2018年5月16日(水) 「ドル円ついに110円台を突破」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は「110円の壁」を上抜けし、110円45銭まで上昇。米長期金利が一段と上昇したことと、経済指標の一部が上振れしたことが材料に。
- ドル高が進み、ユーロドルは大幅に下落。1.1820までユーロ安が進み、先週9日に記録した安値に並ぶ。
- 株式市場は大幅に反落。米長期金利がさらに上昇したことと、連日上昇が続いていたことから、利益確定の売りが出やすい状況にあった。ダウは193ドル下落し、他の主要指数も大きく売られる。
- 債券相場は続落し、10年債利回りは一時3.09%まで上昇。NY連銀製造業景況指数が予想を大きく上回ったことなどに反応した。引け値では3.07%台と、やや低下して取り引きを終える。
- ドル高が進み金は前日比27ドル以上売られ、1300ドルの大台を割り込む。原油は小幅に上昇し高値圏で推移。
米 5月NY連銀製造業景況指数 → 20.1
米 4月小売売上高 → +0.3%
米 5月NAHB住宅市場指数 → 70
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| ドル/円 | 110.00 〜 110.45 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1820 〜 1.1891 |
| ユーロ/円 | 130.44 〜 130.98 |
| NYダウ | −193.00 → 24,706.41ドル |
| GOLD | −27.90 → 1,290.30ドル |
| WTI | +0.35 → 71.31ドル |
| 米10年国債 | +0.070 → 3.072% |
本日の注目イベント
- 日 1−3月GDP(速報値)
- 独 独4月消費者物価指数(確定値)
- 欧 ユーロ圏4月消費者物価指数(確定値)
- 欧 IEA月報
- 米 4月住宅着工件数
- 米 4月建設許可件数
- 米 4月鉱工業生産
- 米 4月設備稼働率
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
- 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
まさに「三度目の正直」でした。ドル円は三度(みたび)110円台をテストし、三度目の今回は「110円の壁」を突破し、110円45銭前後まで一気にドル高が進みました。前回までは110円02銭や04銭まで上昇したものの、結局押し戻されましたが、今回はその水準を大きく上回り、引け値でも110円台前半で戻ってきています。
ドル高が進んだ材料は幾つかありましたが、やはり米長期金利の一段の上昇が大きな理由だったと思われます。米長期金利は3.09%まで上昇し、2011年以来の高水を記録しました。昨日もこの欄で述べたように、米金利との相関が戻ったドル円は、金利がさらに上昇したことで、ドル高が進みました。2月の初めにもこのように、米長期金利が大きく上昇しました。その時は金利高に嫌気してNYダウが1000ドルを超える大幅安を見せ、この株価の大幅下落に反応してドル円は大きく円高ドル安が進んだ経緯があります。昨日もその傾向は観られNYダウは下げましたが、193ドル安に留まっています。ダウは8日続伸していたこともあり、下落は「想定内」とも言えます。むしろ昨日の下落幅で、2月に比べ、株式市場の金利高に対する耐性が強まったと判断することもできそうです。
さらにドルを押し上げたのは、この日発表された5月のNY連銀製造業景況指数でした。市場予想の「15.0」を大きく上回る「20.1」だったことで、FRBによる利上げ回数の上振れ観測が高まり、ドル買いにつながっています。さらにサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が講演で、米景気の先行きに楽観視しており、「今年は3回か4回の利上げが適切」との見解を改めて示したこともドル高につながりました。ウィリアムズ総裁は、来月退任するダドリーNY連銀総裁の後任となり、新しいNY連銀総裁に就任します。地区連銀の中でもNY連銀は別格で、それだけ発言にも影響力があります。
ドル円は2月2日以来のドル高水準となる110円台半ばまで上昇してきました。これまで何度も述べてきた重要な値位置である「200日移動平均線」もついに抜けてきました。この先の上値のメドですが、まずは『週足』の「52週移動平均線」が110円35銭近辺にあるため、この線をしっかりと抜ける必要があります。そしてその上には、ほとんどレジスタンスらしいものは見当たらないため、フィボナッチ・リトレースメントを駆使してみると、114円74銭(2017年11月6日)の直近高値から、104円64銭(3月23日)の安値の値幅、10円10銭の61.8%戻しが、110円88銭ということになります。ということで、110円台半ば〜111円にかけては、仮に抜けるとしてもてこずることになりそうです。本日の予想レンジは109円80銭〜110円60銭程度とします。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 4/4 | クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 | 「トランプ大統領は交渉するつもりだ。米中貿易戦争は起こらない」中国への関税引き上げを決めたあとのTV出演で。 | ドル円106円台前半から106円台後半に。NYダウ−500ドルから+235ドルに急騰 |
| 4/4 | 崔天凱・駐米大使 | 「中国に関する米国の関税リスト案は誤った方向へのさらなる一歩であり、こうした動きは誰も守れず皆にとって打撃となる」中国中央テレビ局とのインタビューで。 | -------- |
| 4/4 | クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 | 「まだ導入された関税はなく、これらは全て提案だ、意見募集を行っている段階であり、実際の措置が発動されるまで少なくとも2カ月ある」ブルームバーグニュースとのインタビューで。 | -------- |
| 4/6 | ムニューシン・米財務長官 | 「貿易戦争になるリスクはある」NBCとのインタビューで。 | ドル円107円半ばから106円78銭まで下落。NYダウは500ドルを超える下落。 |
| 4/8 | トランプ・米大統領 | 「中国は貿易障壁を下げるだろう。そうすることが正しいからだ」ツイッターで投稿。 | -------- |
| 4/9 | 黒田・日銀総裁 | 「2%の物価目標実現への総仕上げを果たすため、全力で取り組みたい」「今の段階で引き締めに転換するとか、緩和を減らすのは適切ではない」再任後の記者会見で。 | -------- |
| 4/10 | 習近平・中国国家主席 | 「人間社会は現在、開放か閉鎖か、前進か後退かという大きな選択を迫られている。今日の世界では、平和と協調のトレンドが前進しており、冷戦とゼロサムゲームの思考は時代遅れだ」アジアフォーラムでの演説で。 | ドル円106円85銭近辺から107円25銭まで上昇。 |
| 4/16 | ダドリー・NY連銀総裁 | 「今年3回ないし4回が妥当な予測と思われる」CNBCとのインタビューで、利上げ回数について問われて。 | -------- |
| 4/25 | 野田聖子・総務大臣 | 日銀の金融政策について「これ以上、異次元緩和は不要であり、2%の物価目標は撤廃すべきだ」9月の自民党総裁選に出馬する際の公約について、ブルームバーグとのインタビュ−で。 | -------- |
| 5/2 | FOMC声明文 | 「さらなる利上げが正当化される」 | ドル円109円台後半から110円台に乗せる |
| 5/4 | ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 | シナリオが景気過熱の様相を呈した場合には「比較的急な軌道にならざるを得ないかもしれない」カリフォルニア州での討論会で。 | -------- |
| 5/7 | バシリアウスカス・リトアニア中銀総裁 | 「現在の成長とインフレ見通しを踏まえれば、今年末までの資産買い入れ終了は現実的かつ適切なシナリオだと私には思われる」独紙とインタビューで。 | -------- |
| 5/15 | ウィリアムズ・SF中銀総裁 | 「今年は3回か4回の利上げが適切」講演で。 | ドル円110円台突破の一因に |



