今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年6月15日(金) 「ECB“量的緩和年内終了”を決める」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は昨日の夕方には110円を割り込み、109円90銭前後まで下落したが、ECBの政策発表後に大幅なドル高ユーロ安が進んだことに反応し上昇。110円70銭までドル高が進み、高値圏で引ける。
  • ECBが量的緩和の年内終了を決めたが、2019年夏まで政策金利は据え置かれることでユーロは急落。ユーロドルは1.1563まで売られ、ユ−ロ円も127円台後半まで下げる。
  • 株式市場はまちまち。ダウは3日続落する一方、ナスダックは65ポイント上昇し、最高値を更新。
  • 債券相場は反発。長期金利は2.93%台まで低下。
  • 金は続伸し、原油価格も4日続伸。
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 新規失業保険申請件数 → 21.8万件
 5月小売売上高    → +0.8%
 5月輸入物価指数   → +0.6%
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ドル/円 110.06 〜 110.70
ユーロ/ドル 1.1563 〜 1.1744
ユーロ/円 127.91 〜 129.26
NYダウ −25.89 → 25,175.31ドル
GOLD +7.00 → 1,308.30ドル
WTI +0.25 → 66.89ドル
米10年国債 −0.031 → 2.935%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合
  • 日 黒田日銀総裁記者会見
  • 欧 ユーロ圏5月消費者物価指数(改定値)
  • 米 6月NY連銀製造業景況指数
  • 米 5月鉱工業生産
  • 米 5月設備稼働率
  • 米 6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

昨日のコメントでもECBの金融政策からユーロの動きに注意が必要と書きましたが、昨日はそのユーロの動きに引っ張られ、ドル円も直近高値である110円70銭までドル高が進み、ユーロドルは先月末以来となる1.15台まで売られました。ECBは理事会で量的緩和の年内終了を決めました。今年に入って域内の景気が鈍化の兆しを見せ、さらに南欧の政治的リスクが高まってきたことから、量的緩和の終了は難しいのではないかとの見方も一部にはありましたが、年内に終了することを決めました。インフレ懸念が高まってきたことと、景気の鈍化は一時的なことだと判断した模様です。この判断の背景には、インフレファイターの象徴でもあるドイツ連銀の意向もかなり影響したのではないかと思います。

量的緩和の終了は、市場への資金供給を止めるということで、本来はユーロ高材料です。実際発表直後にユーロは買われ、1.1850台までユーロ高が進み、直近の戻り高値を抜いていました。その後、現行の政策金利を2019年夏まで据え置くと表明されたことで、ユーロが1.15台まで一気に売られました。ドル高ユーロ安が急速に進んだことでドル円も110円70銭まで買われたものです。個人的には量的緩和の年内終了も意外でしたが、その後の為替の動きもサプライズでした。

ECBは現在、月に300億ユーロ(約4兆円)の資産購入を行っていますが、これを10月以降は150億ユーロに減額し12月で終了することを決めました。ドラギ総裁は、この決定は全会一致だったことを強調し、債券購入プログラムは今後、ECBの通常の政策手段の一つになると述べています。

2008年のリーマンショックという未曾有の金融事件から、その影響を最小限に抑えるため、FRB、ECB、BOJなど主要中銀は政策金利をほぼ「ゼロ」にし、市場に大量の資金を供給するという「非伝統的な金融政策」を実施しました。その効果もあり、景気回復をいち早く達成したのがFRBであり、ご存知の様に既に「緩やかな金融引き締め政策」に移行しています。昨日のECBの決定は、その背中を追うもので、通常の金融政策へ戻る第一歩と捉えられます。ECBの利上げは来年夏以降となりますが、日銀にいたってはその時期すら見えません。FRBは前日利上げを決めたばかりで、年内の利上げ回数予測を上方修正しました。言い古された言葉ですが、「中銀の金融政策の差」が再び注目される状況がくる可能性があります。

ドル円は110円台後半を付けた後、通商問題懸念から109円台まで落とされましたが、底堅い米景気と、金利上昇からドルが緩やかに上昇するというシナリオは支持されやすいと思われます。トランプリスクとの綱引きという構図が最も想定しやすい流れになるのでしょう。本日のレンジは110円〜111円程度というところで、今回は111円をテストできるのか、注目しています。

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今週は、米朝首脳会談という歴史的イベントで、シンガポールからの映像に釘付けになりました。成果的にはいまひとつでしたが、ここで注目を浴びたのはもちろん金委員長でした。人民服をまとった金氏は、若いだけに見た目にも気を使っているようで、メガネもなかなかおしゃれでした。「底上げの靴を履いていた」との噂もあるようですが、これも見た目を重視した表れかもしれません。そして、あの髪型。これも誰かの影響なのか、それともオリジナルなのか、興味は尽きません。良い週末を・・・・・。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
5/2 FOMC声明文 「さらなる利上げが正当化される」 ドル円109円台後半から110円台に乗せる
5/4 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 シナリオが景気過熱の様相を呈した場合には「比較的急な軌道にならざるを得ないかもしれない」カリフォルニア州での討論会で。 --------
5/7 バシリアウスカス・リトアニア中銀総裁 「現在の成長とインフレ見通しを踏まえれば、今年末までの資産買い入れ終了は現実的かつ適切なシナリオだと私には思われる」独紙とインタビューで。 --------
5/15 ウィリアムズ・SF中銀総裁 「今年は3回か4回の利上げが適切」講演で。 ドル円110円台突破の一因に
5/15 ウィリアムズ・SF中銀総裁 「FOMCが会合終了後に毎回示す声明で、フォワードガイダンスを段階的に終了していくべきだ」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
5/24 トランプ・米大統領 (北朝鮮側の最近の発言に見られる)「途方もない怒りとあからさまな敵意が理由だ」米朝会談中止の発表で。 ドル円109円台半ばから108円台へ
6/6 プラート・ECB理事 「資産買い入れ策の緩やかな巻き戻しを正当化できるだけの十分な進展がこれまでにあったかどうか、この判断を来週の政策委員会で下す必要があるのは明らかだ」ベルリンでの講演で。 ユーロドル1.17台前半から後半へ上昇
6/12 トランプ・米大統領 「金委員長は非常に才能のある人物。」「金委員長と多く会うことになるだろう」米朝会談後に。 ドル円、日経平均株価上昇
6/13 パウエル・FRB議長 「インフレが上振れするとわれわれが考えれば、当然ながら金利を引き上げることになるが、金融当局はそうなると考えていない」FIMC後の記者会見で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和