今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年6月4日(月) 「ドル円良好な雇用統計を受け109円台半ばへ」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は109円台を回復し、雇用統計の内容が良好だったことで、109円73銭までドル高が進む。その後は貿易問題などがドルの上値を抑え、109円半ばで越週。
  • ユーロドルは1.16台で落ち着いた動きを見せる。上値が重いものの、1.15が当面の底値との見方も浮上。
  • 株式市場は大幅に反発。雇用統計を受け、景気に対する楽観的な見方が株価を押し上げる。ダウは219ドル上昇し、ナスダックも112ポイント上げる。
  • 債券は続落。株価の上昇を手掛かりに売りが優勢に。長期金利は1週間ぶりに2.90%台を回復。
  • 金、原油はともに続落。
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 5月失業率 → 3.8%
 5月非農業部門雇用者数 → 22.3万人
 5月平均時給(前月比) → 0.3%
 5月平均時給(前年比) → 2.7%
 5月労働参加率 → 62.7%
 5月ISM製造業景況指数 → 58.7
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ドル/円 109.41 〜 109.73
ユーロ/ドル 1.1617 〜 1.1688
ユーロ/円 127.17 〜 128.13
NYダウ +219.37 → 24,635.21ドル
GOLD −5.40 → 1,299.30ドル
WTI −1.23 → 65.81ドル
米10年国債 +0.044 → 2.902%

109円台が重いイメージが出来つつあったドル円は、5月の雇用統計の結果を受け、109円台後半までドル高が進みました。失業率は18年ぶりとなる3.8%まで低下し、雇用者数は、予想の19万人を大きく上回る22.3万人でした。もっとも、その内容の割には発表後のドルの伸びは小幅でしたが、これは発表前からドルが上昇していたことにも関係がありそうです。

トランプ大統領は、雇用統計が発表される前に「雇用統計が楽しみだ」というツイッターを投稿していました。報道によると、大統領は発表の1時間前に雇用統計の内容を知らされるということで、その内容を踏まえて「楽しみだ」とツイートしたのではないかとの思惑でドルが既に買われていました。やや古い話で恐縮ですが、筆者が現役の頃は、雇用統計の内容はFRB議長は知ることが出来ても、大統領でさえも事前には知ることは出来ないと聞かされていました。制度が変わったのかもしれませんが、今後もこのような事態が起きれば、いずれ問題になることでしょう。

それにしても、このところの雇用統計発表日の値動きは、一時ほどの活発さは見られません。この日も発表後の値幅は30銭強で、小幅でした。労働市場が好調さを継続しており、多少予想とぶれても今後の金融政策への影響はあまり考えられないということであろうかと思います。しばらくはこのような状況が続くものと思われますが、FRBの使命の一つに「雇用の最大化」がうたわれている以上、この指標が投資家の関心からはずれることはないと思います。

週末から昨日までに、カナダでは「G7」が行われ、米朝首脳会談の正式日程が決まりました。「G7」では、米国の保護主義に対する批判が相次ぎ、ムニューシン財務長官もTVで観る限りでは、居場所がなさそうな様子でした。フランスのルメール経済・財務相が「G6プラス1」と呼んでいたことが象徴的で、「G7」そのものの存在意義が問われそうです。米朝首脳会談は当初の予定通り、来週火曜日に行われることに決まりました。トランプ大統領が「会談中止」を発表したことが今回の成功につながったともみられ、米国側が非核化に対してもやや譲歩する気配もうかがえます。ここにも「トランプ流の外交術」が見え隠れしています。

ドル円は、今日は底堅い動きを見せると思われますが、上値の方もそれほど期待できないでしょう。先ずはNYの高値近辺を抜けるかどうかですが、その後は110円台に乗せることができるかどうかです。110円台では10−20銭近辺が前回の高値でもあり、重要な移動平均線がある値位置のため、最も注目される水準かと思われます。そのため、本日は109〜110円のレンジを予想します。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「トランプ大統領は交渉するつもりだ。米中貿易戦争は起こらない」中国への関税引き上げを決めたあとのTV出演で。 ドル円106円台前半から106円台後半に。NYダウ−500ドルから+235ドルに急騰
4/4 崔天凱・駐米大使 「中国に関する米国の関税リスト案は誤った方向へのさらなる一歩であり、こうした動きは誰も守れず皆にとって打撃となる」中国中央テレビ局とのインタビューで。 --------
4/4 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「まだ導入された関税はなく、これらは全て提案だ、意見募集を行っている段階であり、実際の措置が発動されるまで少なくとも2カ月ある」ブルームバーグニュースとのインタビューで。 --------
4/6 ムニューシン・米財務長官 「貿易戦争になるリスクはある」NBCとのインタビューで。 ドル円107円半ばから106円78銭まで下落。NYダウは500ドルを超える下落。
4/8 トランプ・米大統領 「中国は貿易障壁を下げるだろう。そうすることが正しいからだ」ツイッターで投稿。 --------
4/9 黒田・日銀総裁 「2%の物価目標実現への総仕上げを果たすため、全力で取り組みたい」「今の段階で引き締めに転換するとか、緩和を減らすのは適切ではない」再任後の記者会見で。 --------
4/10 習近平・中国国家主席 「人間社会は現在、開放か閉鎖か、前進か後退かという大きな選択を迫られている。今日の世界では、平和と協調のトレンドが前進しており、冷戦とゼロサムゲームの思考は時代遅れだ」アジアフォーラムでの演説で。 ドル円106円85銭近辺から107円25銭まで上昇。
4/16 ダドリー・NY連銀総裁 「今年3回ないし4回が妥当な予測と思われる」CNBCとのインタビューで、利上げ回数について問われて。 --------
4/25 野田聖子・総務大臣 日銀の金融政策について「これ以上、異次元緩和は不要であり、2%の物価目標は撤廃すべきだ」9月の自民党総裁選に出馬する際の公約について、ブルームバーグとのインタビュ−で。 --------
5/2 FOMC声明文 「さらなる利上げが正当化される」 ドル円109円台後半から110円台に乗せる
5/4 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 シナリオが景気過熱の様相を呈した場合には「比較的急な軌道にならざるを得ないかもしれない」カリフォルニア州での討論会で。 --------
5/7 バシリアウスカス・リトアニア中銀総裁 「現在の成長とインフレ見通しを踏まえれば、今年末までの資産買い入れ終了は現実的かつ適切なシナリオだと私には思われる」独紙とインタビューで。 --------
5/15 ウィリアムズ・SF中銀総裁 「今年は3回か4回の利上げが適切」講演で。 ドル円110円台突破の一因に
5/15 ウィリアムズ・SF中銀総裁 「FOMCが会合終了後に毎回示す声明で、フォワードガイダンスを段階的に終了していくべきだ」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
5/24 トランプ・米大統領 (北朝鮮側の最近の発言に見られる)「途方もない怒りとあからさまな敵意が理由だ」米朝会談中止の発表で。 ドル円109円台半ばから108円台へ
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和