今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年6月1日(金) 「ユーロの買戻し進む」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は108円台で推移し、109円近辺がやや重石となった。トランプ政権が鉄鋼・アルミの関税を発動したことで、世界貿易への懸念が広がり円が買われた。一時は108円39銭前後までドル安が進んだが、午後にはドル買い戻しも観られた。
  • ユーロドルは買い戻しが進み、1.17台を回復。ユーロは対円でも127円台半ばまで値を戻す荒っぽい動きに。
  • 株式市場はトランプ政権による関税発動の発表を嫌気して反落。ダウは251ドル安と、連日上下に大きく振れる
  • 債券は、朝方は買われたものの午後には軟調となり、前日比小幅安で引ける。長期金利は2.85%台と小幅に上昇。
  • 金、原油は揃って反落。
***********************
 新規失業保険申請件数 → 22.1万件
 4月個人所得 → +0.3%
 4月個人支出 → +0.6%
 4月PCEコアデフレータ → +1.8%
 5月シカゴ購買部協会景気指数 → 62.7
 4月中古住宅販売件数成約指数 → −1.3%
***********************
ドル/円 108.39 〜 108.92
ユーロ/ドル 1.1641 〜 1.1708
ユーロ/円 126.33 〜 127.45
NYダウ −251.94 → 24,415.84ドル
GOLD −1.18 → 1,304.70ドル
WTI −1.17 → 67.04ドル
米10年国債 +0.004 → 2.859%

本日の注目イベント

  • 中 中国 5月財新製造業PMI
  • 英 英5月製造業PMI
  • 米 5月雇用統計
  • 米 5月ISM製造業景況指数

連日NY株が大きく上げ下げを繰り返していますが、ドル円の方は動きに精彩を欠き、昨日は108円台半ばから後半の動きに終始しました。トランプ政権が、EUとカナダ、メキシコに対して鉄鋼とアルミニウムの関税を発動すると発表しました。この発表に対して、フランスのマクロン大統領は「違法な決定だ」と述べ、カナダのトルドー首相も「容認できない」とし、EUのユンケル欧州委員会委員長も批判の声明を発表しています。

今回の関税引き上げで、輸入自動車への関税引き上げも示唆していたトランプ大統領が、実際に行動を起こす可能性も高まってきました。NYダウはこの発表を受け251ドルも下げ、長期金利も低下し、ドル円の上値を抑える結果になっています。午後には債券が売られ、金利が上昇したものの、109円台には届いていません。今月12日の米朝首脳会談に向けて、米朝高官が大詰めの協議を行っています。歴史的会談の実現はほぼ間違いない状況となっており、注目は非核化を巡るロードマップに移ってきました。

イタリアではポピュリスト政党の「五つ星運動」と「同盟」が連立政権を樹立し、現地時間の本日午後4時に新内閣が発足します。新政権は歳出拡大を政策に掲げており、EUの規律に挑戦する形になりますが、昨日はイタリア国債が買われるなど、今週火曜日に観られたような混乱は今のところありません。

今日から6月です。多くのイベントが予定されており、金融市場は今月も大きく動く可能性が高いとみられます。本日の雇用統計に始まり、12日には米朝首脳会談が行われ、13日にはほぼ利上げが間違いないとみられるFOMC、そして14日にはECB理事会です。また24日にはトルコリラの相場に大きな影響を与える大統領選と議会選挙もあります。104円台から111円台まで上昇し、その半値まで値を下げてきたドル円も、これらイベントの影響を受け方向性も出てくると予想していますが、「トランプ相場」との関わりも見ていかなければならず、ポジションを一方方向には傾けにくい相場は続くかもしれません。

本日のドル円は、雇用統計もあることから108円〜109円30銭程度を予想します。ここ数ヶ月は雇用統計発表後も大きな値動きは観られませんが、気を緩めずに臨むことをお勧めします。


米コーヒーチェーン大手「スターバックス」が今週29日に全米の直営店8000店を半日閉め、従業員の臨時研修を行ったという報道がありました。日経新聞の記事によれば、この半日休業よる減収は推定で600万ドル〜3000万ドル(約6億5千万円〜32億5千万円)にもなるそうです。この臨時研修は、ペンシルベニア州の店でおきた黒人男性への差別的な対応がきっかけで、同社に対する批判が高まったことに対応したものでした。一人の従業員のちょっとした対応が、企業に大きな損失をもたらす「いい事例」として大手飲食店では参考にしているとか。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「トランプ大統領は交渉するつもりだ。米中貿易戦争は起こらない」中国への関税引き上げを決めたあとのTV出演で。 ドル円106円台前半から106円台後半に。NYダウ−500ドルから+235ドルに急騰
4/4 崔天凱・駐米大使 「中国に関する米国の関税リスト案は誤った方向へのさらなる一歩であり、こうした動きは誰も守れず皆にとって打撃となる」中国中央テレビ局とのインタビューで。 --------
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「まだ導入された関税はなく、これらは全て提案だ、意見募集を行っている段階であり、実際の措置が発動されるまで少なくとも2カ月ある」ブルームバーグニュースとのインタビューで。 --------
4/6 ムニューシン・米財務長官 「貿易戦争になるリスクはある」NBCとのインタビューで。 ドル円107円半ばから106円78銭まで下落。NYダウは500ドルを超える下落。
4/8 トランプ・米大統領 「中国は貿易障壁を下げるだろう。そうすることが正しいからだ」ツイッターで投稿。 --------
4/9 黒田・日銀総裁 「2%の物価目標実現への総仕上げを果たすため、全力で取り組みたい」「今の段階で引き締めに転換するとか、緩和を減らすのは適切ではない」再任後の記者会見で。 --------
4/10 習近平・中国国家主席 「人間社会は現在、開放か閉鎖か、前進か後退かという大きな選択を迫られている。今日の世界では、平和と協調のトレンドが前進しており、冷戦とゼロサムゲームの思考は時代遅れだ」アジアフォーラムでの演説で。 ドル円106円85銭近辺から107円25銭まで上昇。
4/16 ダドリー・NY連銀総裁 「今年3回ないし4回が妥当な予測と思われる」CNBCとのインタビューで、利上げ回数について問われて。 --------
4/25 野田聖子・総務大臣 日銀の金融政策について「これ以上、異次元緩和は不要であり、2%の物価目標は撤廃すべきだ」9月の自民党総裁選に出馬する際の公約について、ブルームバーグとのインタビュ−で。 --------
5/2 FOMC声明文 「さらなる利上げが正当化される」 ドル円109円台後半から110円台に乗せる
5/4 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 シナリオが景気過熱の様相を呈した場合には「比較的急な軌道にならざるを得ないかもしれない」カリフォルニア州での討論会で。 --------
5/7 バシリアウスカス・リトアニア中銀総裁 「現在の成長とインフレ見通しを踏まえれば、今年末までの資産買い入れ終了は現実的かつ適切なシナリオだと私には思われる」独紙とインタビューで。 --------
5/15 ウィリアムズ・SF中銀総裁 「今年は3回か4回の利上げが適切」講演で。 ドル円110円台突破の一因に
5/15 ウィリアムズ・SF中銀総裁 「FOMCが会合終了後に毎回示す声明で、フォワードガイダンスを段階的に終了していくべきだ」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
5/24 トランプ・米大統領 (北朝鮮側の最近の発言に見られる)「途方もない怒りとあからさまな敵意が理由だ」米朝会談中止の発表で。 ドル円109円台半ばから108円台へ
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和