今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2018年7月5日(木) 「米中関税発動期限迫る」

ひと目で分かる昨晩の動き

欧州市場

  • 東京時間には110円28銭までドル安が進んだものの、NY市場祝日の影響もありその後は小動き。110円台半ば前後で一進一退。
  • ユーロドルも1.16台半ばを中心にもみ合い。ECBの高官が「2019年末の利上げは遅すぎる」との認識を示したとのニュースにも反応せず。
ドル/円 110.34 〜 110.56
ユーロ/ドル 1.1630 〜 1.1675
ユーロ/円 128.49 〜 128.96
NYダウ ------ → 24,174.82ドル
GOLD ------ → 1,253.50ドル
WTI ------ → 74.14ドル
米10年国債 ------ → 2.831%

本日の注目イベント

  • 英 カーニー・BOE総裁講演
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 6月ADP雇用者数
  • 米 6月ISM非製造業景況指数
  • 米 FOMC議事録(6月12、13日分)

今朝の時点ではまだ米中の貿易関税問題を巡る進展は何もありません。中国財務省は4日遅く声明を出し、「われわれが最初の一発を打つことは決してなく、米国より早く関税を発動させることはない」と発表しています。(ブルームバーグ)ただ、時差の関係で、中国が米国より早く発動させる可能性否定できないとも報じており、6日の北京時間午前0時(日本時間午前1時)に追加関税が発動されることも考えられます。

昨日は米国が独立記念日で祝日でした。この時間、米国は4日の夜ですが、残された時間は30時間を切ったということになります。水面下では、ロス商務長官を中心に交渉作業が行われているものと思われますが、はたしてトランプ政権がどこまで譲歩してくるのかが焦点です。あるいは時間切れという事態も考えられます。

仮にこのまま進展がないとすれば、貿易戦争に突入する可能性は高く、メルケル独首相は昨日連邦議会での演説で、米国が欧州の自動車に高関税を賦課すれば鉄鋼やアルミニウムに対するものより、「はるかに深刻」になるとの認識を示し、貿易戦争になった場合の影響を警告し、世界的な金融危機のような事態が再来する恐れがあると語っています。

6日の米中の追加関税の内容を確認しておくと、米国側はまず自動車、産業用ロボットなど818品目(340億ドル相当)の関税を発動し、中国側も同規模の報復関税を大豆や自動車を対象に発動します。中国側の対象品目は、トランプ大統領の支持基盤である農業やエネルギーに的を絞っているところは、今週1日から発動されているEUの対抗措置と同じ手法です。さらにカナダも166億カナダドル(約1兆4000億円)規模の報復複関税を決め、既に7月1日から発動しています。まさに貿易戦争の様相が色濃くなり、「貿易戦争に勝者はない」という言葉が改めて意識されます。

ドル円はこのような状況下でも110円台半ばで推移しています。リスク回避の動きが強まり、円高が進むのではないかとの見方は根強くありますが、反応はいまいちです。ただ、注意するにこしたことはありません。明日は関税発動期限であることに加え、恒例の雇用統計発表日でもあり、久々に大きな値動きがあるかもしれません。本日のドル円は110円〜111円程度を予想しますが、上記関税問題の進展次第では、どちらにも抜ける可能性はありそうです。

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時     発言者     内容   市場への影響   
6/6 プラート・ECB理事 「資産買い入れ策の緩やかな巻き戻しを正当化できるだけの十分な進展がこれまでにあったかどうか、この判断を来週の政策委員会で下す必要があるのは明らかだ」ベルリンでの講演で。 ユーロドル1.17台前半から後半へ上昇
6/12 トランプ・米大統領 「金委員長は非常に才能のある人物。」「金委員長と多く会うことになるだろう」米朝会談後に。 ドル円、日経平均株価上昇
6/13 パウエル・FRB議長 「インフレが上振れするとわれわれが考えれば、当然ながら金利を引き上げることになるが、金融当局はそうなると考えていない」FIMC後の記者会見で。 --------
6/19 ドラギ・ECB総裁 「初回利上げ時期の決定について辛抱強い姿勢を維持し、その後の政策調整は段階的に行う」年次フォーラムでの講演で。 ユーロドル1.16台から1.1534まで下落
6/20 パウエル・FRB議長 「失業率が低く、さらなる低下が見込まれ、インフレ率は当局の目標付近にあり、見通しへのリスクはおおよそ均衡していることを踏まええると、FF金利の漸進的な引き上げえお継続する根拠は強い」ECB主催のフォーラムで。 市場はドル買いで反応
6/25 ナバロ・国家通商会議(NTC)委員長 「トランプ政権の通商政策は誤解されており、投資を制限す る計画はない」 下落していたドルと株が買い戻される
6/26 ライアン・下院議長 不公平な貿易慣行に対抗する上で、「関税引き上げよりも良い手段がある」 ドル円109円台後半から110円20銭台に
6/29 クドロー・国家経済会議(NEC)委員長 「われわれは経済の潜在成長力を拡大している。従ってインフレ的ではない」 ドル円小幅に下落
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和