今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年5月9日(水) 「ユーロドル続落し1.18台前半に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は109円を挟みもみ合いが続く。米長期金利の上昇から109円35銭まで買われたが、米国がイランとの核合意から離脱を表明したことで108円83銭前後まで売られる。その後は109円台に乗せて取り引きを終える。
  • ユーロドルはさらに売られ、一時は1.1838までユーロ安が進む。ユーロドルが売られたことで、ユーロ円も129円台前半まで下落。
  • 株式市場はほぼ変わらず。ダウは2ドル上昇したもののS&P500は小幅にマイナス。
  • 債券相場は続落し、長期金利は再び3%に迫る水準まで上昇。引け値では2.97%台とやや低下。
  • 金は続落し、前日70ドル台に乗せた原油は大幅に反落し、69ドル台に。
ドル/円 108.83 〜 109.35
ユーロ/ドル 1.1838 〜 1.1886
ユーロ/円 129.25 〜 129.73
NYダウ +2.89 → 24,360.21ドル
GOLD −0.40 → 1,313.70ドル
WTI −1.67 → 69.06ドル
米10年国債 +0.026 → 2.976%

本日の注目イベント

  • 米 4月生産者物価指数
  • 加 カナダ3月建設許可件数
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

ドル円は109円を挟み、上にも下にも抜け切れない展開が続いています。昨日は、武田薬品工業の超大型M&Aの合意があり、円安材料だったにも関わらずドル上昇のきっかけにはならず、一方トランプ政権は予想されたように、イランとの核合意から離脱を表明しました。この発表でも、ドル円は108円台後半までは売られたものの、直ぐに切り返して109円台を回復しています。結局、昨日のNY市場は為替、株式ともほぼ前日と変わらない水準で戻っており、長期金利だけがやや上昇した形でした。

北朝鮮の金正恩委員長が3月に続いて再び中国を電撃訪問したというニュースがありました。米朝首脳会談が早ければ今月末か、6月初旬にも行われることになっていますが、その会談を控え、中国と北朝鮮にそれぞれ思惑があり、それが再び会談に向かわせたと見られます。北朝鮮としては、米朝会談では核問題については強烈な要求がなされることが想定されるため、中国を後ろ盾にしたい思惑があり、中国は米朝で全てが解決されてしまうことに危機感を抱いている可能性があります。もともと、北朝鮮と西側諸国との交渉には中国が「仲介役」を果たしてきたという自負もあり、存在感をアピールする狙いもありそうです。

北朝鮮リスクはほぼ後退したと見ていますが、まだ米朝会談を経て、その結果を見極めるまでは紆余曲折がありそうです。今回の中国の習近平主席との会談や、朝鮮中央通信が米国の関与を激しく非難していることを考えると、まだ安心はできないのかもしれません。トランプ大統領は既に開催場所と日程は決まっていると言っていますが、まだ公にはなっていません。「成果がなければ席を立つ」と、トランプ大統領は述べています。ないとは思いますが、首脳会談の開催中止や、会談での話し合いが決裂することも頭の片隅に入れて置いたほうがいいのかもしれません。

これまでにも何度か述べてきましたが、足元のドル円は「正念場」にいると言えます。このまま110円を天井に押し戻され、105−110円のレンジを形成するのか。あるいは104円台から5円以上も値を戻した現在のトレンドを維持し、110円台定着を果たすのか、重要な値位置にいると考えられます。どちらに動くのか判断が難しいところですが、IMMにおける投機筋のポジションを見てもどちらにも大きく傾いてはおらず、彼らも迷っていることが見て取れます。108円を割り込むのか、110円台に乗せてくるのか、次の大きな動きがカギを握ってきそうです。

本日の予想レンジは108円60銭〜109円50銭程度としますが、上述のように、何かをきっかけにどちらにも抜ける可能性があるため、注意が必要です。テクニカルでは日足の「ボリンジャーバンド」でこれまでローソク足が、「1シグマ」を下値のメドとして推移していたものが、このところ「1シグマ」が上値のメドになっていることと、「MACD」では既にデッドクロスが点灯していることに目配りをしています。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「トランプ大統領は交渉するつもりだ。米中貿易戦争は起こらない」中国への関税引き上げを決めたあとのTV出演で。 ドル円106円台前半から106円台後半に。NYダウ−500ドルから+235ドルに急騰
4/4 崔天凱・駐米大使 「中国に関する米国の関税リスト案は誤った方向へのさらなる一歩であり、こうした動きは誰も守れず皆にとって打撃となる」中国中央テレビ局とのインタビューで。 --------
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「まだ導入された関税はなく、これらは全て提案だ、意見募集を行っている段階であり、実際の措置が発動されるまで少なくとも2カ月ある」ブルームバーグニュースとのインタビューで。 --------
4/6 ムニューシン・米財務長官 「貿易戦争になるリスクはある」NBCとのインタビューで。 ドル円107円半ばから106円78銭まで下落。NYダウは500ドルを超える下落。
4/8 トランプ・米大統領 「中国は貿易障壁を下げるだろう。そうすることが正しいからだ」ツイッターで投稿。 --------
4/9 黒田・日銀総裁 「2%の物価目標実現への総仕上げを果たすため、全力で取り組みたい」「今の段階で引き締めに転換するとか、緩和を減らすのは適切ではない」再任後の記者会見で。 --------
4/10 習近平・中国国家主席 「人間社会は現在、開放か閉鎖か、前進か後退かという大きな選択を迫られている。今日の世界では、平和と協調のトレンドが前進しており、冷戦とゼロサムゲームの思考は時代遅れだ」アジアフォーラムでの演説で。 ドル円106円85銭近辺から107円25銭まで上昇。
4/16 ダドリー・NY連銀総裁 「今年3回ないし4回が妥当な予測と思われる」CNBCとのインタビューで、利上げ回数について問われて。 --------
4/25 野田聖子・総務大臣 日銀の金融政策について「これ以上、異次元緩和は不要であり、2%の物価目標は撤廃すべきだ」9月の自民党総裁選に出馬する際の公約について、ブルームバーグとのインタビュ−で。 --------
5/2 FOMC声明文 「さらなる利上げが正当化される」 ドル円109円台後半から110円台に乗せる
5/4 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 シナリオが景気過熱の様相を呈した場合には「比較的急な軌道にならざるを得ないかもしれない」カリフォルニア州での討論会で。 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和