフレ見通しに望ましくない影響を及ぼすことがあり得る」直近のユーロ高に関連して。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和