今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年4月10日(火) 「ドル円シリア問題等で反落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は欧州時間に107円20銭まで上昇したが、NY時間では反落。FBIがトランプ大統領の顧問弁護士を捜索したとの報道や、ユーロなどでドルが売られたことで106円62銭まで下落。
  • ユーロドルは反発。ドラギ総裁がユーロ圏の経済見通しに強気の発言を行ったことで、1.2331までユーロ高が進む。
  • 株式市場は反発。テクノロジー株が買い戻され大幅高になったものの、引けにかけては上げ幅を縮小。ダウは46ドル高、ナスダックは35ポイント高で取り引きを終える。
  • 債券相場はほぼ変わらず。長期金利は2.78%前後で推移。
  • 金は続伸し、原油は大幅に反発。
ドル/円 106.62 〜 107.11
ユーロ/ドル 1.2282 〜 1.2331
ユーロ/円 131.38 〜 132.00
NYダウ +46.34 → 23,979.10ドル
GOLD +4.00 → 1,340.10ドル
WTI +1.36 → 63.42ドル
米10年国債 +0.005 → 2.779%

本日の注目イベント

  • 米 3月生産者物価指数
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁講演(北京)
  • 加 カナダ2月建設許可件数

ドル円は円高圧力がやや後退してはいるものの、まだ上値の重い展開が続いています。 昨日のドル円は107円を挟んで推移していましたが、107円台では前半までで上昇が抑えられ、NY市場ではシリア問題や、トランプリスクなどが意識されて106円台半ばまで押し戻されました。

シリア情勢が再び混迷を強めてきました。シリアの首都ダマスカス近郊の反体制派の拠点が空爆され死傷者が出ている模様です。報道では確認されてはいないものの、アサド政権が化学兵器を使用したのではないかとの疑惑が高まっているとしています。トランプ大統領はこの問題で、シリアに対する米国の報復措置について2日以内に決定すると述べ、ロシアのプーチン大統領が責任の一部を負うことになる可能性があることも示唆しています。(ブルームバーグ)トランプ大統領は、昨年4月にシリアを攻撃したこともあり、市場では再び攻撃の可能性があるのではないかとの見方が強まっています。

大統領は中国との貿易問題に関して、米国は中国と合意に達することができるだろうと楽観的な見方を示していますが、一方で自身の顧問弁護士がFBIの捜査を受けていることも報道されています。NYタイムズは、トランプ大統領の顧問弁護士マイケル・コーエン氏の事務所を捜索し、書類を押収したと伝えています。大統領にとって「内憂外患」の日々が続き、今世界で最も多忙な人物と言えるのではないでしょうか。

北朝鮮問題と中国との貿易問題は、市場が懸念するほど悪化するとの見方は後退し、やや落ち着き取り戻した印象です。しかし、再びシリア問題とトランプ大統領自身の身辺問題が慌しくなり、次から次へと難問が出てきます。ドル円は大きくは105−110円のレンジに入った可能性も意識されますが、それでもまだ下方リスクの方が高いと見ています。

今週は明日発表される3月の消費者物価指数(CPI)に注目していましたが、上述のように、米国がシリアを爆撃する可能性も出てきました。もしそのような事態になったら、ロシアやイラン、さらにはトルコがどのような反応を見せるのかも注目されます。本日のドル円予想レンジは106円20銭〜107円20銭程度と見ています。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/5 若田部・副総裁候補 「(2%の物価上昇には)達しておらず、あらゆる手段を駆使すべきだ。必要なら追加緩和を提案する」国会での所信表明で。 --------
3/5 雨宮・副総裁候補 「副作用はあるが、全体として効果が上回っている」国会での所信表明で。 --------
3/14 クドロー・新国家経済会議(NEC)委員長 「市場の機能は自律的だ。金融当局はやるべきことをやるだろうが、やり過ぎないようにしてほしい」CNBCとのインタビューで。 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「われわれは早くもない、遅くもない中間の立場で、金融政策に臨む」FOMCで利上げを決めた後の会見で。 ドル円106円台半ばから105台へ
3/22 トランプ・米大統領 「ここまでたどり着くのに長い時間を要した。中国によって知的財産権が著しく侵害される状況が続いており、貿易への影響は1年間で数千億ドルに達する」中国に対する報復関税措置に関する大統領令に署名した後で。 ドル円105円台前半まで売られ翌朝のオセアニアでは104円台に。
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「トランプ大統領は交渉するつもりだ。米中貿易戦争は起こらない」中国への関税引き上げを決めたあとのTV出演で。 ドル円106円台前半から106円台後半に。NYダウ−500ドルから+235ドルに急騰
4/4 崔天凱・駐米大使 「中国に関する米国の関税リスト案は誤った方向へのさらなる一歩であり、こうした動きは誰も守れず皆にとって打撃となる」中国中央テレビ局とのインタビューで。 --------
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「まだ導入された関税はなく、これらは全て提案だ、意見募集を行っている段階であり、実際の措置が発動されるまで少なくとも2カ月ある」ブルームバーグニュースとのインタビューで。 --------
4/6 ムニューシン・米財務長官 「貿易戦争になるリスクはある」NBCとのインタビューで。 ドル円107円半ばから106円78銭まで下落。NYダウは500ドルを超える下落。
4/8 トランプ・米大統領 「中国は貿易障壁を下げるだろう。そうすることが正しいからだ」ツイッターで投稿。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和