今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年4月12日(木) 「中東情勢悪化でドル円106円台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は中東情勢が再び悪化したことで円を買う動きが強まり106円65銭までドルが売られる。
  • ユーロドルは小幅に続伸し、1.2396まで上昇。ドル安の流れからユーロが買われた。
  • 株式市場は大幅に反落。シリアを巡り米国とロシアの関係も緊張を増してきたことからダウは218ドル安。連日値幅を伴って不安定な動きが続く。
  • 中東情勢に加え、米ロ関係でも緊張が高まってきたことで安全資産の債券は買われる。長期金利は2.78%台へと低下。
  • 金と原油は続伸。共に中東情勢の緊張が背景。原油価格は一時67ドル台半ばまで上昇し、3年4カ月ぶりの高値を記録。
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 米 3月消費者物価指数 → −0.1%
 米 3月財政収支 → −2087億ドル
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ドル/円 106.65 〜 107.06
ユーロ/ドル 1.2347 〜 1.2396
ユーロ/円 132.02 〜 132.39
NYダウ −218.55 → 24,189.45ドル
GOLD +14.1 → 1,360.00ドル
WTI +1.31 → 66.82ドル
米10年国債 −0.020 → 2.781%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏2月鉱工業生産
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
  • 米 企業決算 → ブラックロック

ドル円はシリア情勢を巡る緊張から再び107円を割り込み106円台半ばまで下落。なかなか107円台定着とはいきません。一方株式市場では荒っぽい動きが続き、前日の大幅高から一転して売られ、ダウは218ドル下落し、リスク回避の動きが強まってきました。

シリアを巡るイスラエルとイランの対立も緊迫してきました。報道によりますと9日、イスラエル軍と見られるシリア軍事基地への攻撃で死傷者が出た模様です。シリアの死傷者の中には自国の兵士もいることからイランは、報復的な軍事行動を検討しているようです。一方シリアのアサド政権を支持しているロシアに対してトランプ大統領はツイッターで、「ロシアはシリアへの全てのミサイルを撃ち落すと言っている。ロシアよ、準備しておけ。ミサイルは飛んでいく。立派で新しくて高性能なミサイルだ」と、挑発的な発言を行っています。

朝鮮半島の緊張が和らいできたと思ったら今度は再び中東問題です。しかも今回はロシアやイラン、あるいはトルコも巻き込んだ広範囲にわたる混乱の可能性も出てきました。米国は英仏と共同で、早ければ今週中にもシリアを攻撃する可能性がありそうです。このため昨日は原油価格も大幅に上昇し、WTI原油価格は一時67ドル45セントまで買われ、3年4カ月ぶりの高値をつけています。また資金の逃避先としての金価格も4日続伸し、1360ドルまで上昇しています。

このように見ると、為替市場は株式市場ほどの混乱は見せてはいないものの、ここ1、2週間ではやはりドル下落リスクの方が高いと認識しておくべきでしょう。仮に米国がシリアを攻撃しても、昨年4月の攻撃のように短期決戦で済むようなら為替市場への影響は軽微と思われますが、そこはロシアの出方次第いうところもあります。

むしろ個人的には来週行われる日米首脳会談の方が、トランプ大統領の発言次第ですが、為替への直接的な影響は大きいと考えます。対中国にも圧力をかけ、現時点では中国側が譲歩する形で「果実」を手にしているトランプ政権。同じようなことを日本にも仕掛けてくる可能性は否定できません。日本側は、米国の関税引き上げ対象国からの除外を求めると見られますが、これまでのトランプ大統領の発言を考えると、そう簡単ではありません。「長い間、日本は米国をだましてほくそえんできたが、それはもう終わりだ」そう言った意味の発言も行っているトランプ大統領です。為替問題や通商問題について、直球を投げてくることも想定されます。

本日も動きにくい展開です。上値は107円台半ばが「壁」になりつつありますが、下値のほうも106円台半ばでは下げ止まっています。本日はこの106円台半ばが下抜けするのかどうかが注目点の一つでしょう。レンジは106円20銭〜107円20銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/5 若田部・副総裁候補 「(2%の物価上昇には)達しておらず、あらゆる手段を駆使すべきだ。必要なら追加緩和を提案する」国会での所信表明で。 --------
3/5 雨宮・副総裁候補 「副作用はあるが、全体として効果が上回っている」国会での所信表明で。 --------
3/14 クドロー・新国家経済会議(NEC)委員長 「市場の機能は自律的だ。金融当局はやるべきことをやるだろうが、やり過ぎないようにしてほしい」CNBCとのインタビューで。 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「われわれは早くもない、遅くもない中間の立場で、金融政策に臨む」FOMCで利上げを決めた後の会見で。 ドル円106円台半ばから105台へ
3/22 トランプ・米大統領 「ここまでたどり着くのに長い時間を要した。中国によって知的財産権が著しく侵害される状況が続いており、貿易への影響は1年間で数千億ドルに達する」中国に対する報復関税措置に関する大統領令に署名した後で。 ドル円105円台前半まで売られ翌朝のオセアニアでは104円台に。
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「トランプ大統領は交渉するつもりだ。米中貿易戦争は起こらない」中国への関税引き上げを決めたあとのTV出演で。 ドル円106円台前半から106円台後半に。NYダウ−500ドルから+235ドルに急騰
4/4 崔天凱・駐米大使 「中国に関する米国の関税リスト案は誤った方向へのさらなる一歩であり、こうした動きは誰も守れず皆にとって打撃となる」中国中央テレビ局とのインタビューで。 --------
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「まだ導入された関税はなく、これらは全て提案だ、意見募集を行っている段階であり、実際の措置が発動されるまで少なくとも2カ月ある」ブルームバーグニュースとのインタビューで。 --------
4/6 ムニューシン・米財務長官 「貿易戦争になるリスクはある」NBCとのインタビューで。 ドル円107円半ばから106円78銭まで下落。NYダウは500ドルを超える下落。
4/8 トランプ・米大統領 「中国は貿易障壁を下げるだろう。そうすることが正しいからだ」ツイッターで投稿。 --------
4/9 黒田・日銀総裁 「2%の物価目標実現への総仕上げを果たすため、全力で取り組みたい」「今の段階で引き締めに転換するとか、緩和を減らすのは適切ではない」再任後の記者会見で。 --------
4/10 習近平・中国国家主席 「人間社会は現在、開放か閉鎖か、前進か後退かという大きな選択を迫られている。今日の世界では、平和と協調のトレンドが前進しており、冷戦とゼロサムゲームの思考は時代遅れだ」アジアフォーラムでの演説で。 ドル円106円85銭近辺から107円25銭まで上昇。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和