今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年10月12日(木) 「FOMC議事録はややハト派」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は朝方112円08銭まで売られたが、衆院選で与党有利との予想が伝えられるとドルが反発。112円58銭までドル高が進む。FOMC議事録がやや「ハト派的」だったことでドルの上値も限定された。
  • ユーロドルは続伸し、1.1869まで買われ、昨日の高値を若干上回った。ユーロ円は約2週間ぶりに133円台半ばまで上昇。
  • 株式市場は続伸し、主要3指数は揃って上昇。ダウは連日の高値更新で2万2872ドル台で取引を終える。
  • 債券は反発。シカゴ連銀総裁が12月利上げについて「語るのは時期尚早」と述べたことが手掛かり。長期金利は2.34%台に低下。
  • 金は4日ぶりに下落。原油は続伸し51ドル台に乗せる。
ドル/円 112.08 〜 112.58
ユーロ/ドル 1.1828 〜 1.1869
ユーロ/円 132.67 〜 133.49
NYダウ +42.21 → 22,872.89
GOLD −4.90 → 1,288.90ドル
WTI +0.38 → 51.30
米10年国債 −0.013 → 2.348%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏8月鉱工業生産
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 9月生産者物価指数
  • 米 パウエル・FRB理事講演
  • 米 ブレイナード・FRB理事、ドラギECB総裁がパネルディスカッション(ワシントン)
  • 米 G20(13日まで、ワシントン)
  • 米 企業決算 → JPモルガン、シティグループ

9月会合の議事録が公表されましたが、全体的には予想されたほど『タカ派的』ではなかった印象です。議事録では、年内の利上げは正当化されると多くのメンバーが判断したものの、最近の低いインフレ指標については多くの参加者が「一過性の要因だけではない」との懸念を表明していたことが明らかになりました。

FRB内では、景気拡大に伴ってインフレ率はいずれ当局が目標としている2%に近付くと予想していたものの、直近のPCEデフレータでも1.4%に留まっており、なかなか上昇してこないのが現実です。イエレン議長も先の講演では、インフレ率が上昇してこないことについて「不可解」と述べており、さらに今回公開された議事録の会合後には「2%の物価目標に届かないからといって、長期間低金利政策を続けることは賢明ではない」と述べ、今回の議論を裏付ける結果になりました。

ドル円は昨日も112円08銭まで売られ、北朝鮮のリスクが継続する中、なかなか上昇のきっかけが掴めません。株価だけが上昇を続けており、昨日はさすがの日経平均株価も21年ぶりの高値を記録しましたが、それでもまだ2万1000円には届いていません。1989年12月に記録した史上最高値からは、わずかに半値戻しを達成したに過ぎません。

今朝の新聞で、22日の衆議院選挙では与党がかなりの議席を獲得するとの世論調査の結果が伝えられています。自民党が勝利すれば、アベノミクスがさらに加速されるとの思惑が働いており、これが円安と株高につながっています。ただ、もし予想通りの結果だとしても、景気刺激策ではなく、子育てや教育方面へ予算が重点的に使われ、果たして景気にどの程度好影響を与えるのかは不透明です。そして、その先には消費税10%が待っています。駆け込み需要とその反動を考えたら、相殺されるどころか、マイナスになるかもしれません。そうでなくとも、社会保障費という「目に見えない税」の負担が年々増えており、可処分所得は減っているのが実情です。この先景気が拡大し、2%の物価上昇が達成できるでしょうか。

本日も日本株は上値を試す展開が予想され、100円程度上昇するかもしれません。120円ほど上昇すれば2万1000円の大台に乗せます。特別のニュースがなければ、ドル円もリスクオンからやや上昇機運が高まるかと思われます。予想レンジは112円〜113円程度にしたいと思います。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/3 マティス・国防長官 「大規模な軍事的対応、効果的かつ圧倒的な対応をとる。われわれには多くの軍事的選択肢がある。」北朝鮮の核実験を受け、大統領らとの会合後に。 円高、株安が進行
9/5 ブレーナ−ド・FRB理事 「インフレ率が当局の目標達成にむけた軌道にあるとわれわれが確信できるまで、追加の引き締めには慎重になるべきだというのが私の見解だ」講演で。 ドル円109円台から108円台半ばへ
9/7 ドラギ・ECB総裁 「決定の大きな部分は10月に下されるだろう。最近のボラティリティーは不透明感の源となっており、中期的な物価安定の見通しに影響を及ぼし得るという点で監視する必要がある」理事会後の記者会見で。 ユーロドルの一旦1.90台前半まで売られた後、1.2060前後まで上昇
9/11 クーレ・ECB理事 「為替相場への外的な衝撃が持続すれば、金融環境が不適切に引き締まり、インフレ見通しに望ましくない影響を及ぼすことがあり得る」直近のユーロ高に関連して。 --------
9/20 イエレン・FRB議長 「健全な労働市場を維持し、インフレを当局の長期的な目標である2%前後で安定させるため、力強い景気の継続が緩やかな利上げを正当化すると、われわれは引き続き予想している」FOMC後の会見で。 ドル円111円台から112円台半ばへ
9/22 金正恩・北朝鮮労働党委員長 「われわれはこれに呼応する歴史上最も強硬な対抗措置の行使を真剣に検討するだろう」国連でのトランプ大統領の演説に対して。 ドル円112円台半ばから111円60銭台へ
9/25 マクマスター・大統領補佐官(国家安全保障担当) 「われわれが望んでいるのは戦争を回避することだが、その可能性を考慮しないわけにはいかない」 --------
9/26 イエレン・FRB議長 「インフレ率が目標の2%に戻るまで金融政策を据え置くのは賢明ではない」講演で。 ドル円111円台から112円台半ばへ
10/11 エバンス・シカゴ連銀総裁 12月利上げについて「語るのは時期尚早」講演で。 債券価格が上昇し、金利は低下
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和