今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年1月29日(月) 「ドル円黒田発言で再び108円台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は黒田日銀総裁の発言を受け、再び108円台まで売られ、一時108円28銭までドル安が進み、直近のドル安水準を切り下げる。ユーロ円などクロス円の売りも円を買う動きにつながった。
  • ユーロドルは前日の1.25台から反落。週末のポジジョン調整もあり、1.2406まで売られる。
  • 株式市場は3日続伸し、3市場揃って大幅に最高値を更新。ダウは前日比223ドル上昇し、2万6616ドル台に。早くも2万7千ドル台が視野に。
  • 債券相場は反落。長期金利は再び2.66%台まで上昇。
  • 金は4日ぶりに反落。原油価格は反発し66ドル台に。
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 10−12月GDP(速報値) → +2.6%
 12月耐久財受注 → +0.6%
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ドル/円 108.28 〜 109.59
ユーロ/ドル 1.2406 〜 1.2458
ユーロ/円 134.54 〜 136.29
NYダウ +223.92 → 26,616.71ドル
GOLD −10.80 → 1,352.10ドル
WTI +0.63 → 66.14ドル
米10年国債 −0.037 → 2.660%

本日の注目イベント

  • 米 12月個人所得
  • 米 12月個人支出
  • 米 12月PCEコアデフレータ

ムニューシン財務長官、トランプ大統領に続き、今度は黒田総裁の出番でした。同総裁はスイスで行われているダボス会議の席で、インフレ率が「ようやく目標に近い」と語ったことで、金融緩和の終了が意識され、ドル円は再び108円台前半までドル安が進みました。

この発言はダボス会議のフォーラムで、ラガルドIMF専務理事やカーニーBOE総裁などと出席した中で、司会者から2%の物価目標の達成度を尋ねられた際に答えたもので、「賃金が上昇している兆候が幾つか見られ、物価については一部で既に上昇し始めている。ここ数年非常に弱い状態が続いている中、中・長期のインフレ期待も若干上向きつつある」と英語で発言しました。(ブルームバーグ)市場はこの発言に反応し、ドル円は109円台半ばから108円台前半まで売られています。

その後、日銀のスポークスマンは「黒田総裁のコメントは今月23日に発表した経済・物価の展望で示した見解と変わらない」と電子メールで補足し、「総裁の発言は、インフレ率の目標の2%に達する時期は2019年度ごろになる可能性が高いという意味だ」と火消しにやっきになったとブルームバーグは伝えていますが、この欄でも何度か指摘していているように、足元の市場はドル安材料には非常に敏感になっており、材料にすぐさまドル売りで反応しやすい状況になっています。

ドル円はトランプ大統領の「ドル高を望む」発言から、先週末の東京市場では109円70銭までドルが買い戻される場面もありましたが、再びドルが下落する展開で、なかなか浮上のきっかけが掴めない状況です。あまり話題にはなりませんでしたが、トランプ政権のもう一つの公約である「インフラ投資」も、その概要が間もなく発表になりますが、大統領自身その規模は1兆ドル(約109兆円)ではなく、1兆7000億ドル(約185.3兆円)程度になると語っています。今後、議会での承認や、財源、その実施時期などの問題はありますが、市場はまだ消化していないように思います。

ドル円の上値が重い展開は変わりません。昨年のドルの安値である107円32銭というレベルがますます重要になってきていると感じます。このレベルを割り込むと、ドル売りがさらに進む可能性があります。従って、108円で粘り腰をみせ反発できるのかどうか正念場ともいえます。本日の予想レンジは108円20銭〜109円30銭程度と見ています。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
12/6 トランプ・米大統領 「減税が実現すれば米国の成長率が14年ぶり高水準に達することもあり得る。4%、5%、さらに6%に届かない理由は見当たらない」閣僚らに。 --------
12/14 ドラギ・ECB総裁 「インフレが中期的に自立的な軌道に収れんしていくことへの自身の深まりを反映した」「域内物価圧力は全体として依然弱く、持続的な上向きトレンドを確信させる兆候はまだ見られない」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.18台から1.17台へと下落
12/18 ウィリアムズ・SF連銀総裁 「来年は3回くらい利上げ、2019年には2−3回の利上げが妥当な見方のようだ」WSJ紙とのインタビューで。 --------
12/21 黒田・日銀総裁 「リバーサルレートの学術的な分析を取り上げたからといって、昨年9月以来の長短金利操作付き量的・質的金融緩和について何か見直しや変更が必要だという事は全く意味しない」決定会合後の記者会見で。 ドル円上昇のきっけかに
1/8 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「ゆっくりとした政策緩和解除を継続することに違和感はない。ただし、それが年3、4回の利上げだということは必ずしも意味していない」アトランタでの講演で。 --------
1/9 ビル・グロス・ジャナスヘンダーソングループ運用者 「債券の弱気相場が確認された」 債券相場が急落し、長期金利がは2.55%台に上昇
1/11 ECB議事録 「金融政策姿勢とフォワードガイダンスのさまざまな側面に関する言い回しは2018年の早い時期に再検討される必要がある」 ユーロドル1.1936 → 1.2058前後まで急騰
1/17 コンスタシオン・ECB副総裁 「ファンダメンタルズを映さない急激な通貨の変化を懸念している」イタリア紙とのインタビューで。 ユーロドル1.2288近辺から100ポイント程急落
1/17 カプラン・ダラス連銀総裁 「基本シナリオは今年3回の利上げになると確信している。もし私が間違っているとすれば、それは3回を上回る可能性さえあるということだ」WSJ紙とのインタビューで。 --------
1/24 ムニューシン・財務長官 「ドル安は米経済にとって「良いこと」であり、短期的な価値については全く懸念していない」ダボス会議で、記者団に。 ドル円109円台から108円97銭まで下落
1/25 トランプ・大統領 「ドルはますます強くなるだろう、最終的に私は強いドルを望んでいる」CNBCとのインタビューで。 ドル円108円台半ばから109円70銭まで急騰
1/25 ドラギ・ECB総裁 「為替レートの最近のボラティリティー不確実性は源であり、中期的な物価安定の見通しに及ぼしえる影響という点で監視の必要がある」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.25台から下落
1/26 黒田・日銀総裁 「賃金が上昇している兆候が幾つか見られ、物価については一部で既に上昇し始めている。ここ数年非常に弱い状態が続いている中、中・長期のインフレ期待も若干上向きつつある」ダボス会議のフォーラムで。 ドル円109円台半ばから108円28銭まで下落
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和