2018年2月28日(水) 「パウエル証言でドル高に振れる」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円はパウエルFRB議長の議会証言を受け上昇。議長が景気やインフレに対してややタカ派的だったことで107円67銭近辺までドル高が進む。
- ドル高が進み、ユーロドルも2週間ぶりに1.2221前後まで売られる。
- 株式市場は議会証言を受け反落。ダウは約300ドル下げ、他の主要指数も揃って下落。
- 債券相場も議長のタカ派的発言を受け売られる。長期金利は2.9%前後まで上昇。
- 金、原油はともに下落。
1月耐久財受注 → −0.3%
1月FHFA住宅価格指数 → +0.3%
12月ケース・シラ−住宅価格指数 → +6.3%
2月消費者信頼感指数 → 130.8
2月リッチモンド連銀製造業指数 → 28
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| ドル/円 | 106.95 〜 107.67 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.2221 〜 1.2318 |
| ユーロ/円 | 131.29 〜 131.86 |
| NYダウ | −299.24 → 25,410.03ドル |
| GOLD | −14.20 → 1,318.60ドル |
| WTI | −0.90 → 63.01ドル |
| 米10年国債 | +0.037 → 2.899% |
本日の注目イベント
- 日 1月鉱工業生産
- 中 中国 2月製造業PMI(速報値)
- 中 中国 2月非製造業PMI(速報値)
- 独 独2月雇用統計
- 欧 ユーロ圏2月消費者物価指数(速報値)
- 米 10−12月GDP(改定値)
- 米 2月シカゴ購買部協会景気指数
- 米 1月中古住宅販売成約指数
パウエルFRB議長が就任後初となる議会証言を行いました。ここで議長は米経済に対する自信と、インフレ率が上昇するとの見方からさらなる段階的な利上げが必要との認識を示しました。
議長は「経済に関する私の個人的な見通しは、12月以降に強まった」と述べ、インフレ率についても、昨年のインフレ率の目標未達は「一過性の要因を反映した可能性が高く、繰り返されることはない」と言明しています。その上で、「利上げ回数については、現在の予想である3回から増やす必要があるかどうかを検討する可能性がある」と語りました。
これらの発言を受け、市場はややタカ派的と判断し、債券が売られ、株価が下落し、ドル円は金利高に反応し、107円68銭前後までドル高が進行しました。個人的には2月の初旬から始まった債券と株式の混乱に配慮して、議会証言は今後の利上げスタンスについては慎重な言い回しになるのではないかと予想していましたが、利上げ回数は今後の景気次第との発言でした。やや強気だったとの印象は残ります。
議長は、債券・株式市場の混乱については「成長の妨げにはならないだろう」との認識を示し、「そうした展開が経済活動や労働市場、インフレの見通しに重くのしかかるとはわれわれはみていない」とし、「実際のところ、経済見通しは依然力強い」と述べました。(ブルームバーグ)これらの認識はダドリーNY連銀総裁など、これまでも多くの高官の共通した認識であり、FOMCメンバーの多くが、長期金利の上昇に端を発した混乱は一時的なもので、米景気は今後も拡大していくと考えていることが示されたものと思われます。
パウエル議長の証言を受けて、ドル円は107円台前半から107円67銭前後まで、ユーロドルでもドル高が進み、1.2221近辺までユーロ安が進みました。インフレ率だけではなく、賃金も今後は上昇に向かい、米景気は一段の拡大を見せるとするパウエル議長の認識が正当化されるなら、足元の金融市場の混乱はいずれ収まり、VIX指数も徐々に低下してくるものと思われます。
