今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2017年12月21日(木) 「米長期金利上昇でドル円113円台半ばに」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 税制改革法案が成立したことに伴い長期金利が上昇したことで、ドル円は113円台半ばまで買われる。住宅関連指標が良かったこともドルを押し上げ、113円47銭前後までドル高が進行。
  • ユーロドルは続伸し、3週間ぶりに1.19台に乗せる。ドイツ国債が売られ、金利が上昇したことがユーロ買いにつながった。ユーロは対円でも134円78銭前後まで買われ、約2年ぶりの水準を記録。
  • 株式市場はもみ合い。前日同様、金利高を嫌気した売りが優性となり、消費関連株や不動産株が下落。ダウは28ドル安となり、他の主要指数も下げる。
  • 債券は続落。税制改革法案の成立に伴い、売り圧力が高まった。長期金利は3月以来となる2.5%台まで上昇。
  • 金は反発。原油価格は在庫量が予想よりも減少していたことから続伸し、58ドル台を回復。
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 11月中古住宅販売件数 → 581万件
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ドル/円 113.11 〜 113.47
ユーロ/ドル 1.1841 〜 1.1901
ユーロ/円 134.03 〜 134.78
NYダウ −28.10 → 24,726.65
GOLD +5.40 → 1,269.60ドル
WTI +0.53 → 58.09ドル
米10年国債 +0.033 → 2.497%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合
  • 日 黒田日銀総裁記者会見
  • 欧 ユーロ圏12月消費者信頼感(速報値)
  • 欧 スペイン・カタルーニャ州議会選挙
  • 英 英11月財政収支
  • 米 7−9月GDP(確定値)
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 10月FHFA住宅価格指数
  • 米 12月フィラデルフィア連銀景況指数
  • 米 11月景気先行指標総合指数
  • 加 カナダ11月消費者物価指数
  • 加 カナダ10月小売売上高

「これは米国史上最大の減税だ」「勝つのはいつも実に楽しい」税制改革法案が上院で可決し、再度下院で採決されたことで成立し、トランプ大統領の署名を待つのみとなりました。これを受け、トランプ大統領はホワイトハウスで上記の言葉を残しています。10年で1兆5000億ドル(約170兆円)の大型減税が決まったことで、好調だった株価の上昇にややブレイキがかかり、米10年債はこの日も売られ、長期金利は2.5%台まで上昇。ドル円は金利上昇を好感し、113円47銭前後までドル高が進みました。

ドル円は1週間ぶりに113円台半ばまで買われ、ドル高が進みましたが、そのドルも対ユーロでは売られ、この日、主要3通貨の中ではユーロが最強通貨で、円が最弱通貨でした。その結果、ユーロ円は一時134円78銭辺りまで買われ、2年2カ月ぶりのユーロ高をつけています。またポンド円も151円台半ば、豪ドル円も87円前後まで上昇し、円の全面安という展開でした。

ドル円は緩やかな上昇を見せ、再び114円をテストする雰囲気になってきました。米長期金利が上昇傾向を見せてきたことが最大の理由です。11月下旬には2.31%台まで低下した米長期金利は、昨日2.5%台まで上昇しました。大型減税が成立したことで米国債の需給が崩れ、長期金利に上昇圧力がかかっていることが背景です。

さらに見逃してはならないのが、良好なファンダメンタルズです。昨日は11月の中古住宅販売件数が発表されましたが、市場予想を大きく上回る581万件と、実に11年ぶりの高水準でした。前日発表された住宅着工件数や、建設許可件数も今年最も高水準を記録しており、住宅市場は好調と言えます。住宅を購入すれば同時に、家具など生活に必要な耐久財の購入も予想され、折からの株高に加え、大型減税が消費意欲に火をそそぐことになります。この傾向は株価の大幅な調整がない限り、来年はさらに加速すると思われ、GDPの上振れも予想されます。日米欧では、米国の景気が飛びぬけていることは間違いないでしょう。

米10年債利回りが2.4%台の後半まで上昇した10月下旬には、ドル円は114円台半ばまでドル高が進みましたが、今回はまだ113円台半ばまでしかドル高が進んでいません。ドル円の値動きが乏しく、今週、ドル円のボラティリティーは「6.22」(1カ月もの)まで低下し、2年ぶりの低水準を記録しています。市場参加者の多くが、「ドル円は動かない」と予想していることが背景ですが、そのため、売っても買っても早めに決済してしまい、クリスマス休暇前という特殊要因もありますが、これがさらに値幅を縮小させていると思われます。米金利の上昇の割にはドル円の伸びが鈍いのも、この辺りに原因がありそうです。

NY株式市場も「調整色を強めてきた」とまでは言えないものの、上昇力がやや鈍ってきた感じもします。日経平均株価の方も、堅調に推移してはいるものの、「2万3000円の壁」を前にして足踏み状態です。株価の動きがそのままドル円に結びつかない状況のため、ドル円を手がけている投資家にとってはやりにくい展開が続いています。ここはゆっくりと、来年を見据えたポジションメイクをしてもいいタイミングかもしれません。本日は112円80銭〜113円80銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
11/8 本田悦朗・スイス大使 「黒田総裁ら執行部は任期終了をもって退任すべきだ。デフレ脱却への成果が出ておらず、日銀執行部の退任は当然」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
11/9 トランプ・米大統領 「私は中国を非難しない。私は中国を強く評価する」「現在の貿易赤字は持続可能ではない」北京でのイベントの中で。 --------
11/13 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「年内最後となるもう1回に利上げは『軽く書き留めた』状態だ」都内の講演で。 --------
11/16 メスター・クリーブランド連銀総裁 「緩やかな利上げを支持する。インフレ率は当局が目指す2%に上昇する」講演で。 --------
11/16 カプラン・ダラス連銀総裁 「自然利子率へはまだ距離があるが、さほど遠くない」講演で。 --------
11/28 パウエル・次期FRB議長 「次回会合で利上げの根拠は強まりつつあると思う」、「金利は今後上昇を続けると確信している」公聴会で。 --------
11/29 イエレン・FRB議長 「景気の過熱を許せば、迅速に金利を引き上げなければならない事態に直面する恐れがあるため、金融当局は段階的に行動することを望む」議会証言で。 --------
11/29 ウィリアムズ・SF連銀総裁 「中立的なFF金利が2.5%前後であり、今後2年間にそこに戻る必要がある」講演で。 --------
12/6 トランプ・米大統領 「減税が実現すれば米国の成長率が14年ぶり高水準に達することもあり得る。4%、5%、さらに6%に届かない理由は見当たらない」閣僚らに。 --------
12/14 ドラギ・ECB総裁 「インフレが中期的に自立的な軌道に収れんしていくことへの自身の深まりを反映した」「域内物価圧力は全体として依然弱く、持続的な上向きトレンドを確信させる兆候はまだ見られない」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.18台から1.17台へと下落
12/18 ウィリアムズ・SF連銀総裁 「来年は3回くらい利上げ、2019年には2−3回の利上げが妥当な見方のようだ」WSJ紙とのインタビューで。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和