今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年5月7日(月) 「ドル円108円台半ばまで下落後反発」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は、4月の雇用統計で失業率は改善していたものの、その他の指標が軟調だったことで発表直後から下落。一時は108円65銭まで売られた。ただその後は米株式市場が急騰したことで109円台を回復。
  • ユーロドルは雇用統計発表後買われたものの、1.20台には届かず。その後ドルが上昇すると1.1910までユーロ安が進む。
  • 株式市場は大幅に反発。失業率が18年ぶりの水準になったことが材料に。ダウは一時400ドルを超える上昇を見せたが、引けでは332ドル高。他の主要指数も軒並み上昇。
  • 債券相場は下落。長期金利は2.95%台へとやや上昇。
  • 金は小幅に続伸。原油価格はトランプ政権がイランへの制裁に踏み切るとの観測から続伸し、3年5カ月ぶりに69ドル台後半まで買われる。
********************
 4月失業率 → 16.4万人
 4月非農業部門雇用者数 → 3.9%
 4月平均時給 (前月比) → 0.1%
 4月平均時給 (前年比) → 2.6%
 4月労働参加率 → 62.8%
********************
ドル/円 108.65 〜 109.27
ユーロ/ドル 1.1910 〜 1.1995
ユーロ/円 129.89 〜 130.54
NYダウ +332.36 → 24,262.51ドル
GOLD +2.00 → 1,314.70ドル
WTI +1.36 → 69.76ドル
米10年国債 +0.004 → 2.950%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(3月8日、9日分)
  • 中 中国 4月外貨準備高
  • 米 3月消費者信用残高
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
  • 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演

ドル円は4月の雇用統計を受けて下落し、4月25日以来となる108円台半ばまで売られましたが、その後は切り返し、結局109円台でNYでの取り引きを終えています。底堅いと言えば、底堅い動きです。北朝鮮問題はほぼリスクとしては存在しなくなってきたことや、米長期金利との相関関係が戻ってきたことが、大きな理由として考えられます。

4月の雇用統計では、雇用者数は市場予想を下回る16.4万人でしたが、失業率が18年ぶりとなる4%を下回ったことが株式市場で好感されています。注目の賃金はやや上昇率が鈍化しており、これが嫌気されてドル円は一時108円65銭まで売られましたが、下落もそこまでで、結局109円台に戻して越週しています。FRBは、2日のFOMCでは予想通り金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送りましたが、声明文では「さらなる利上げが正当化される」と記述され、次回6月のFOMCでは今年2回目の利上げが実施される可能性がさらに高まったと考えられます。

ドル円はこの日に110円台に乗せ、110円04銭までドル高が進みました。これで、3月23日に記録した104円64銭の底値からは5円40銭ほど戻したことになります。日足チャートでも既に雲抜けを完成させ、重要な「200日線」に迫ろうという状況です。110円台をつけた後、一旦108円台半ばまで落とされたため、目先のレジスタンスは「120日線」の位置する109円30銭前後ですが、重要なのはやはり上記「200日線」のある110円20銭前後をしっかりと抜け切れるかどうかでしょう。ドル円の直近の高値を昨年11月6日の114円74銭と見れば、今年3月の底値までは10円10銭下げたことになります。フィボナッチ・リトレースメントで戻りの水準を確認してみると、「半値戻し」は109円69銭となり、これは先週一旦抜けています。「半値戻しは全値戻し」と言われ、114円台はまだ遠い存在ですが、上記「200日線」を超えてくれば、その可能性も少しずつ意識されてくるかもしれません。

ただそうは言っても、まだ手放しでドル高を見据えるわけにはいきません。そもそもトランプ大統領がドル高を望んでいないとの見方がある他、先週行われた米中通商問題では、米国側は中国に対して2020年までに2000億ドル(約22兆円)の貿易赤字削減を要求しました。両国の主張には隔たりが大きく、一旦消え去った「貿易戦争」という言葉が再び報道の中で使われ始めてきました。さらにはシリアをはじめとする中東問題や、トランプ大統領のロシア疑惑も引き続きグレイです。そして、半年後には米中間選挙が控えています。その意味では110円台を安定的に回復できるかどうかは、今後の相場を占う上でも非常に重要なポイントと言えます。

本日は地区連銀総裁の講演が多く予定されています。基本的には好調な米景気を背景に、利上げには前向きな発言が多く出ると予想されます。レンジは108円70銭〜109円70銭程度を予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
3/5 若田部・副総裁候補 「(2%の物価上昇には)達しておらず、あらゆる手段を駆使すべきだ。必要なら追加緩和を提案する」国会での所信表明で。 --------
3/5 雨宮・副総裁候補 「副作用はあるが、全体として効果が上回っている」国会での所信表明で。 --------
3/14 クドロー・新国家経済会議(NEC)委員長 「市場の機能は自律的だ。金融当局はやるべきことをやるだろうが、やり過ぎないようにしてほしい」CNBCとのインタビューで。 --------
3/21 パウエル・FRB議長 「われわれは早くもない、遅くもない中間の立場で、金融政策に臨む」FOMCで利上げを決めた後の会見で。 ドル円106円台半ばから105台へ
3/22 トランプ・米大統領 「ここまでたどり着くのに長い時間を要した。中国によって知的財産権が著しく侵害される状況が続いており、貿易への影響は1年間で数千億ドルに達する」中国に対する報復関税措置に関する大統領令に署名した後で。 ドル円105円台前半まで売られ翌朝のオセアニアでは104円台に。
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「トランプ大統領は交渉するつもりだ。米中貿易戦争は起こらない」中国への関税引き上げを決めたあとのTV出演で。 ドル円106円台前半から106円台後半に。NYダウ−500ドルから+235ドルに急騰
4/4 崔天凱・駐米大使 「中国に関する米国の関税リスト案は誤った方向へのさらなる一歩であり、こうした動きは誰も守れず皆にとって打撃となる」中国中央テレビ局とのインタビューで。 --------
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「まだ導入された関税はなく、これらは全て提案だ、意見募集を行っている段階であり、実際の措置が発動されるまで少なくとも2カ月ある」ブルームバーグニュースとのインタビューで。 --------
4/6 ムニューシン・米財務長官 「貿易戦争になるリスクはある」NBCとのインタビューで。 ドル円107円半ばから106円78銭まで下落。NYダウは500ドルを超える下落。
4/8 トランプ・米大統領 「中国は貿易障壁を下げるだろう。そうすることが正しいからだ」ツイッターで投稿。 --------
4/9 黒田・日銀総裁 「2%の物価目標実現への総仕上げを果たすため、全力で取り組みたい」「今の段階で引き締めに転換するとか、緩和を減らすのは適切ではない」再任後の記者会見で。 --------
4/10 習近平・中国国家主席 「人間社会は現在、開放か閉鎖か、前進か後退かという大きな選択を迫られている。今日の世界では、平和と協調のトレンドが前進しており、冷戦とゼロサムゲームの思考は時代遅れだ」アジアフォーラムでの演説で。 ドル円106円85銭近辺から107円25銭まで上昇。
4/16 ダドリー・NY連銀総裁 「今年3回ないし4回が妥当な予測と思われる」CNBCとのインタビューで、利上げ回数について問われて。 --------
4/25 野田聖子・総務大臣 日銀の金融政策について「これ以上、異次元緩和は不要であり、2%の物価目標は撤廃すべきだ」9月の自民党総裁選に出馬する際の公約について、ブルームバーグとのインタビュ−で。 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和