金利上昇に株価が慣れて、米景気拡大の方に収れんされてくればドル円も再びドル高に振れる可能性はありますが、金利との連動性が薄れているドル円が果たしてどこまで値を戻すのかは依然不透明です。仮に市場が落ち着きを取り戻せば、今度はトランプ政権の保護主義政策や財政赤字などに市場の関心が移り、ドルの上値を重くすることも考えられます。市場のセンチメントが変わるにはまだ時間がかかるかと思われます。本日の予想レンジは106円70銭〜107円70銭程度とみています。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 1/8 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「ゆっくりとした政策緩和解除を継続することに違和感はない。ただし、それが年3、4回の利上げだということは必ずしも意味していない」アトランタでの講演で。 | -------- |
| 1/9 | ビル・グロス・ジャナスヘンダーソングループ運用者 | 「債券の弱気相場が確認された」 | 債券相場が急落し、長期金利がは2.55%台に上昇 |
| 1/11 | ECB議事録 | 「金融政策姿勢とフォワードガイダンスのさまざまな側面に関する言い回しは2018年の早い時期に再検討される必要がある」 | ユーロドル1.1936 → 1.2058前後まで急騰 |
| 1/17 | コンスタシオン・ECB副総裁 | 「ファンダメンタルズを映さない急激な通貨の変化を懸念している」イタリア紙とのインタビューで。 | ユーロドル1.2288近辺から100ポイント程急落 |
| 1/17 | カプラン・ダラス連銀総裁 | 「基本シナリオは今年3回の利上げになると確信している。もし私が間違っているとすれば、それは3回を上回る可能性さえあるということだ」WSJ紙とのインタビューで。 | -------- |
| 1/24 | ムニューシン・財務長官 | 「ドル安は米経済にとって「良いこと」であり、短期的な価値については全く懸念していない」ダボス会議で、記者団に。 | ドル円109円台から108円97銭まで下落 |
| 1/25 | トランプ・大統領 | 「ドルはますます強くなるだろう、最終的に私は強いドルを望んでいる」CNBCとのインタビューで。 | ドル円108円台半ばから109円70銭まで急騰 |
| 1/25 | ドラギ・ECB総裁 | 「為替レートの最近のボラティリティー不確実性は源であり、中期的な物価安定の見通しに及ぼしえる影響という点で監視の必要がある」理事会後の記者会見で。 | ユーロドル1.25台から下落 |
| 1/26 | 黒田・日銀総裁 | 「賃金が上昇している兆候が幾つか見られ、物価については一部で既に上昇し始めている。ここ数年非常に弱い状態が続いている中、中・長期のインフレ期待も若干上向きつつある」ダボス会議のフォーラムで。 | ドル円109円台半ばから108円28銭まで下落 |
| 2/7 | トランプ・米大統領 | 「(株価の下落は)間違いだ。米経済についてこれほど多くの良いニュースがあるのに!」 | -------- |
| 2/7 | ダドリー・NY連銀総裁 | 「株式市場は極めて低いボラティリティーで非常に長い期間、並外れた上昇を見せていた。株式相場が数日前より少し下げているという理由だけで、私の見通しは変わっていない。1年前の水準をなお大幅に上回っている」株価の動きについて。 | -------- |
| 2/7 | ウィリアムズ・SF連銀総裁 | 「経済は明らかに緩やかな金利上昇に対処可能だ。経済が減速しすぎる下振れリスクはそれ程懸念していない。4回の利上げであったとしても極めて緩やかだ」ハワイでの講演後に。 | -------- |
| 2/13 | パウエル・FRB議長 | 「われわれは金利政策とバランスシートの双方を緩やかに正常化するプロセスにある」就任式典で。 | -------- |
| 2/16 | 淺川・財務官 | 現在の為替の動きは「一方的に偏っている。これまで以上に緊張感を持って注視していく必要がある」急激な円高を受けて。 | -------- |
| 2/21 | FOMC議事録 | 「メンバーらは、短期的な経済見通しの強まりによる、FF金利の漸進的な上向き軌道が適切になる可能性が一段と高まったとの認識で一致した」 | 米金利上昇。ドル円も買われる。 |
| 2/27 | パウエル・FRB議長 | 「利上げ回数については、現在の予想である3回から増やす必要があるかどうかを検討する可能性がある」議会証言で。 | 債券、株安で金利上昇。ドル円もドル高に。 |



