今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年2月16日(金) 「ドル円106円割れ目前」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル売りの流れは止まらず、ドル円は106円04銭前後まで下落。引き続き株価やVIX指数の低下にも反応せず。
  • ユーロドルでもドル安が続き、ユーロドルは2週間ぶりに1.25台を回復。再び1.25台半ばから上値の直近高値を抜けるかどうかが注目される。
  • 株式市場は5日続伸。先週までの大幅安を修正する動きが強まる中、まだ先行き不透明との声も多い。ダウは306ドル上昇し、この間の上げ幅は1300ドルを超える。
  • 債券相場は下落が一服。長期金利は2.90%台へと小幅に低下。
  • 金は反落し、原油は小幅に続伸。
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 新規失業保険申請件数 → 23.0万件
 2月NY連銀製造業景気指数 → 13.10
 1月生産者物価指数 → +0.4%
 2月フィラデルフィア連銀景況指数 → 25.8
 1月鉱工業生産 → −0.1%
 1月設備稼働率 → 77.5%
 2月NAHB住宅市場指数 → 72
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ドル/円 106.04 〜 106.85
ユーロ/ドル 1.2458 〜 1.2510
ユーロ/円 132.52 〜 133.14
NYダウ +306.88 → 25,200.37ドル
GOLD −2.70 → 1,355.30ドル
WTI +0.74 → 61.34ドル
米10年国債 −0.006 → 2.908%

本日の注目イベント

  • 英 英1月小売売上高
  • 米 1月住宅着工件数
  • 米 1月建設許可件数
  • 米 2月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

日米ともに株価が上昇しても、米長期金利が上昇しても売られるドル円。やや投機的との印象はぬぐえませんが、ドル円は106円台に突入し、2月2日の雇用統計直後の高値からはわずか2週間で4円以上の円高が進んだことになります。市場のセンチメントが「円買い」に大きく傾いており、ドル円反発のきっかけが掴めないのが現実です。

昨日1日の動きを見る限り「円高」というよりも、「ドル安」の側面が強いと思われます。ドル円は106円割れ目前までドル安が進み、ユーロドルも1.2510近辺までドル安が進んでいます。株価が上昇してもドルが上がらず、金利が上昇しても同じようにドル高には向かいません。おまけに、金利上昇は「ドル高要因」であるにも関わらず、米長期金利の上昇を「悪い金利上昇」との分析が出る始末。

昨日は「恐怖指数」といわれる「VIX指数」も「19.13」前後まで低下し直近ピークの半分ほどに下がってきました。NYダウは5日続伸し、この間の上昇幅は1340ドルと、2月8日の1000ドルを超える下げを全て埋めた形になっています。そう考えると、「リスクオン」とはいかないまでも、「リスクオフ」が徐々に後退してきているのは鮮明です。この先まだドル安が進む可能性はありますが、今回のラリーの終焉は一旦は近いのではないかと感じています。

昨日の当社のセミナーでも話題にしましたが、米長期金利とドル円との相関は昨年11月初めころから大きく崩れ「逆相関」の形状を示し始めました。米金利は上昇し、ドル円は下落したことから、ちょうどワニが口を大きく開けた格好になっています。このような状況は2014年10月ごろにもありました。日銀が追加緩和を決め、米経済指標も改善傾向をみせ、さらに世界的な低金利から行き場のない資金が、流動性が高く、しかも相対的に金利の高い米国債に大量に流れ込みました。金利が低下したにも関わらずドル高が進んだのです。今回の動きとは正反対でしたが、この流れは数カ月続いたと記憶しています。

106円04銭まで売られ、106円割れはなんとか回避できたドル円ですが、なかなか反発のきっけが掴めません。多くの市場参加者が「ドルが戻れば、そこを売る」という姿勢を取っているからです。戻り売りの戦略が機能している間は、本格的なドルの戻りは望めないのかもしれません。本日はミシガン大学消費者マインドが注目されますが、市場のセンチメントを変えるほどのものではないでしょう。6日続伸のNY株の反落が気になるところです。レンジは105円50銭〜106円80銭程度を予想します。


今回の株価と債券の「暴落」は想定以上の動きを見せていますが、2月2日をピークに、相場の流れは大きく変わりました。そのわずか2日前に警告を発した人物がいます。その人の名は「グリ−ン・スパン」・・・そう、元FRB議長を務めたあの方です。氏は、1月31日にブルームバーグとのインタビューで、「現在2つのバブルがある。株式市場のバブルと債券市場のバブルだ」と述べ、「最終的には、債券市場のバブルは重大な問題になるだろう」と、警告していました。その後の両市場の動きは言うまでもありません。氏は1980年台から19年もFRB議長を務め、「名議長」と言われた人物です。さすがという他ありません。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
1/8 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「ゆっくりとした政策緩和解除を継続することに違和感はない。ただし、それが年3、4回の利上げだということは必ずしも意味していない」アトランタでの講演で。 --------
1/9 ビル・グロス・ジャナスヘンダーソングループ運用者 「債券の弱気相場が確認された」 債券相場が急落し、長期金利がは2.55%台に上昇
1/11 ECB議事録 「金融政策姿勢とフォワードガイダンスのさまざまな側面に関する言い回しは2018年の早い時期に再検討される必要がある」 ユーロドル1.1936 → 1.2058前後まで急騰
1/17 コンスタシオン・ECB副総裁 「ファンダメンタルズを映さない急激な通貨の変化を懸念している」イタリア紙とのインタビューで。 ユーロドル1.2288近辺から100ポイント程急落
1/17 カプラン・ダラス連銀総裁 「基本シナリオは今年3回の利上げになると確信している。もし私が間違っているとすれば、それは3回を上回る可能性さえあるということだ」WSJ紙とのインタビューで。 --------
1/24 ムニューシン・財務長官 「ドル安は米経済にとって「良いこと」であり、短期的な価値については全く懸念していない」ダボス会議で、記者団に。 ドル円109円台から108円97銭まで下落
1/25 トランプ・大統領 「ドルはますます強くなるだろう、最終的に私は強いドルを望んでいる」CNBCとのインタビューで。 ドル円108円台半ばから109円70銭まで急騰
1/25 ドラギ・ECB総裁 「為替レートの最近のボラティリティー不確実性は源であり、中期的な物価安定の見通しに及ぼしえる影響という点で監視の必要がある」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.25台から下落
1/26 黒田・日銀総裁 「賃金が上昇している兆候が幾つか見られ、物価については一部で既に上昇し始めている。ここ数年非常に弱い状態が続いている中、中・長期のインフレ期待も若干上向きつつある」ダボス会議のフォーラムで。 ドル円109円台半ばから108円28銭まで下落
2/7 トランプ・米大統領 「(株価の下落は)間違いだ。米経済についてこれほど多くの良いニュースがあるのに!」 --------
2/7 ダドリー・NY連銀総裁 「株式市場は極めて低いボラティリティーで非常に長い期間、並外れた上昇を見せていた。株式相場が数日前より少し下げているという理由だけで、私の見通しは変わっていない。1年前の水準をなお大幅に上回っている」株価の動きについて。 --------
2/7 ウィリアムズ・SF連銀総裁 「経済は明らかに緩やかな金利上昇に対処可能だ。経済が減速しすぎる下振れリスクはそれ程懸念していない。4回の利上げであったとしても極めて緩やかだ」ハワイでの講演後に。 --------
2/13 パウエル・FRB議長 「われわれは金利政策とバランスシートの双方を緩やかに正常化するプロセスにある」就任式典で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和