今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年5月11日(金) 「ドル円110円をテスト後下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は欧州時間に110円台をテストしたものの、乗せ切れず反落。NYでは4月のCPIが予想を下回ったことからドル売りが優勢となり109円30銭まで円が買われる。
  • ドルが売られたことでユーロの下落も一服。ユーロドルは1.1947まで反発する場面も。
  • 株式市場は大幅に続伸。半導体銘柄が買われ、ダウは196ドル上昇。ダウはこれで6営業日続伸。
  • 債券は反発。前日3%の大台に乗せて引けた10年債利回りも低下し、2.96%台で引ける。
  • 金は4日ぶりに反発。原油価格は中東情勢を背景に再び買いが強まり71ドル台後半まで上昇。引け値でも71ドル36セントと、直近高値を更新。
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 4月消費者物価指数  → +0.2%
 新規失業保険申請件数 → 21.1万件
 4月財政収支     → 2143億ドルの黒字
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ドル/円 109.30 〜 109.65
ユーロ/ドル 1.1871 〜 1.1947
ユーロ/円 130.10 〜 130.77
NYダウ +196.99 → 24,739.53ドル
GOLD +9.30 → 1,322.30ドル
WTI +1.36 → 71.36ドル
米10年国債 −0.027 → 2.962%

本日の注目イベント

  • 米 4月輸入物価指数
  • 米 5月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
  • 米 カナダ4月就業者数
  • 加 カナダ4月失業率

昨日この欄でも述べましたが、為替と金利で2つの水準に注目していました。ドル円では再度110円台をテストできるかどうかと、110円台をつけた後その水準を維持できるかどうかという点が1つ目でした。そのドル円は夕方には110円02銭まで上昇し、110円台には到達したものの、今回も結局、「ワンタッチ」でした。その後のNY市場では4月の消費者物価指数(CPI)が+0.2%と、予想を下回ったことで、インフレ懸念が後退しドルが売られ、109円前半まで下落しています。現時点では「110円の壁」が徐々に存在感を増しているといったところです。

昨日も説明したように、110円から110円半ばには実需のドル売りを含め、大量の注文が並んでいたものと思われます。もちろん、どれほど多くのドル売り注文があろうと、抜けるときは簡単に抜けるものですが、為替ディーラーも自分で保有している「大量の注文額」を利用して「悪さ」をすることもあります。その結果、110円近辺が益々厚い壁になってくることもあります。

2つ目の注目点が、米長期金利が3%台を維持できるかどうかという点でした。米長期金利との相関を取り戻したドル円は、米長期金利が上昇するのであれば110円台を固める可能性もあったからです。結果は3%台を維持できず、再び押し戻されています。結局、現時点では110円台に乗せ切れずやや下落していますが、ここから注目したいのは、109円台で留まっていられるのかどうかです。109円台を維持できるのであれば、三度(みたび)110円をテストする可能性があり、107円程度まで売り込まれるようだと、105−110円のレンジに戻ってしまうからです。いずれにしてもドル円は重要な水準にいて、正念場であることに変わりはないと思われます。

米朝会談の日程と場所が発表されました。トランプ大統領は昨日ツイッターで「大いに期待されている金委員長と私との会談は、6月12日シンガポールで実現する」と明らかにし、「世界平和のために2人で努力し、非常に特別な瞬間にしたい」とツイートしました。(ブルームバーグ)歴史的な会談が開催されますが、会談では北朝鮮の非核化実現までの期間が焦点になろうかと思います。

イスラエルがシリア内にあるイランの軍事施設に大規模な攻撃を行うなど、中東の地政学的リスクは依然として沈静化する気配はありませんが、市場は徐々にリスクオンに傾いてきているように思えます。トランプ大統領は昨日も北朝鮮から解放された米国人3人迎えるため、わざわざ米軍施設まで出向き、タラップの上まで登り、飛行機の出口で3人と握手する演出を見せていました。11月の中間選挙に向けて猛アピールといったところです。米朝会談が成功裡に終わり、北朝鮮の非核化で合意ができるようなら、次の 材料は、米中間選挙とロシア疑惑と見ています。本日のドル円は109円〜109円90銭程度を予想します。

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為替や株や金利、さらには原油価格までもトランプ大統領の「一言」で動いています。これを市場では「トランプ相場」と言うそうですが、日本がGW真只中の4日、トランプ大統領はテキサス州ダラスで開かれた全米ライフル協会(NRA)で講演を行いました。トランプ氏はここで、NRAが以前から反対していた銃規制に関して、「銃所持の権利を支持する」と言明しています。2016年の大統領選ではNRAから3000万ドル(約33億円)もの支援を受けたトランプ氏。そう簡単に「NO」とは言えないのでしょう。・・・NOと言えないアメリカ人。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「トランプ大統領は交渉するつもりだ。米中貿易戦争は起こらない」中国への関税引き上げを決めたあとのTV出演で。 ドル円106円台前半から106円台後半に。NYダウ−500ドルから+235ドルに急騰
4/4 崔天凱・駐米大使 「中国に関する米国の関税リスト案は誤った方向へのさらなる一歩であり、こうした動きは誰も守れず皆にとって打撃となる」中国中央テレビ局とのインタビューで。 --------
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「まだ導入された関税はなく、これらは全て提案だ、意見募集を行っている段階であり、実際の措置が発動されるまで少なくとも2カ月ある」ブルームバーグニュースとのインタビューで。 --------
4/6 ムニューシン・米財務長官 「貿易戦争になるリスクはある」NBCとのインタビューで。 ドル円107円半ばから106円78銭まで下落。NYダウは500ドルを超える下落。
4/8 トランプ・米大統領 「中国は貿易障壁を下げるだろう。そうすることが正しいからだ」ツイッターで投稿。 --------
4/9 黒田・日銀総裁 「2%の物価目標実現への総仕上げを果たすため、全力で取り組みたい」「今の段階で引き締めに転換するとか、緩和を減らすのは適切ではない」再任後の記者会見で。 --------
4/10 習近平・中国国家主席 「人間社会は現在、開放か閉鎖か、前進か後退かという大きな選択を迫られている。今日の世界では、平和と協調のトレンドが前進しており、冷戦とゼロサムゲームの思考は時代遅れだ」アジアフォーラムでの演説で。 ドル円106円85銭近辺から107円25銭まで上昇。
4/16 ダドリー・NY連銀総裁 「今年3回ないし4回が妥当な予測と思われる」CNBCとのインタビューで、利上げ回数について問われて。 --------
4/25 野田聖子・総務大臣 日銀の金融政策について「これ以上、異次元緩和は不要であり、2%の物価目標は撤廃すべきだ」9月の自民党総裁選に出馬する際の公約について、ブルームバーグとのインタビュ−で。 --------
5/2 FOMC声明文 「さらなる利上げが正当化される」 ドル円109円台後半から110円台に乗せる
5/4 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 シナリオが景気過熱の様相を呈した場合には「比較的急な軌道にならざるを得ないかもしれない」カリフォルニア州での討論会で。 --------
5/7 バシリアウスカス・リトアニア中銀総裁 「現在の成長とインフレ見通しを踏まえれば、今年末までの資産買い入れ終了は現実的かつ適切なシナリオだと私には思われる」独紙とインタビューで。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和