2018年5月10日(木) 「ドル円再び110円をテストか?」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は109円台で小動き。それでも東京市場でのドル高の流れを受け、109円83銭まで買われる。米長期金利が3%台の大台に乗せたことも支えに。
- ユーロドルの下落は止まらず、欧州時間には1.1823まで売られ、前日の安値を更新。NYでは1.18台半ばから後半で推移し、下落は小休止。
- 株式市場は大幅に上昇。北朝鮮が拘束していた米国人3人を解放したことを手掛かりに、リスク選好が拡大。銀行株を中心にダウは182ドル高で取り引き終える。
- 債券は続落し、長期金利は4月25日以来となる3%台に乗せる。10年債入札では投資家の需要が確認されたものの、リスクオンが進む。
- 金は3日続落。原油はイランの原産量が減るとの見通しから買われ、大幅に続伸。71ドル台まで上昇して引ける。
4月生産者物価指数 → +0.1%
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| ドル/円 | 109.57 〜 109.83 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1841 〜 1.1897 |
| ユーロ/円 | 129.93 〜 130.48 |
| NYダウ | +182.33 → 24,542.54ドル |
| GOLD | −0.70 → 1,313.00ドル |
| WTI | +2.08 → 71.14ドル |
| 米10年国債 | +0.028 → 3.004% |
本日の注目イベント
- 日 3月貿易収支
- 日 3月国際収支
- 日 4月景気ウオッチャー調査
- 中 中国 4月消費者物価指数
- 中 中国 4月生産者物価指数
- 欧 ECB経済報告
- 英 英3月貿易収支
- 英 英3月鉱工業生産
- 英 BOE金融政策発表
- 英 BOE議事録
- 英 BOE、四半期物価報告
- 米 4月消費者物価指数
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 4月財政収支
為替市場では大きな動きはなかったものの、米国が正式にイラン核合意からの離脱を発表したことで原油価格が一段と上昇し、昨日のNY原油先物市場ではWTI原油価格が前日比2ドルを超える上昇を見せ、引け値で71ドル台に乗せました。これは2014年11月以来ということで、米国では折からのインフレ懸念が広がっているところに、正に「火に油を注ぐ」状況になってきました。FRBが最も注目しているとされるインフレ指標の『PCEコアデフレーター』は、直近で1.9%まで上昇しており、原油高から輸送費の上昇が見込まれ、2%の大台乗せは近いものと思われます。
そして、その先にあるのが政策金利の引き上げです。市場は今年さらに2回の利上げを織り込んでいますが、さらに1回増えて、3回という可能性も高まってきます。米長期金利も昨日は再び3%の大台に乗せてきました。前回3%の大台に乗せた際には、大台での滞空時間は短く、今回は3%台を固めるのかどうかが注目されます。米長期金利との相関関係が戻ってきたドル円は、今後金利が上昇すればもう一段ドル高が進むことも予想され、こちらも110円台に乗せ、その水準を固められるのかどうかが焦点です。
ドル円はそれほど目だった動きはないものの、109円台後半までドル高が進んできました。昨日の東京時間の朝10時辺りからドル買いが目立ち、109円20銭前後で推移していたドル円は109円60銭前後まで、比較的スピード感を伴って上昇しました。リクルートが米国の人材関連会社のグラスドアを12億ドル(約1300億円)で買収するというニュースがきっかけとの事でした。実際にその玉が市場で手当てされたのかどうかは分かりませんが、連日政治的ニュースや地政学的ニュースだけに翻弄されている市場にとっては、格好の材料だったのかもしれません。結局ドル円は、これ以降109円台半ばを下回ってはおらず、NYでのドル堅調な流れにつながっています。
北朝鮮の融和政策は現時点ではさらに前進しているようです。ポンペオ国務長官の2度目の訪朝で、拘束されていた3人の米国人の解放が決まりました。トランプ大統領もこの措置を評価しており、歴史的な米朝首脳会談開催が着々と進んでいるようです。ここまできたら、日本人の拉致被害者も一気に解放へと進んで欲しいと願うのは筆者だけではないと思います。拉致被害者家族の高齢化が進み、残された時間はそう多くありません。今回のこの融和ムードが最後のチャンスかもしれません。
