今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年12月7日(木) 「ドル円株安にも112円台は維持」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 日本株の急落から、東京時間に112円前後まで売られたドル円は上値は重かったものの小動き。終始112円台前半でもみ合い、ADP雇用者数の発表にも反応は薄く、112円25−30銭近辺で引ける。
  • ユーロドルは小幅ながら続落し、1.17台後半まで売られる。
  • 株式市場はまちまち。アジアや欧州株が大きく売られたため利益確定の売りが優勢だったものの、ダウは39ドル安に留まる。一方軟調な地合いが続いているナスダック指数は14ポイント上昇。
  • 債券相場は続伸。米債務上限問題などが意識され、安全資産の債券が買われる。10年債利回りは2.33%台へと低下。
  • 金は反発。原油価格は在庫量が予想以上に増加していたことで大きく売られる。前日比1ドル66セント下落し、56ドル台を割り込む。
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 10月ADP雇用者数 → 19.0万人
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ドル/円 112.04 〜 112.37
ユーロ/ドル 1.1781 〜 1.1806
ユーロ/円 132.25 〜 132.55
NYダウ −39.73 → 24,140.91
GOLD +1.20 → 1,266.10ドル
WTI −1.66 → 55.91
米10年国債 −0.012 → 2.338%

本日の注目イベント

  • 豪 豪10月貿易収支
  • 中 中国 11月外貨準備高
  • 独 独10月鉱工業生産
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 7−9月期家計純資産
  • 米 10月消費者信用残高
  • 加 カナダ10月建設許可件数

昨日の東京タイムは、日経平均株価の急落に呼応する形でドル円が下落し、一時は、片足を112円割れに突っ込む場面もありました。10月以降堅調な動きを見せていた日経平均は、特にこれといった明確な理由がない中500円を超える下げを見せ、引け値でも445円安と、今年最大の下げ幅を記録しました。

アルゴリズム取引が盛んなため、ある程度下げると、さらに「売れ」という指示が出て、下落を加速させたようですが、株の専門家に言わせると、トランプ大統領がイスラエルの首都をエルサレムに認定したことが影響したとか、日銀の審議委員が量的緩和の副作用にも注意が必要と述べたことなどがきっかけになったと説明していましたが、実際には何が株価急落の引き金を引いたのかは分かりません。

懸念されたのは、この流れが海外市場にも伝播し、NY株が大幅に下落することでした。仮にNYダウが300ドル安になれば、本日の日本株がさらに一段安となり「下落スパイラル」に入ってしまうからです。実際には、欧州株は大きく下げましたが、NYダウは30ドル安に留まり、ナスダックは上昇して取引を終えています。そのため、NY市場でのドル円は112円を割り込むこともなく、昨日の水準とほとんど変わっていません。

そんな中、昨日はカナダドルの下落が目立っています。カナダでは経済指標が改善しているにもかかわらず、カナダ中銀は政策金利を据え置き、慎重な政策スタンスをあらためて表明したことでカナダドルが大きく売られました。(ブルームバーグ)税制改革法案を巡っては、法人税を20%に引き下げることは決まったものの、その実施時期などについては溝が埋まらず、個人の所得税についてもまだ議論が必要で、先行き不透明という見方が根強くあります。

11月のADP雇用者数は19万人と、市場予想と一致し、引き続き労働市場は堅調のようです。明日労働省が発表する雇用統計でも、非農業部門雇用者数は19.5万人と予想され、この分では大きな波乱はなさそうです。失業率も前月と同じ4.1%と予想されていますが、平均時給は前月よりも大きな伸びが見込まれています。10月は前年比で2.4%だった平均時給は、今回は2.7%と予想されておりこのままであれば、ドルをサポートする材料になりそうです。

本日も日経平均株価の動きが焦点になります。米国株の下げが限定的だったことを受けて、日本株が切り返すのかどうかが注目されます。本日の予想レンジは111円80銭〜112円80銭程度とみますが、日米の株式市場に大きな動きがなければ値幅は限られ、明日の雇用統計待ちの雰囲気になるかもしれません。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
10/11 エバンス・シカゴ連銀総裁 12月利上げについて「語るのは時期尚早」講演で。 債券価格が上昇し、金利は低下
10/12 プラ−ト・ECB理事 「基調的なインフレ圧力は引き続きあまりに弱く、持続的な上昇トレンドにあることを示す説得力ある兆しはいまのところ見られていない」講演で。 --------
10/12 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「市場は高い確率でわれわれが12月に利上げを実施するとみている。これは現在得ている情報から適切なようだ。」 --------
10/14 イエレン・FRB議長 「消費者物価が驚くほど弱い期間を経て間もなく加速するというのが、私のもっとも有力な見方だ」G20後の講演で。 --------
10/14 ドラギ・ECB総裁 「われわれは何度も明確にしたように、状況が引き続き改善する中で、インフレ率が自律的で ECBの目標に持続的な形で徐々に収れんすると確認している」G20後の講演で。 --------
10/26 ドラギ・ECB総裁 「(月購入額の縮小は)テーパリングではなくダウンサイジングだ」「(購入を)突然終了することはない」量的緩和縮小を決めた後の記者会見で。 ユーロドル1.18台から1.16台半ばへ急落
10/26 ライアン・米下院議長 「税制改革案に関して議会が行動する準備は整った」2018年度の連邦政府予算決議案可決後に --------
11/8 本田悦朗・スイス大使 「黒田総裁ら執行部は任期終了をもって退任すべきだ。デフレ脱却への成果が出ておらず、日銀執行部の退任は当然」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
11/9 トランプ・米大統領 「私は中国を非難しない。私は中国を強く評価する」「現在の貿易赤字は持続可能ではない」北京でのイベントの中で。 --------
11/13 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「年内最後となるもう1回に利上げは『軽く書き留めた』状態だ」都内の講演で。 --------
11/16 メスター・クリーブランド連銀総裁 「緩やかな利上げを支持する。インフレ率は当局が目指す2%に上昇する」講演で。 --------
11/16 カプラン・ダラス連銀総裁 「自然利子率へはまだ距離があるが、さほど遠くない」講演で。 --------
11/28 パウエル・次期FRB議長 「次回会合で利上げの根拠は強まりつつあると思う」、「金利は今後上昇を続けると確信している」公聴会で。 --------
11/29 イエレン・FRB議長 「景気の過熱を許せば、迅速に金利を引き上げなければならない事態に直面する恐れがあるため、金融当局は段階的に行動することを望む」議会証言で。 --------
11/29 ウィリアムズ・SF連銀総裁 「中立的なFF金利が2.5%前後であり、今後2年間にそこに戻る必要がある」講演で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和