今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年3月15日(木) 「米長期金利低下でドル円続落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は続落。106円割れは免れたものの、106円07銭前後までドルが売られる。小売売上高が予想に反してマイナスだったことや米長期金利の低下がドルの重石に。
  • ユーロドルは1.23台で推移。対円でもユーロの上値が重くなったこともあり、1.23台半ばまで下落。
  • 株式市場は続落。トランプ政権の保護主義への懸念や、経済指標の悪化を嫌気してダウは248ドル下落。他の主要指数も揃って下落。
  • 債券相場は続伸。株価の下落を材料に、買い物を集めた。長期金利は2.81%台まで低下し、約5週間ぶりの低水準を記録。
  • 金は反落し、原油は小幅に反発。
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 2月小売売上高 → −0.1%
 2月生産者物価指数 → +0.2%
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ドル/円 106.07 〜 106.59
ユーロ/ドル 1.2347 〜 1.2396
ユーロ/円 131.02 〜 131.87
NYダウ −248.91 → 24,758.12ドル
GOLD −1.50 → 1,325.60ドル
WTI +0.25 → 60.96ドル
米10年国債 −0.026 → 2.817%

本日の注目イベント

  • 欧 IEA月報
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 3月NY連銀製造業景況指数
  • 米 3月フィラデルフィア連銀景況指数
  • 米 3月NAHB住宅市場指数

ドル円は続落し、106円割れも見えてきた水準までドル安が進んで来ました。今週始めには107円台半ばまでドルが反発し、「105円割れのリスクがやや遠のいた」矢先に、ティラーソン国務長官の解任が発表され、ドル円が1円ほど円高方向に動き、その後はジリジリとドルが下落する展開になっています。日米ともに政治的リスクが高まり、ドル浮上のきっかけが掴めない状況です。

昨日のNY債券市場では、株価が下落し、2月の小売売上高も市場予想に反して前月から減少しました。市場予想を下回ったのはこれで3カ月連続となります。さらにアトランタ連銀が予測する「GDPナウ」のモデルが示す1−3月期の経済成長率が1.9%(前回は2.5%)に低下したことで、米経済減速懸念から債券が買われています。この結果、長期金利は2.81%台まで低下し、これは2月7日以来の低水準ということになります。これまでならば、長期金利の低下を好感し株価が上昇していましたが、昨日はトランプ政権高官の入れ替えで、今後さらに保護貿易が強まるのではとの懸念が株価をも押し下げています。

トランプ大統領は中国に対しても知的財産権侵害への制裁措置として最大600億ドル(約6兆4000億円)の関税を課す可能性があると、米メディアは報じています。ロイター通信は、電気製品や通信機器など、知的財産侵害の疑いがある品目は100を超えるとも報じています。これに対して中国側は今のところ正式なコメントをしてはいませんが、この関税が実際に実施されるようだと、「貿易戦争」という言葉も現実味をおびてきそうです。

米保護貿易の進展も、「森友問題」の行方も、ここは事態を見守るしかありません。いずれもドルの上値を抑えることになるため、まだドルの反転は見込めない状況です。再び105円割れを意識しなければならない状況になるのか、あるいは105円台半ばから107円台半ばのレンジが維持されるのか、上記2つの動きに加え、来週のFOMCでの利上げと、その後の利上げ回数の見通しが焦点になります。本日のレンジは105円70銭〜106円70銭程度を予想しますが、NY市場のドル安値である106円07銭辺りが抜けるかどうかが、目先のポイントと見ています。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
2/7 トランプ・米大統領 「(株価の下落は)間違いだ。米経済についてこれほど多くの良いニュースがあるのに!」 --------
2/7 ダドリー・NY連銀総裁 「株式市場は極めて低いボラティリティーで非常に長い期間、並外れた上昇を見せていた。株式相場が数日前より少し下げているという理由だけで、私の見通しは変わっていない。1年前の水準をなお大幅に上回っている」株価の動きについて。 --------
2/7 ウィリアムズ・SF連銀総裁 「経済は明らかに緩やかな金利上昇に対処可能だ。経済が減速しすぎる下振れリスクはそれ程懸念していない。4回の利上げであったとしても極めて緩やかだ」ハワイでの講演後に。 --------
2/13 パウエル・FRB議長 「われわれは金利政策とバランスシートの双方を緩やかに正常化するプロセスにある」就任式典で。 --------
2/16 淺川・財務官 現在の為替の動きは「一方的に偏っている。これまで以上に緊張感を持って注視していく必要がある」急激な円高を受けて。 --------
2/21 FOMC議事録 「メンバーらは、短期的な経済見通しの強まりによる、FF金利の漸進的な上向き軌道が適切になる可能性が一段と高まったとの認識で一致した」 米金利上昇。ドル円も買われる。
2/27 パウエル・FRB議長 「利上げ回数については、現在の予想である3回から増やす必要があるかどうかを検討する可能性がある」議会証言で。 債券、株安で金利上昇。ドル円もドル高に。
3/5 若田部・副総裁候補 「(2%の物価上昇には)達しておらず、あらゆる手段を駆使すべきだ。必要なら追加緩和を提案する」国会での所信表明で。 --------
3/5 雨宮・副総裁候補 「副作用はあるが、全体として効果が上回っている」国会での所信表明で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和