今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年4月11日(水) 「米中貿易戦争懸念はやや後退」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は米中の貿易問題への懸念が和らいだことで107円40銭までドル高が進む。株価も大幅高となり、金利も上昇したことでリスクがやや後退し、円はドル以外の主要通貨に対しても売られる。
  • ユ−ロドルは続伸し、しっかりと1.23台に乗せる。一時は1.2368までユーロ高が進行。
  • 株式市場は朝方から大幅に続伸。習近平主席が市場開放に言及したことで貿易戦争への懸念が後退。ダウは428ドル上昇し、2万4000ドル台を回復。
  • 債券相場は下落。リスク回避の流れが後退したことで売り物が優勢に。10年債利回りは2.80%台に上昇。
  • 金、原油は共に続伸。
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 3月生産者物価指数 → +0.3%
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ドル/円 106.94 〜 107.40
ユーロ/ドル 1.2325 〜 1.2368
ユーロ/円 131.93 〜 132.59
NYダウ +428.90 → 24,408.00ドル
GOLD +5.80 → 1,345.90ドル
WTI +2.09 → 65.51ドル
米10年国債 +0.022 → 2.801%

本日の注目イベント

  • 中 中国3月消費者物価指数
  • 中 中国3月生産者物価指数
  • 英 英2月鉱工業生産
  • 英 英2月貿易収支
  • 米 3月消費者物価指数
  • 米 3月財政収支
  • 米 FOMC議事録(3月20、21日分)

習近平国家主席が昨日アジアフォーラムの講演で「中国の開放の門は閉じない。ますます大きく開くだけ」と述べたことで、懸念されていた米中貿易戦争問題が後退し、ドル円ではドル高が進み、さらにユーロ円などのクロス円でも軒並み円が売られる展開でした。ドル円は107円40銭まで買われ、ユーロ円も約2カ月ぶりとなる132円台半ばまで円安が進みました。

講演で習主席は、金融や自動車で外資の過半数出資を認め、米国からの自動車の関税を引き下げるとも述べています。トランプ大統領はこの内容に「中国の習国家主席による思いやりのある言葉に感謝する」とツイートしています。その前の日にも大統領は、米中貿易問題では中国が先に折れてくるといった発言をしており、トランプ氏の思惑通りに事が運んでいる印象です。まず最初に先制攻撃を仕掛けておいて、その後相手の出方を睨みながら落とし所を探っていく戦略が功を奏していると言えます。

米中貿易問題解決の糸口がやや見えてきたことから、NY株式市場は朝方から買い物を集め大幅高で始まり、そのままのセンチメントを維持しながらほぼ高値圏で引けました。ダウは前日比428ドル上昇し、2万4000ドルの大台を大きく超えています。波乱が続いているナスダック市場も143ポイント上昇し、7000ポイントの大台を回復してきました。連日、上げても下げても値幅が大きく、市場参加者の困惑振りが見て取れますがこちらも投資家が落ちつき所を探っている状況です。

株式市場に比べると値動きが鈍い為替市場ですが、3月下旬の頃のような急激な円高観測はなりを潜めています。それでもドル円は107円台半ばから上方が重く、シリア問題やさらにはトランプ大統領自身の疑惑などが再燃してきたことから円高観測も払拭できません。特にシリア問題では、先日トランプ大統領が「24時間から48時間以内には決断する」と発言していることから、再びミサイル攻撃の可能性も高まっています。ただ今回は昨年4月に突然攻撃した時の単独行動とは異なり、フランスやイギリスなども巻き込んでの行動になりそうです。

ドル円は「8時間足」までの短期のチャートでは全て「雲抜け」を完成させており、現在は「日足」の雲の下限に張り付いている状況です。現時点ではこの雲は厚く、上抜けするには109円台半ばまで上昇する必要がありますが、この雲は右肩下がりを見せていることから1週間もたてば、106円台でも雲を上抜けすることになります。その意味では、時間が経過すれば雲を上抜けする可能性もあるかもしれません。本日のドル円レンジは106円70銭〜107円70銭程度と予想します。ポイントはやはり、107円台の半ばを明確に上抜けできるかどうかです。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/5 若田部・副総裁候補 「(2%の物価上昇には)達しておらず、あらゆる手段を駆使すべきだ。必要なら追加緩和を提案する」国会での所信表明で。 --------
3/5 雨宮・副総裁候補 「副作用はあるが、全体として効果が上回っている」国会での所信表明で。 --------
3/14 クドロー・新国家経済会議(NEC)委員長 「市場の機能は自律的だ。金融当局はやるべきことをやるだろうが、やり過ぎないようにしてほしい」CNBCとのインタビューで。 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「われわれは早くもない、遅くもない中間の立場で、金融政策に臨む」FOMCで利上げを決めた後の会見で。 ドル円106円台半ばから105台へ
3/22 トランプ・米大統領 「ここまでたどり着くのに長い時間を要した。中国によって知的財産権が著しく侵害される状況が続いており、貿易への影響は1年間で数千億ドルに達する」中国に対する報復関税措置に関する大統領令に署名した後で。 ドル円105円台前半まで売られ翌朝のオセアニアでは104円台に。
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「トランプ大統領は交渉するつもりだ。米中貿易戦争は起こらない」中国への関税引き上げを決めたあとのTV出演で。 ドル円106円台前半から106円台後半に。NYダウ−500ドルから+235ドルに急騰
4/4 崔天凱・駐米大使 「中国に関する米国の関税リスト案は誤った方向へのさらなる一歩であり、こうした動きは誰も守れず皆にとって打撃となる」中国中央テレビ局とのインタビューで。 --------
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「まだ導入された関税はなく、これらは全て提案だ、意見募集を行っている段階であり、実際の措置が発動されるまで少なくとも2カ月ある」ブルームバーグニュースとのインタビューで。 --------
4/6 ムニューシン・米財務長官 「貿易戦争になるリスクはある」NBCとのインタビューで。 ドル円107円半ばから106円78銭まで下落。NYダウは500ドルを超える下落。
4/8 トランプ・米大統領 「中国は貿易障壁を下げるだろう。そうすることが正しいからだ」ツイッターで投稿。 --------
4/9 黒田・日銀総裁 「2%の物価目標実現への総仕上げを果たすため、全力で取り組みたい」「今の段階で引き締めに転換するとか、緩和を減らすのは適切ではない」再任後の記者会見で。 --------
4/10 習近平・中国国家主席 「人間社会は現在、開放か閉鎖か、前進か後退かという大きな選択を迫られている。今日の世界では、平和と協調のトレンドが前進しており、冷戦とゼロサムゲームの思考は時代遅れだ」アジアフォーラムでの演説で。 ドル円106円85銭近辺から107円25銭まで上昇。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和