今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年4月24日(火) 「ドル円2カ月ぶりに108円台後半に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は続伸し、約2カ月ぶりに108円台に乗せ、108円75銭までドル高が進む。米長期金利が3%に迫る水準まで上昇したことでドル買いが強まり、この日の高値圏で引ける。
  • ユーロドルも売られ、約1カ月半ぶりに1.22を割り込み、1,2198まで下落。
  • 金利上昇を嫌気して株価は下落。ただ、2月初旬ほどの大幅な下げにはならず、ダウは14ドル安に留まる。
  • 債券相場は5日続落し、10年債利回りは一時2.99%まで上昇。2014年以来の高水準に。
  • 金は続落。原油はサウジとイエメンの対立激化で続伸し68ドル台半ばに。
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 3月中古住宅販売件数 → 560万件
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ドル/円 108.13 〜 108.75
ユーロ/ドル 1.2198 〜 1.2246
ユーロ/円 132.32 〜 132.78
NYダウ −14.25 → 24,448.69ドル
GOLD −14.30 → 1,324.00ドル
WTI +0.24 → 68.64ドル
米10年国債 +0.010 → 2.975%

本日の注目イベント

  • 豪 豪第1四半期消費者物価指数
  • 独 独4月ifo景況感指数
  • 英 英3月財政収支
  • 米 2月FHFA住宅価格指数
  • 米 3月新築住宅販売件数
  • 米 2月ケース・シラ−住宅価格指数
  • 米 4月リッチモンド連銀製造業指数
  • 米 4月消費者信頼感指数
  • 米 米仏首脳会談(ワシントン)
  • 米 企業決算 → コカコーラ、キャタピラー、3M、ロッキード

ドル円は約2カ月ぶりに108円台に乗せてきました。昨日この欄でも指摘したように、北朝鮮が核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を中止し、核実験施設の廃棄を発表したことで、朝鮮半島のリスクが大きく後退したことが安全通貨の円売りを促しました。ドル円は108円台に入ると、ストップロスのドル買いも巻き込み、スピード感を伴って108円75銭までドル高が進み、この日の高値圏で取り引きを終えました。

北朝鮮リスクの後退もドル高の一因でしたが、直接的には米長期金利の上昇がドル買いに結びついた側面が強いと思われます。2月初旬にも同じように米長期金利が上昇し、この時は金利上昇を嫌って株価が大幅に下がり、その下げがその後の株価の低迷につながった経緯があります。ドル円は株価の大幅下落に反応し、リスクオフから円買いが強まり、3月23日には104円台半ばまで円高が進んだことは記憶に新しいところです。

今回も株価は下げましたが、ダウは小幅安で、S&P500は小幅に上昇しています。2月に比べ株価の水準が低く、割り高感が払拭されていることもありますが、株式市場が金利高に慣れ、受け入れる体制になって、金利高を消化できるようになってきたことも挙がられます。株式市場が金利上昇に対する抵抗力を強めてきたと言えます。

金利が上昇した割には株価が下がらなかったことで、ドル円は金利高に引っ張られた形で上昇しました。もっとも、ユーロドルも約1カ月半ぶりに1.22を割り込むレベルまでユーロ安が進み、昨日はドル全面高の展開でした。さて、107円台ではドルが上昇したもののその動きは緩やかで、108円台に乗せるまでに4営業日を要しました。108円台に乗せてからは一気に108円台後半までドル高が進み、これまでのスピードとは明らかに異なっています。

ここまで来ると「110円」という声も出てきそうですが、これまでの経緯からすると110円を示現するにはまだ時間がかかり、そのための材料も1つや2つは必要かと思います。「日足」では現在雲の中に入り、上方に位置していますが、この雲を上抜けするには109円台半ばまでドル高が進む必要があります。中東の地政学的リスクや米朝会談実現の可能性、あるいはトランプ大統領の中間選挙を意識した、性急な保護貿易主義など、まだまだドルの上昇を阻む材料があります。またトランプ大統領自身がドル高を望んでいないということもあります。

長期金利が3%を超えていくのは時間の問題かと思われます。足元では原油価格の上昇もあり、インフレ懸念が台頭しており、FRBが今年あと2回の利上げ、あるいは3回の利上げを実施する可能性もあります。その点からすると、ドルが底堅く推移することになり、現時点では105円割れのリスクもかなり後退してきました。このように考えると105−110円の新たなレンジを形成しているとするのが妥当な見方のように思います。

今週から3月期決算の企業業績が本格的に発表されます。同時に輸出企業は今期の為替レート(社内レート)も発表しますが、概ね105円以下に設定されると予想されます。そうなると、108円〜110円の水準では確実にドル売りが持ちこまれることも想定されるでしょう。昨日は急激にドル高が進行しましたが、まだドル高へ転換したと考えるには不透明な部分が多いと、個人的には考えます。本日のレンジは108円20銭〜109円20銭程度と予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/5 若田部・副総裁候補 「(2%の物価上昇には)達しておらず、あらゆる手段を駆使すべきだ。必要なら追加緩和を提案する」国会での所信表明で。 --------
3/5 雨宮・副総裁候補 「副作用はあるが、全体として効果が上回っている」国会での所信表明で。 --------
3/14 クドロー・新国家経済会議(NEC)委員長 「市場の機能は自律的だ。金融当局はやるべきことをやるだろうが、やり過ぎないようにしてほしい」CNBCとのインタビューで。 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「われわれは早くもない、遅くもない中間の立場で、金融政策に臨む」FOMCで利上げを決めた後の会見で。 ドル円106円台半ばから105台へ
3/22 トランプ・米大統領 「ここまでたどり着くのに長い時間を要した。中国によって知的財産権が著しく侵害される状況が続いており、貿易への影響は1年間で数千億ドルに達する」中国に対する報復関税措置に関する大統領令に署名した後で。 ドル円105円台前半まで売られ翌朝のオセアニアでは104円台に。
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「トランプ大統領は交渉するつもりだ。米中貿易戦争は起こらない」中国への関税引き上げを決めたあとのTV出演で。 ドル円106円台前半から106円台後半に。NYダウ−500ドルから+235ドルに急騰
4/4 崔天凱・駐米大使 「中国に関する米国の関税リスト案は誤った方向へのさらなる一歩であり、こうした動きは誰も守れず皆にとって打撃となる」中国中央テレビ局とのインタビューで。 --------
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「まだ導入された関税はなく、これらは全て提案だ、意見募集を行っている段階であり、実際の措置が発動されるまで少なくとも2カ月ある」ブルームバーグニュースとのインタビューで。 --------
4/6 ムニューシン・米財務長官 「貿易戦争になるリスクはある」NBCとのインタビューで。 ドル円107円半ばから106円78銭まで下落。NYダウは500ドルを超える下落。
4/8 トランプ・米大統領 「中国は貿易障壁を下げるだろう。そうすることが正しいからだ」ツイッターで投稿。 --------
4/9 黒田・日銀総裁 「2%の物価目標実現への総仕上げを果たすため、全力で取り組みたい」「今の段階で引き締めに転換するとか、緩和を減らすのは適切ではない」再任後の記者会見で。 --------
4/10 習近平・中国国家主席 「人間社会は現在、開放か閉鎖か、前進か後退かという大きな選択を迫られている。今日の世界では、平和と協調のトレンドが前進しており、冷戦とゼロサムゲームの思考は時代遅れだ」アジアフォーラムでの演説で。 ドル円106円85銭近辺から107円25銭まで上昇。
4/16 ダドリー・NY連銀総裁 「今年3回ないし4回が妥当な予測と思われる」CNBCとのインタビューで、利上げ回数について問われて。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和