ドル円は109円を中心に上下50銭のレンジを上抜けしてきました。本日の上値のメドは当然110円ということになります。前回の110円を巡る攻防では、110円台には乗せたものの、『ワンタッチ』と言ってもいい程度のものでした。しかも日本がGW中でもあり、いわば蚊帳の外での出来事だった印象もあります。本日この水準をテストする場面があれば、110円から上方ではドル売り注文が相当並ぶことは想像に難くありません。昨日決算発表を行ったトヨタ自動車も、2019年3月期前半の為替レートは「105円」に設定していました。トヨタの場合、単純計算で5円の円安は2000億円の増益要因になります。
ということで、本日の予想レンジは109円20銭〜110円20銭程度にしたいと思います。一気に110円を目指すことにはならないと思いますが、株価の安定を背景にドル円は底堅い動きになると予想しています。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 4/4 | クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 | 「トランプ大統領は交渉するつもりだ。米中貿易戦争は起こらない」中国への関税引き上げを決めたあとのTV出演で。 | ドル円106円台前半から106円台後半に。NYダウ−500ドルから+235ドルに急騰 |
| 4/4 | 崔天凱・駐米大使 | 「中国に関する米国の関税リスト案は誤った方向へのさらなる一歩であり、こうした動きは誰も守れず皆にとって打撃となる」中国中央テレビ局とのインタビューで。 | -------- |
| 4/4 | クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 | 「まだ導入された関税はなく、これらは全て提案だ、意見募集を行っている段階であり、実際の措置が発動されるまで少なくとも2カ月ある」ブルームバーグニュースとのインタビューで。 | -------- |
| 4/6 | ムニューシン・米財務長官 | 「貿易戦争になるリスクはある」NBCとのインタビューで。 | ドル円107円半ばから106円78銭まで下落。NYダウは500ドルを超える下落。 |
| 4/8 | トランプ・米大統領 | 「中国は貿易障壁を下げるだろう。そうすることが正しいからだ」ツイッターで投稿。 | -------- |
| 4/9 | 黒田・日銀総裁 | 「2%の物価目標実現への総仕上げを果たすため、全力で取り組みたい」「今の段階で引き締めに転換するとか、緩和を減らすのは適切ではない」再任後の記者会見で。 | -------- |
| 4/10 | 習近平・中国国家主席 | 「人間社会は現在、開放か閉鎖か、前進か後退かという大きな選択を迫られている。今日の世界では、平和と協調のトレンドが前進しており、冷戦とゼロサムゲームの思考は時代遅れだ」アジアフォーラムでの演説で。 | ドル円106円85銭近辺から107円25銭まで上昇。 |
| 4/16 | ダドリー・NY連銀総裁 | 「今年3回ないし4回が妥当な予測と思われる」CNBCとのインタビューで、利上げ回数について問われて。 | -------- |
| 4/25 | 野田聖子・総務大臣 | 日銀の金融政策について「これ以上、異次元緩和は不要であり、2%の物価目標は撤廃すべきだ」9月の自民党総裁選に出馬する際の公約について、ブルームバーグとのインタビュ−で。 | -------- |
| 5/2 | FOMC声明文 | 「さらなる利上げが正当化される」 | ドル円109円台後半から110円台に乗せる |
| 5/4 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | シナリオが景気過熱の様相を呈した場合には「比較的急な軌道にならざるを得ないかもしれない」カリフォルニア州での討論会で。 | -------- |
| 5/7 | バシリアウスカス・リトアニア中銀総裁 | 「現在の成長とインフレ見通しを踏まえれば、今年末までの資産買い入れ終了は現実的かつ適切なシナリオだと私には思われる」独紙とインタビューで。 | -------- |



